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第2章 異世界(トゥートゥート)
14. ジビエにされかけた男
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「強情だなぁ。いつまでも意地はってないで手ぇどけろよ。」
俺の上に覆いかぶさって、見下ろしてくる男がやれやれといった様子で呆れている。
おいっ、俺の方が聞き分けないみたいに言うんじゃねぇよ!
「こっちのセリフよ!さっさとそこを退いてちょうだいっ。」
大概しつこい男にイライラした俺が思わずそう言ったところで、アルがニヤリと笑った。
しまった!!
そう思った時にはもう遅く、俺はアルに手を取られ、耳の横で両手を縫い付けられるようにカウチの座面に抑えられてしまう。
「年貢の納め時だな、いい加減覚悟を決めろ。」
「卑怯者・・・。」
ググ・・と悔しがる俺に、奴は楽しそうにクククと笑う。
お前はどんな悪役だよ!
仮にも騎士団の隊長だろ!?
「ほら、口開けろ。」
「んん・・・ん・・」
耳元でそう囁く男は、俺の両手をひとまとめにして頭の上で押さえつけると、思い切り背けていた俺の顔を無理やり自分に向けさせた。
「そんなに嫌がんなよ、傷付くだろ。」
そう言いながらも、自分の唇を重ねなんとか口を開けさせようと舌で突ついてくる。
一体どの口がほざいてやがるんだっ、この万年発情男!
誰かこいつの暴走を止めてくれと、必死になって唇を閉ざしていると、まるで願いが聞き届けられたかのように一瞬にして体が軽くなった。
「・・・っ!!!うおわっ!!!!」
ガタンッガシャンという大きな物音と共にアルの切羽詰った声が聞こえてくる。
俺が驚いて目を向けると、そこには長剣を振り下ろして佇むブラッドと、それをランプで受け止めるアルが片膝を立てて睨み合っていた。
「お前・・・いきなり襲いやがって!俺じゃなかったら絶対死んでたぞっ!!」
「当たり前だ。そのつもりでいったんだ。さすが、我が国の第一部隊を率いているだけの事はあるようだな・・・。」
どうやらブラッドが俺からアルを引き剥がしてくれたようだ。
舞踏会では騎士以外の帯剣は認められていないので、ブラッドが握っている剣はアルから抜き取った物みたいだ。
それでいきなり斬りつけてきたブラッドを、アルがテーブルの上にあったランプで咄嗟に受け止めた、というところだろうか。
などと、冷静に状況分析している間にも2人の応戦は続いていた。
「うわっ!!やめろ!バカッ!!危ねぇだろ!!!」
ブラッドが再びアルを斬りつけようと剣を振っている。
アルは室内を駆け回りながらそれを器用に避け、部屋にある調度品がその度にどんどん無残な姿に変わっていった。
うわぁ・・・これどうすんだよ。
俺こんなんぜってぇ弁償できねぇぞ・・・。
「ちょこまかと動くなっ。潔く斬られろ!」
「ふざけんな!誰が斬られるか!!・・っおいっスノウ!お前この頭のおかしい男をなんとかしろよ!!・・・・っ!!っぶねぇ!!!」
アルが俺を名前で呼んだ瞬間、目に見えて怒りを増したブラッドが物凄い速さで剣を突き刺した。
間一髪なんとか避けた男が、青い顔をして引きつっている。
うわっヤバい!
早く止めないと、本気でアルが殺されてしまう!!
