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◾︎本編その後
ベッドの上のあなた1
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キスしながら、雑に服を脱がせあう。
琴香の手でネクタイを引き抜いて、シャツのボタンを外す。はだけたシャツの隙間からのぞく男の胸板に手を這わすと、鳴瀬は小さく嘆息した。
「えっちだなぁ、せんせ」
そう言って琴香の指をかじる彼の、ダダ漏れの色気にくらくらする。ふだん隠しているものを自分だけが見られるというトクベツ感がおたがいの気持ちを高めていく。
吐息を耳に吹き込んで、髪を指で乱して。
そうしているうちに鳴瀬もその気になったらしい。琴香の後頭部を押さえて、執拗にキスを求めてくる。
ふだんの朗らかさとはうってかわって彼が男の人になる、この瞬間が好きだ。琴香は鳴瀬の髪ぐしゃぐしゃにかきまぜて情熱的なキスに応えた。
いちゃいちゃしていたら、やっぱり続きがしたくなる。
でもえっちはちゃんとお風呂に入ってからがいい。おずおずとそう主張する琴香を、鳴瀬がよいしょと抱き上げた。そのまま脱衣所まで連れていかれる。
「はい、入りましょうねー」
ぽいぽいと服をひん剥かれ、彼自身もワイシャツを脱ぎ始めた。
どうやら一緒に入るつもりらしい。盛り上がってしまった手前、お風呂は一人で入りたいとも言えず。でも明るいところで裸を見られるのは、正直まだちょっと抵抗がある。
「絶対絶対、こっち向かないでくださいねっ」
「はい、先生」
琴香が髪を洗っているあいだ、鳴瀬は湯船に浸かって目の上に濡れタオルを置いて見ないようにしてくれている、はずだ。眼鏡をしていないから実はよく見えないのだけどきっとそのはず。
「もぉ~いーかい」
「まだですよっ」
超特急で泡を流し身体を洗い、そろりと湯船に足をひたした。今度は鳴瀬がシャワーを使う番だ。ぎゅっと目を閉じて、浴槽から立ち上がった彼を見ないようにする。
「あ、先生のえっち」
「みみみみ見てませんからッ」
ぶくぶくとお湯に浸かる。というか、眼鏡を外した琴香には見たくとも見えないのだ。
(ずるくない? むこうからは見えるのにこっちからは見えないなんて、不公平じゃない?)
「ん。一緒入っていいですか?」
鳴瀬は洗った髪をかきあげて浴槽に手をかけた。ぼんやりとシルエットはわかる。
「お邪魔しまーすっと」
大人ふたりで入るとさすがに狭い。ざぶざぶと流れていくお湯をじっと凝視する。ふだんなら絶対にやらない贅沢だけど、たまにはこういうのもいいものだ。……もう少し手足が伸ばせたら言う事なしなんだけど。
「そんな怖がらなくても」
「怖がっているわけでは……なくてですね……」
もう何度も見られている身体だけど、明るい中だと話は別だ。
前を隠すタオルをぎゅっと抱いて、やっぱり先にあがろうと腰を上げた。
「わ、わたし、先にあがりま、きゃああっ」
「っと、せんせ、声大きい」
「鳴瀬さんがいきなりタオルを引っ張るからぁ!」
「そんなに全力で隠さなくても」
「や、だって、恥ずかしいからっ」
「見たいなー、琴香のおっぱい」
「だめ!」
「ちょっとだけ」
湯船に引き戻され、片腕を拘束される。もう片手で必死にタオルを押さえて顔をそらした。
「うう……」
「かわいいなー、見せてよ」
なんとなくこうなるだろうことはわかっていた。彼だってきっと、琴香が真剣には拒まないことをわかってやっているにちがいない。
付き合い始めて三か月。それなりに回数を重ねてきたけど、鳴瀬はいつも上品に抱いてくれた。それを物足りないと思ったことはないけど、実は琴香だって興味があったりする──本当に乱れた鳴瀬さんって、どんなだろう、と。
こちらはえっちなジャンルの現役漫画家だし、あちらはその元編集なのだから、ふたりとも知識はあるはずなのだ。けどそれを互いで試そうとしたことはない。マナーというかモラルというか、鳴瀬は仕事用のそういう知識とプライベートはきっちりわける人だ。
(けど……知りたいの、本当は!)
