みかげさまのこえがする。

はじめアキラ@テンセイゲーム発売中

文字の大きさ
3 / 33

<第三話・板>

しおりを挟む

1:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
タイトルの通りなんですが

2:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
通りと言われましても

3:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
暇だから俺参上。クソスレだったら消える

4:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
最近オカ版も過疎り気味だから、作り話でも実話でもよほど面白くないと相手にされない定期

5:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
そゆことで

6:みかげさまさがしてるひと
とりあえずコテはこれで。
えっと、みかげさま、っていう田舎の話?都市伝説?について詳しい人を捜してます。
どこがT県の笹下村《ささげむら》っていうところが発祥らしいんですけど、俺住んでるのが沖縄だからとてもじゃないけど自分で確かめに行けなくて

7:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
笹下村?どこだよそれ、地図に載ってないんだけど
つかぐーぐーマップにも上がってこんのだが

8:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
あー、たまにあるわ、めっちゃちっちゃい村だと載ってないケース。
あと、実際の地名は別なんだけど、通称だけ違ってるケースとか

9:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
なーる

10:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
みかげさま、ってなんぞ。名前がめっちゃありきたりでワロタ

11:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
みかげさまって検索したらよくわからんエロBL画像引き当ててタヒんだ俺を誰か慰めてくれ……なんぞあれ、絶対関係ないだろ

12:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
名前がありきたりだからしょうがない。多分それ、タツマキナインに出てくるライバル校の俺様キャラの呼び名だわ。なお王道CPはカダン君×ミカゲ様だ@腐女子

13:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
>>12
誰もそんな話は聴いてねえよwwww

14:みかげさまさがしてるひと
そうなんです、検索しようとすると全然関係ないやつしか出てこなくて……でも勿論、俺が探してるのは、アニメの話じゃないです。
みかげさま、っていう存在を神様として祀っている場所があるらしくて、そこが笹下村っていうところみたいなんですよね。
そのみかげさまっていう存在が、とてつもなくヤバい神様だって話で。俺が聞いた話によると、みかげさまっていうのは大昔に捧げられた生贄の名前らしいんですけど、その生贄が祟って何度も変事が起きたことがあるらしくて

15:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
笑えるほどありきたりな話だなおい

16:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
どこぞのホラゲーで使い回しされてそうなネタ

17:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
何かを鎮めるために生贄捧げて、その生贄に祟られてちゃ世話ないってな

18:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
つか、イッチはどうしてそんなみかげさまとやらのことが知りたいの?

19:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
それな

20:みかげさまさがしてるひと
言い忘れてました。
実は、そのみかげさまとやらを鎮めるために、現代でも生贄を捧げ続けているらしいんです。
俺の姉が、オカルト雑誌に記者で、その笹下村に取材に行ったことがあって
そのまま、帰ってこなかったんです。今から十四年近くも前のことになります

21:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
は?

22:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
姉貴が行方不明になったってこと?十四年前に?

23:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
普通に警察に池

24:みかげさまさがしてるひと
警察には行きました。でも、見つからないまま捜索打ち切りになっちゃったんです
姉の私物一つ見つかりませんでした。
本当に、神隠しにでも遭ってしまったかのように



 ***



「ちょっと待って、笹下村?ってどっかで聞いたことあるような……」

 追加の缶ビールをあおりながら、つらつらとスレッドを読みすすめていた美園は、ふと目に入った文字に我に返った。
 去年はレポート、その前の年は受験で忙しかったため親の実家に帰らなかったのだが――そういえば確か、祖父母の村の名前がそんなかんじではなかっただろうか。美園は引き出しを開け、数年前まで来ていた祖父母からの年賀状を引っ張り出す。住所を確認して、間違いないと気づいた。
 T県の、笹下村。
 確かに、そのような住所が記載されている。

――でもって、いなくなった記者さんって……十四年前って。もしかして、あれじゃない?私がちっちゃい頃に聞いた、神隠し事件のアレ……。

 いなくなったのは、オカルト雑誌の記者をしていた女性であったはず。ここに記載されている情報と、もろに一致する。勿論幼い頃の記憶であるのでうろ覚えの域を出ないし、実際になんていう名前の女性がいなくなったのか、なんてことは定かでないのだが。

――しかし、みかげさま、ねえ。……他の連中も言ってるけど、随分ありきたりな名前というか。それこそなんにも考えないで適当につけただけの名前っぽい。その生贄がどうたら?ていうのも信憑性薄いしなあ。