焦った俺は慌ててブラットを止めにかかる。
「ブ、ブラッド!!落ち着いて、部屋が大変なことになってるわ!」
ブラッドに駆け寄って、腕に飛び付いた俺は必死に彼を宥める。
傍にいるアルから「部屋より俺の方が大変だっての!」という声が聞こえてきた。
「スノウ・・・」
苦しげな表情をするブラッドが剣を放り投げて、俺をきつく抱きしめた。
「すまないっ。俺が付いていながら、君に辛い思いをさせてしまった!ッ・・・。」
「ブラッド・・・、大丈夫よ。私は何ともないわ。」
ブラッドがあんまり悲しそうにしがみ付いてくるんで、俺は安心させようと背中に腕を回してゆっくりとさすった。
「おいおい、誰だよこいつ・・・。ホントにあの冷血野郎なのか?」
「アル!やめてっ。ブラッドは傷ついてるのよ?」
俺がそう言うと、首元に顔を埋めていたブラッドが低い声で「アル・・・」と呟いた。
アルは「傷付く玉かよ。」とげんなりとした顔をする。
「今日、第一部隊は城外の警備を担当していたはず。それがなぜ婦人専用の休憩室にいたのか・・・返答次第ではそれ相当の処分を用意してもらわなければな。」
俺を抱き締めたまま顔を上げたブラッドが、厳しい声音で告げた。
職務中だったのかよ!!
お前なにしてんだよ・・・。
「警備の定時報告をしにきたんだ。帰りにお困りのお嬢さんがいたんでね。騎士として放っておけないだろ?」
そう、しれっと言うアル。
お困りのお嬢さんとは多分、レベッカのことだろう。
「ブラッド、アルが私を助けてくれたのはホントなの。処分されるような事じゃないわ。」
いや、職務中に俺のことからかって遊んでたのは如何かと思うぞ。
でもそのせいで罰を受けたら、俺の寝覚めが悪いじゃないか。
「・・・・・・・・・・、本当にスノウはそれでいいのか?」
どこか悔しそうに聞いてくるブラッド。
なんだかんだ言っても、ブラッドは最終的には相手の意見を尊重してくれる。
「ええ、もちろんよ。」
なぜか勝ち誇ったような顔をするアル。
そんなアルをブラッドが忌まわしそうに睨みつけた。
「今回はスノウに免じて見逃してやる。だが次同じようなことをすれば・・・」
「殺す」、そうハッキリと言ったブラッド。
おいおい、言い過ぎだって。
警告するにしても、それはさすがに直裁すぎないか?
「あぁあ、うるさいお兄様だなぁ。これじゃスノウも息苦しくて仕方ないんじゃないか?可哀想に。要は同意してればいいんだろ?そんなのお兄様の口出すことじゃねぇよ。引っ込んでろ。」
アルが挑発的に言い返す。
気のせいか、やたらと兄である事を強調しているようだ。
しかし、同意してたって職務中に遊ぶのはダメだろ。
「家族を害虫から守って何が悪い。気がつくと湧いてくるコバエのような奴が多くてな、残念ながらしぶとさはゴキブリ並ときている。二度と現れないように徹底的に駆除しているまでだ。」
ブラッドに至っては、抽象的過ぎて俺には理解できない。
ただ、使っている単語から相手へ対する強い憎悪と軽蔑だけは分かってしまう。
2人は無言で睨み合っている。
ものすごく居た堪れない・・・。
俺はこの重い空気から早く解放されたくて、ブラッドの袖を引いた。
「ブラッド、そろそろ帰りたいのだけど、挨拶はもう済んだ?」
「あぁ・・・、すまなかった。なかなか抜け出せなくて、遅くなってしまったな。さぁ、こんな所一刻も早く立ち去ろう。」
確かにドレスも汚れているし早く帰りたいが、こんな所ってブラッド・・・ここ王城ですよ?
ブラッドにエスコートされ扉に向かうと、後ろからアルに声をかけられる。
「スノウ、またな。」
「また」と振り返って言おうとしたら、ブラッドが俺を胸に抱き抱えるようにして足早に部屋を出てしまう。
結局何も言えなかった。
前を向いたきり、一言も話さず歩き続けるブラッド。
どことなく青白く感じるその顔は底冷えするような怒りを湛えていて、まさに冷血の美丈夫に相応しい。
こんなブラッドは初めて見る。
令嬢たちがブラッドに声をかけられない気持ちが、今なら分かる気がする。
混乱している俺は、ホールの喧騒も耳に入らないまま馬車が停められた階段下まで押し出されるように降りていた。
何だか不穏な空気を纏ったブラッドに、俺は戸惑いと不安を抱えて城を後にする。
よく分からないが、早く機嫌を直して欲しい。
ブラッドが辛そうにしていると、俺まで辛くなる。
俺の上に覆いかぶさって、見下ろしてくる男がやれやれといった様子で呆れている。
おいっ、俺の方が聞き分けないみたいに言うんじゃねぇよ!