お風呂場でするのって、どんな感じだろうって。
立ちバックとか、座位とか、ボディーソープで洗いっことか。実はやってみたかったりするのだ。
そんないかがわしい妄想が顔に出てしまっていたのか、鳴瀬は強引にタオルを剥いで、つかんだ琴香の腕に唇を這わせた。
「ひゃっ」
二の腕のやわらかいところを吸われると、赤いあざが残った。もう反対の彼の手は胸を揉み始めた。はぁ、と琴香が息を漏らすのをじっと見られている。
(ああ、もうこれ、する流れだ)
琴香は観念して──そしてちょっぴり期待しつつ、鳴瀬の手に指をからめた。
あたたかい湯船の中でキスを繰り返す。
さっきまで嫌がっていたはずなのに、彼の色っぽい吐息を聞いたらとたんに欲しくなってしまう自分は……なんて淫乱なんだろう。
「せんせ、腰……そんなに押しつけたら、入っちゃいますよ」
声がちょっとうれしそうだ。彼はいつもそう、琴香からほしがったり大胆だったりするのを喜んでくれる。その姿が見たくてつい張り切ってしまう──すごく恥ずかしいのに。
「んっ、……ん、むずか、しい」
「かわいい。このなかで入れたら、お湯入っちゃうのかなぁ」
そう独り言のように呟いて、鳴瀬は琴香の腰を掴んだ。
「入れちゃおうか、このまま」
「あ、あ……はぁっ……」
お湯の中で鳴瀬のものがごつごつとぶつかってくる。けどたぷんたぷんと揺れるお湯のせいで、どうもうまく入らない。じゃばっと顔にお湯がかかって琴香はケホンとむせた。
「お湯、じゃま……ね、外でしませんか……?」
「ゴムないよ、いいの?」
琴香は鳴瀬の首に腕をからめて抱き寄せた。
「いい……ベッドまで、我慢できない……から」
りょーかい。彼は琴香を抱きあげるようにして、ざぶんと湯からあがった。
「あ、ああっ」
ぐいぐいと押し入ってくるものの感覚が、いつもと違う。ぜんぜん違う。すごく入りやすくて、かたいのに当たりがやわらかくて……。
バスチェアに座った鳴瀬の上にまたいで座って、自分で動いて、喘いで。
(対面座位って、すごい……えっちだぁ)
琴香は心の付箋にメモをした。
「めっちゃエロいっすね……」
彼にまでしみじみ言われてしまうとすごく恥ずかしい。でもぐいぐいと押し入ってくる感覚に、すぐに理性など飛んでいってしまう。
「あんっ、おくっ、すごいくる……っ」
「琴香、声……おさえて……、あぁ、すご、ゴムなしやばい」
両手でおしりを掴まれて、上下に揺すられる。自重でいつもより奥まで届く気がする。ナカだけじゃなくて、クリも刺激されて、しかも初めてのナマで。
鳴瀬は鳴瀬で、乱れまくっている琴香にずいぶん夢中なようだ。はぁはぁと乱れた二人の呼吸が、狭い浴室に反響する。
「ぁんっ、なるせさん、うごいて、やめないで……もっと、……っ」
「は、琴香、締めすぎ、もってかれる……」
「ここっすき」
「ここ?」
「ん、すき、あぁんっ、おっぱい、だめぇ……!」
2人とも完全に箍が外れている。
「あ、あっ……っ、だめ、ぜんぶきもちいいっ」
「俺も……は、ごめん、ナマむり、外に出すから……っ、こら、琴香っ」
「や、抜かないで……なかに……っ、あ、あぁんっ」
「くっ……、あ、あぁ……」
ぎゅっと抱きしめ合って初めての射精感に耐える。おたがい恍惚としたままキスをする。すごく、長いこと出ていたような気がする。何度も身体を跳ねさせる琴香を抱きしめて、鳴瀬は大きくため息をついた。
「風呂……いいけど、すげーのぼせる」
彼の苦笑した吐息が耳をくすぐった。
まったくの同感だ。琴香はぐったりとして動けず、そのまま鳴瀬に身体を清めてもらってそのままベッドまで運んでもらう羽目になった。
