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<4・勇者襲来!>
明らかに、ろくでもないことをしようとしている。だが、このまま背を向けて逃げるのもきっと危険。
結局れもんに出来たことはといえば、相手から視線を外さないまま後退りすることだけだった。それは、今まで散々喧嘩してきたゆえの、勘のようなもの。
昔ヒグマに遭遇した時もそうだった。あれも本能的に“視線を外さないで後退りするのが正解”と判断してそうしたのだ。結果的にそれが正しかったわけだが。
人間、背中を向けてしまえば攻撃から身を護ることも避けることも叶わなくなってしまうものである。
「賢明だ」
ローブの男は、ぐねぐねと曲がった木の棒のような杖を取り出し、呪文らしきものを唱えた。
「カモン、“Red-wolf”!」
するとどうだろう、男の両脇にブラックホールのような黒い渦巻が現れたではないか。まるで空中に突然穴でもあいてしまったよう。あっけにとられるれもんの前で、二つの漆黒の穴がぐるぐると渦巻いた。そして、その奥からうめき声のようなものが聞こえてくるのである。
否。
これは人間の声ではなく、獣の唸り声だとわかった。以前、山で野犬を見かけた時の声によく似ているような。
「行け」
次の瞬間、その中から赤茶色の物体が飛び出してきた。れもんは反射的に、右にジャンプする。急な下り坂になっている芝生を素早く滑り降り、川の方へ逃げる。次の瞬間、ダンッ!と重たい音がした。さっきの獣が着地した音だと気づく。
あのまま棒立ちでいたら、組みつかれて引っ掻かれていたか、噛みつかれていたか。
――周囲に人は……っ!?
誰か助けを求められる大人はいないか。逆に巻き込んではいけない子供はいないか。そう思って辺りを見回したが、幸か不幸かその場にいるのはれもんだけだった。穏やかに流れる細い川、石がごろごろする河原に人気はない。
よく考えてみれば、今日は五時間しか授業がない日だった。まだ夕方、というほど日も落ちていない平日である。平日の昼間というのは、夜より人がいないことも少なくない。なんせこの時間に平然と外を歩ける人間など、学校帰りの小学生や一部家族連れ、年配者くらいなのだから。
誰も巻き込まなくてラッキーと思うべきか、自力でなんとかしなければいけないことを嘆くべきか。
――いや、巻き込まなくて良かったって思うべきだ。あんな変なモンスターみたいなの、子供が襲われたら大変なことになる!
警察に駆け込む、には交番が遠いのは言うまでもなく。近隣の家に駆け込んだらその家の住人を巻き込みかねない。
学校に戻るなどは論外だ。学校の子供達が襲撃されたらとんでもない。――結論、自力でこいつを振り切って逃げるか、倒すかだ。
「……他人の心配をする余裕があるか。よほど自分の力に自信があると見える」
ローブの男も、獣たちを引き連れて河原へと降りて来た。ウルフ、という名の通り狼っぽいモンスターであるらしい。れもんが知る狼と違って、二本の角らしきものが生えているし目玉は三つあるし、毛色が妙に赤茶けているという印象だったが。
ぐるるるる、と唸るたびにぼたぼたと涎が落ち、鋭い牙が覗く。あれで噛みつかれたら痛いなんてものではないだろう。しかもそれを二体一緒に相手にしなければいけないなんて、いくらなんでも厄日が過ぎるのではないか。
「私とて、小学生の女の子を無闇と痛めつける趣味はない。大人しく君の“心当たり”を話してくれればそれでいい。私の話が、単なるオカルトやファンタジーの類でなさそうだということはこれでわかっただろう?」
「……まあな。魔王云々ってのが実在するかどうかはともかく。世の中には、魔法みたいな力を持ってる奴もいるってことはわかったぜ」
あのモンスター二体はなかなかすばしっこそうだ。ただ、恐らく体重はそう軽くない。蹴りや拳をうまく当てることができれば、自分の力量なら吹っ飛ばすこともできなくはなさそうだ。問題は、その隙があるかどうか、だが。
「で?あたしに心当たりがあるとしてさ。それをあんたに話したら、あんたそいつをどうするわけ?魔王として目覚めないでくださいーって優しくお願いするわけじゃないんだろ」
じりじりと後退しつつ、しゃがみこむ。
石が大量に転がっている河原。武器には事欠かない。
「それは、君が知る必要のないことだ」
「ってことは、あたしに教えることで不都合が生じるってことだ。殺すつもりかよ。前世が仮に本当に魔王だとして、今はこの世界の住人だろ。この世界で殺人でもしたのか?魔法で誰かに迷惑かけたのか?」