「こっちのセリフよ!さっさとそこを退いてちょうだいっ。」
大概しつこい男にイライラした俺が思わずそう言ったところで、アルがニヤリと笑った。
しまった!!
そう思った時にはもう遅く、俺はアルに手を取られ、耳の横で両手を縫い付けられるようにカウチの座面に抑えられてしまう。
「年貢の納め時だな、いい加減覚悟を決めろ。」
「卑怯者・・・。」
ググ・・と悔しがる俺に、奴は楽しそうにクククと笑う。
お前はどんな悪役だよ!
仮にも騎士団の隊長だろ!?
「ほら、口開けろ。」
「んん・・・ん・・」
耳元でそう囁く男は、俺の両手をひとまとめにして頭の上で押さえつけると、思い切り背けていた俺の顔を無理やり自分に向けさせた。
「そんなに嫌がんなよ、傷付くだろ。」
そう言いながらも、自分の唇を重ねなんとか口を開けさせようと舌で突ついてくる。
一体どの口がほざいてやがるんだっ、この万年発情男!
誰かこいつの暴走を止めてくれと、必死になって唇を閉ざしていると、まるで願いが聞き届けられたかのように一瞬にして体が軽くなった。
「・・・っ!!!うおわっ!!!!」
ガタンッガシャンという大きな物音と共にアルの切羽詰った声が聞こえてくる。
俺が驚いて目を向けると、そこには長剣を振り下ろして佇むブラッドと、それをランプで受け止めるアルが片膝を立てて睨み合っていた。
「お前・・・いきなり襲いやがって!俺じゃなかったら絶対死んでたぞっ!!」
「当たり前だ。そのつもりでいったんだ。さすが、我が国の第一部隊を率いているだけの事はあるようだな・・・。」
どうやらブラッドが俺からアルを引き剥がしてくれたようだ。
舞踏会では騎士以外の帯剣は認められていないので、ブラッドが握っている剣はアルから抜き取った物みたいだ。
それでいきなり斬りつけてきたブラッドを、アルがテーブルの上にあったランプで咄嗟に受け止めた、というところだろうか。
などと、冷静に状況分析している間にも2人の応戦は続いていた。
「うわっ!!やめろ!バカッ!!危ねぇだろ!!!」
ブラッドが再びアルを斬りつけようと剣を振っている。
アルは室内を駆け回りながらそれを器用に避け、部屋にある調度品がその度にどんどん無残な姿に変わっていった。
うわぁ・・・これどうすんだよ。
俺こんなんぜってぇ弁償できねぇぞ・・・。
「ちょこまかと動くなっ。潔く斬られろ!」
「ふざけんな!誰が斬られるか!!・・っおいっスノウ!お前この頭のおかしい男をなんとかしろよ!!・・・・っ!!っぶねぇ!!!」
アルが俺を名前で呼んだ瞬間、目に見えて怒りを増したブラッドが物凄い速さで剣を突き刺した。
間一髪なんとか避けた男が、青い顔をして引きつっている。
うわっヤバい!
早く止めないと、本気でアルが殺されてしまう!!