琴香の手でネクタイを引き抜いて、シャツのボタンを外す。はだけたシャツの隙間からのぞく男の胸板に手を這わすと、鳴瀬は小さく嘆息した。
「えっちだなぁ、せんせ」
そう言って琴香の指をかじる彼の、ダダ漏れの色気にくらくらする。ふだん隠しているものを自分だけが見られるというトクベツ感がおたがいの気持ちを高めていく。
吐息を耳に吹き込んで、髪を指で乱して。
そうしているうちに鳴瀬もその気になったらしい。琴香の後頭部を押さえて、執拗にキスを求めてくる。
ふだんの朗らかさとはうってかわって彼が男の人になる、この瞬間が好きだ。琴香は鳴瀬の髪ぐしゃぐしゃにかきまぜて情熱的なキスに応えた。
いちゃいちゃしていたら、やっぱり続きがしたくなる。
でもえっちはちゃんとお風呂に入ってからがいい。おずおずとそう主張する琴香を、鳴瀬がよいしょと抱き上げた。そのまま脱衣所まで連れていかれる。
「はい、入りましょうねー」
ぽいぽいと服をひん剥かれ、彼自身もワイシャツを脱ぎ始めた。
どうやら一緒に入るつもりらしい。盛り上がってしまった手前、お風呂は一人で入りたいとも言えず。でも明るいところで裸を見られるのは、正直まだちょっと抵抗がある。
「絶対絶対、こっち向かないでくださいねっ」
「はい、先生」
琴香が髪を洗っているあいだ、鳴瀬は湯船に浸かって目の上に濡れタオルを置いて見ないようにしてくれている、はずだ。眼鏡をしていないから実はよく見えないのだけどきっとそのはず。
「もぉ~いーかい」
「まだですよっ」
超特急で泡を流し身体を洗い、そろりと湯船に足をひたした。今度は鳴瀬がシャワーを使う番だ。ぎゅっと目を閉じて、浴槽から立ち上がった彼を見ないようにする。
「あ、先生のえっち」
「みみみみ見てませんからッ」
ぶくぶくとお湯に浸かる。というか、眼鏡を外した琴香には見たくとも見えないのだ。
(ずるくない? むこうからは見えるのにこっちからは見えないなんて、不公平じゃない?)
「ん。一緒入っていいですか?」
鳴瀬は洗った髪をかきあげて浴槽に手をかけた。ぼんやりとシルエットはわかる。
「お邪魔しまーすっと」
大人ふたりで入るとさすがに狭い。ざぶざぶと流れていくお湯をじっと凝視する。ふだんなら絶対にやらない贅沢だけど、たまにはこういうのもいいものだ。……もう少し手足が伸ばせたら言う事なしなんだけど。
「そんな怖がらなくても」
「怖がっているわけでは……なくてですね……」
もう何度も見られている身体だけど、明るい中だと話は別だ。
前を隠すタオルをぎゅっと抱いて、やっぱり先にあがろうと腰を上げた。
「わ、わたし、先にあがりま、きゃああっ」
「っと、せんせ、声大きい」
「鳴瀬さんがいきなりタオルを引っ張るからぁ!」
「そんなに全力で隠さなくても」
「や、だって、恥ずかしいからっ」
「見たいなー、琴香のおっぱい」
「だめ!」
「ちょっとだけ」
湯船に引き戻され、片腕を拘束される。もう片手で必死にタオルを押さえて顔をそらした。
「うう……」
「かわいいなー、見せてよ」
なんとなくこうなるだろうことはわかっていた。彼だってきっと、琴香が真剣には拒まないことをわかってやっているにちがいない。
付き合い始めて三か月。それなりに回数を重ねてきたけど、鳴瀬はいつも上品に抱いてくれた。それを物足りないと思ったことはないけど、実は琴香だって興味があったりする──本当に乱れた鳴瀬さんって、どんなだろう、と。
こちらはえっちなジャンルの現役漫画家だし、あちらはその元編集なのだから、ふたりとも知識はあるはずなのだ。けどそれを互いで試そうとしたことはない。マナーというかモラルというか、鳴瀬は仕事用のそういう知識とプライベートはきっちりわける人だ。
(けど……知りたいの、本当は!)