 ただ、実際に人がいなくなった、というのは確かなことであるようだ。あの時の記憶が正しいのなら、女性は夜突然森の方にふらふら入っていって、そのままいなくなってしまったとかなんとか――そういう話ではなかっただろうか。その証言が正しいのなら、まさに神様に魅了されて誘われてしまったとも受け取れる。同時に、村人達が総出で嘘をついていたとしたら、女性は村人達に惨殺されて生贄に捧げられてしまった、なんてことも有りうるのだろう。みんながみんなグルで殺人を隠していたら、それこそ警察が調べようが簡単に証拠などは出てこないに違いない。
 美園は考える。――あの場所ならば、車を走らせれば二時間ほどで到着できるはず。幸い免許は持っているし、何度も両親と里帰りしているので場所はわかっている。取材を申し込む手間も省けるというものだ。面倒な費用もかからないし、調べてみるなら丁度いいのではなかろうか。

――そうだ、琴子ことこ琴子も誘おう。あのいけ好かない部長にブチ切れてたのは琴子も一緒だったはずだし。

 同じく怪奇現象研究クラブに入った同じ学部の友人、木田琴子きだことこにLANEで連絡を入れることにする。どうせお互い彼氏がいない身、ついでに今週末は暇だとぼやいていたのを思い出したのだ。自動車で二時間ならば、日帰りも十分可能である。行き先は祖父母の家であるし、そこまで気兼ねする必要もないだろう。
 どうせなら、と掲示板を見る。最近は少々オカルト掲示板というものも廃れ気味だとここの住人はボヤいているが――それでもこうして出入りしているからには、面白い話や新鮮なネタを求める気持ちがあるからに決まっているのである。数年前に大流行した、不思議な洞窟を見つけた実況スレ。奇妙な駅に辿り着いてしまったという女性の、助けを求める書き込み。リアルタイムで楽しんでいたが、あれほどドキドキする瞬間はなかった。結局どちらも中途半端に書き込みが途切れて終わってしまい、真相を知るにはいたらなかったが――同じような“リアルタイムの緊張感”を求める若者は、今でも少なからず存在しているのではなかろうか。
 どうせ、ネットの世界だ。本名を名乗るわけでもない。
 都合が悪くなれば嘘をついても誤魔化しても問題ないのだ。女子大生ということだけ伝えておけば、勝手に妄想して勝手にエサに食いついてくれる者もいることだろう。

――よーし。

 美園は酔いが回って景気が良くなった頭で、テンションが上がるまま掲示板に書き込むことを選んだ。



 ***



24:みかげさまさがしてるひと
警察には行きました。でも、見つからないまま捜索打ち切りになっちゃったんです
姉の私物一つ見つかりませんでした。
本当に、神隠しにでも遭ってしまったかのように

25:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
神隠し、ねえ

26:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
あれって、元々は老人とかを山に捨てた話が元なんじゃなかったっけ?神様に攫われたってことにしてるけど、実際は人間が犯人っていう

27:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
お姉さん美人ですかー?

28:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
美人なら人間に誘拐されたりアレコレされた可能性が十分にアル

29:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
>>28
言いたいことはわかるけど若干不謹慎がすぎるだろ

30:記者志望JD
コテつけた
笹下村って知ってるかもしんないというか、私の親の地元の村がそんな名前なんだけど、関係ある?T県だし
丁度帰るつもりだったし、調べてみようか。オカルト雑誌の取材の練習のつもりでー

31:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
マジ!?

32:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
ほんとぉ?都合良すぎじゃない?場合によってはフシアナさんしてよね

33:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
ていうか本当にあったのか、笹下村って。つか、じゃあみかげさまっていうのも知ってるのか?

34:記者志望JD
残念ながら、みかげさまについては初耳。
でも私が子供の頃に、一人女性の行方不明者が出てるのは事実。オカルト雑誌の記者さんだって話も聞いたことがあるよ。だから多分、イッチが言ってるのは本当のことだと思う。
祖父母がなんかの宗教やってたとか、神様祀ってたとかは聞いたことないけど、オカルト雑誌の記者さんが来たってことはなんかの因習みたいなもの?を聞きつけてきてたのは事実でしょ。なんかあるのかも

35:みかげさまさがしてるひと
本当ですか記者志望さん……!ありがとうございます、助かります!

36:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
や、本当なんだとしたらさ、ちょっと危なくない?生贄捧げてるかもしれない村なのに

37:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
危機感の欠如っていうね

38:記者志望JD
大丈夫大丈夫。小さな頃から何回も行ってる村だもん
ここ数年行ってないけど、勝手知ったるおばあちゃんの家だし、今までおかしなことが起きたわけでもないし。特に何もないと思う。
でも、人が一人いなくなってそのままっていうのはやっぱり気になるしね、私にできることなら協力するよー。

というわけで、可能な限りここに実況のつもりで書き込みマース。

39:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
軽っ!

40:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
何それ、ちょっと面白そうなんですけど、久しぶりに

42:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
待機

43:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。
本当に大丈夫なのかなあ……?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

皆さんは呪われました

禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか? お勧めの呪いがありますよ。 効果は絶大です。 ぜひ、試してみてください…… その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。 最後に残るのは誰だ……

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...