焦った俺は慌ててブラットを止めにかかる。
「ブ、ブラッド!!落ち着いて、部屋が大変なことになってるわ!」
ブラッドに駆け寄って、腕に飛び付いた俺は必死に彼を宥める。
傍にいるアルから「部屋より俺の方が大変だっての!」という声が聞こえてきた。
「スノウ・・・」
苦しげな表情をするブラッドが剣を放り投げて、俺をきつく抱きしめた。
「すまないっ。俺が付いていながら、君に辛い思いをさせてしまった!ッ・・・。」
「ブラッド・・・、大丈夫よ。私は何ともないわ。」
ブラッドがあんまり悲しそうにしがみ付いてくるんで、俺は安心させようと背中に腕を回してゆっくりとさすった。
「おいおい、誰だよこいつ・・・。ホントにあの冷血野郎なのか?」
「アル!やめてっ。ブラッドは傷ついてるのよ?」
俺がそう言うと、首元に顔を埋めていたブラッドが低い声で「アル・・・」と呟いた。
アルは「傷付く玉かよ。」とげんなりとした顔をする。
「今日、第一部隊は城外の警備を担当していたはず。それがなぜ婦人専用の休憩室にいたのか・・・返答次第ではそれ相当の処分を用意してもらわなければな。」
俺を抱き締めたまま顔を上げたブラッドが、厳しい声音で告げた。
職務中だったのかよ!!
お前なにしてんだよ・・・。
「警備の定時報告をしにきたんだ。帰りにお困りのお嬢さんがいたんでね。騎士として放っておけないだろ?」
そう、しれっと言うアル。
お困りのお嬢さんとは多分、レベッカのことだろう。
「ブラッド、アルが私を助けてくれたのはホントなの。処分されるような事じゃないわ。」
いや、職務中に俺のことからかって遊んでたのは如何かと思うぞ。
でもそのせいで罰を受けたら、俺の寝覚めが悪いじゃないか。
「・・・・・・・・・・、本当にスノウはそれでいいのか?」
どこか悔しそうに聞いてくるブラッド。
なんだかんだ言っても、ブラッドは最終的には相手の意見を尊重してくれる。
「ええ、もちろんよ。」
なぜか勝ち誇ったような顔をするアル。
そんなアルをブラッドが忌まわしそうに睨みつけた。
「今回はスノウに免じて見逃してやる。だが次同じようなことをすれば・・・」
「殺す」、そうハッキリと言ったブラッド。
おいおい、言い過ぎだって。
警告するにしても、それはさすがに直裁すぎないか?
「あぁあ、うるさいお兄様だなぁ。これじゃスノウも息苦しくて仕方ないんじゃないか?可哀想に。要は同意してればいいんだろ?そんなのお兄様の口出すことじゃねぇよ。引っ込んでろ。」
アルが挑発的に言い返す。
気のせいか、やたらと兄である事を強調しているようだ。
しかし、同意してたって職務中に遊ぶのはダメだろ。
「家族を害虫から守って何が悪い。気がつくと湧いてくるコバエのような奴が多くてな、残念ながらしぶとさはゴキブリ並ときている。二度と現れないように徹底的に駆除しているまでだ。」
ブラッドに至っては、抽象的過ぎて俺には理解できない。
ただ、使っている単語から相手へ対する強い憎悪と軽蔑だけは分かってしまう。
2人は無言で睨み合っている。
ものすごく居た堪れない・・・。
俺はこの重い空気から早く解放されたくて、ブラッドの袖を引いた。
「ブラッド、そろそろ帰りたいのだけど、挨拶はもう済んだ?」
「あぁ・・・、すまなかった。なかなか抜け出せなくて、遅くなってしまったな。さぁ、こんな所一刻も早く立ち去ろう。」
確かにドレスも汚れているし早く帰りたいが、こんな所ってブラッド・・・ここ王城ですよ?
ブラッドにエスコートされ扉に向かうと、後ろからアルに声をかけられる。
「スノウ、またな。」
「また」と振り返って言おうとしたら、ブラッドが俺を胸に抱き抱えるようにして足早に部屋を出てしまう。
結局何も言えなかった。
前を向いたきり、一言も話さず歩き続けるブラッド。
どことなく青白く感じるその顔は底冷えするような怒りを湛えていて、まさに冷血の美丈夫に相応しい。
こんなブラッドは初めて見る。
令嬢たちがブラッドに声をかけられない気持ちが、今なら分かる気がする。
混乱している俺は、ホールの喧騒も耳に入らないまま馬車が停められた階段下まで押し出されるように降りていた。
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