お風呂場でするのって、どんな感じだろうって。
立ちバックとか、座位とか、ボディーソープで洗いっことか。実はやってみたかったりするのだ。
そんないかがわしい妄想が顔に出てしまっていたのか、鳴瀬は強引にタオルを剥いで、つかんだ琴香の腕に唇を這わせた。
「ひゃっ」
二の腕のやわらかいところを吸われると、赤いあざが残った。もう反対の彼の手は胸を揉み始めた。はぁ、と琴香が息を漏らすのをじっと見られている。
(ああ、もうこれ、する流れだ)
琴香は観念して──そしてちょっぴり期待しつつ、鳴瀬の手に指をからめた。
あたたかい湯船の中でキスを繰り返す。
さっきまで嫌がっていたはずなのに、彼の色っぽい吐息を聞いたらとたんに欲しくなってしまう自分は……なんて淫乱なんだろう。
「せんせ、腰……そんなに押しつけたら、入っちゃいますよ」
声がちょっとうれしそうだ。彼はいつもそう、琴香からほしがったり大胆だったりするのを喜んでくれる。その姿が見たくてつい張り切ってしまう──すごく恥ずかしいのに。
「んっ、……ん、むずか、しい」
「かわいい。このなかで入れたら、お湯入っちゃうのかなぁ」
そう独り言のように呟いて、鳴瀬は琴香の腰を掴んだ。
「入れちゃおうか、このまま」
「あ、あ……はぁっ……」
お湯の中で鳴瀬のものがごつごつとぶつかってくる。けどたぷんたぷんと揺れるお湯のせいで、どうもうまく入らない。じゃばっと顔にお湯がかかって琴香はケホンとむせた。
「お湯、じゃま……ね、外でしませんか……?」
「ゴムないよ、いいの?」
琴香は鳴瀬の首に腕をからめて抱き寄せた。
「いい……ベッドまで、我慢できない……から」
りょーかい。彼は琴香を抱きあげるようにして、ざぶんと湯からあがった。
「あ、ああっ」
ぐいぐいと押し入ってくるものの感覚が、いつもと違う。ぜんぜん違う。すごく入りやすくて、かたいのに当たりがやわらかくて……。
バスチェアに座った鳴瀬の上にまたいで座って、自分で動いて、喘いで。
(対面座位って、すごい……えっちだぁ)
琴香は心の付箋にメモをした。
「めっちゃエロいっすね……」
彼にまでしみじみ言われてしまうとすごく恥ずかしい。でもぐいぐいと押し入ってくる感覚に、すぐに理性など飛んでいってしまう。
「あんっ、おくっ、すごいくる……っ」
「琴香、声……おさえて……、あぁ、すご、ゴムなしやばい」
両手でおしりを掴まれて、上下に揺すられる。自重でいつもより奥まで届く気がする。ナカだけじゃなくて、クリも刺激されて、しかも初めてのナマで。
鳴瀬は鳴瀬で、乱れまくっている琴香にずいぶん夢中なようだ。はぁはぁと乱れた二人の呼吸が、狭い浴室に反響する。
「ぁんっ、なるせさん、うごいて、やめないで……もっと、……っ」
「は、琴香、締めすぎ、もってかれる……」
「ここっすき」
「ここ?」
「ん、すき、あぁんっ、おっぱい、だめぇ……!」
2人とも完全に箍が外れている。
「あ、あっ……っ、だめ、ぜんぶきもちいいっ」
「俺も……は、ごめん、ナマむり、外に出すから……っ、こら、琴香っ」
「や、抜かないで……なかに……っ、あ、あぁんっ」
「くっ……、あ、あぁ……」
ぎゅっと抱きしめ合って初めての射精感に耐える。おたがい恍惚としたままキスをする。すごく、長いこと出ていたような気がする。何度も身体を跳ねさせる琴香を抱きしめて、鳴瀬は大きくため息をついた。
「風呂……いいけど、すげーのぼせる」
彼の苦笑した吐息が耳をくすぐった。
まったくの同感だ。琴香はぐったりとして動けず、そのまま鳴瀬に身体を清めてもらってそのままベッドまで運んでもらう羽目になった。
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