「わかっていないな。そうなってからでは遅いのだ。かつて、魔王は世界一つを滅ぼし、多数の人間を死に至らしめた。我々勇者は死ぬ気でその魔王と戦い、ギリギリのところで討伐することに成功したのだ。それは、あの世界が魔法や力に溢れ、対抗できる術を持つ人間が少なからずいたからこそ。……この世界ではそうはいかない。この世界の人間は、魔法も、ジョブの力も、戦うための素質も何一つ持ち合わせていない。特にこの日本は重火器の類さえ簡単に持ち出せない」
そんな場所で魔王が本格的に覚醒したらどうなると思う?と男は目を細めた。
「間違いなく、惨劇が起きる。その前に、災厄の芽は摘まなければいけない。例え、まだ魔王に前世の記憶がなかったとしても、この世界で何の罪も犯していなかったとしてもだ」
「ざけんじゃねえよ!」
思わず吠えていた。本当に紅葉白亜が魔王とやらの転生なのか?魔法とやらが使えるのか?それが真実だろうと偽りだろうと関係ない。
こいつは、まだ何の罪も犯していない人間を殺そうとしてる、それが全てだ。れもんとしては、断じて見過ごすことなどできないことだった。
「前世がどうだったとしても、一番大事なのはこの世界だろ!今生きてる人生だろ!それを、わけわかんねー理由で他人が摘み取るのか。そんな権利があんたらにあるのかよ!納得できるはずねえし、したくもねえ!」
ここでこいつを放置したら、恐らくは白亜が殺される。それだけは、避けなければいけない。
ただ逃げるだけでは駄目だ。自分達に手を出せば痛い目を見る――そう思えるくらい、一矢報いなければ気が済まない。ここで白亜を守れなかったら、それはもう橘田れもんという人間ではない。
『……ヒーローなんて、この世にはいないよ』
自分は知りたい。
あの少年の悲しそうな視線の先を。そして、そこから救いあげる方法を。
『祈れば助けてくれる、都合の良いヒーローも神様もこの世にはいない。そして、なれるとも思っちゃいけない』
――だったらあたしが、お前のヒーローになってやる!
地面を力強く蹴った。まだ話を続けるつもりだったであろう男が、面食らったように目を見開くのがわかった。同時に、まさかこっちから仕掛けてくるとは思っていなかったのだろう。
この河原で石を投げて、水切り遊びをしたことは何度もある。コントロールには自信があった。走りながら素早く投石する。
「ぎゃっ!」
二匹の狼の顔面に、立て続けにヒットする石。今だ、とれもんはその片方の狼へと距離を縮める。まずは一匹倒す。敵が一体になれば、いくらでも手の打ちようがあるというものだ。
「せやああああっ!」
「ギャンッ!」
狼の腹を、力強く蹴り上げた。つま先を立ててのフルパワーキックである。柔らかい腹に、もろに突き刺さったのがわかった。目をやられて狼狽えた狼が、血反吐を吐きながら川の方まですっとんでいく。そしてそのままどぼん、と水の中に落下した。大した深さではないが、あの川の流れはそこそこ早いし、川の真ん中までいくと足がつかないエリアもある。ダメージもあるし、すぐに戻ってくるようなことはないだろう。
――よし、もう一匹……!
そっちもさっさと片付けようと振り返ったところで、れもんは目の前に迫る影を見た。
「!」
がつん!と背中を打ち付けて息がつまった。ランドセルで多少緩和されたものの、痛いものは痛い。狼のもう一匹に、思い切り押し倒されたのである。
「くっ、このおっ……!」
どうにか肩の上に置かれた足をどけようとするものの、もがけばもがくほどぐいぐいと爪がくいこんでくる。服が破れて、皮膚が裂けたのがわかった。痛みに歯をくしいばり、足をバタつかせる。
まずい。存外力が強い。この態勢では圧倒的に不利だ。このまま喉笛に噛みつかれたら終わりだろう。
「……最後通牒だ。心当たりの人物を言いたまえ」
近づいてきた男が、もがくれもんを見下ろして言う。
「答えないなら、心苦しいがもう少し痛めつけさせてもらうことになる。君も、一生消えないような傷を受けるのは嫌だろう?女の子なら尚更に」
「て、てめえっ……!」
どうする。どうすればいい。さすがのれもんも混乱し、正常な判断力が奪われていく。そう、まさにその瞬間のことであったのだ。
「き、橘田……!?」
聞き覚えのある声がした。はっとして顔を上げたれもんは見る。土手の向こう、驚いた顔でこちらを見下ろしている少年が一人。あの水色のランドセルは。銀髪は。
「に、逃げろ、白亜!」
とっさに、れもんが叫んだのはそれだった。助けて欲しいではなく、とにかく彼に逃げて欲しいと思ったのだ。
生きるために。守るために。
「あたしは大丈夫だから、さっさと逃げろ!こいつら、マジで危えんだ!!」
結局れもんに出来たことはといえば、相手から視線を外さないまま後退りすることだけだった。それは、今まで散々喧嘩してきたゆえの、勘のようなもの。
昔ヒグマに遭遇した時もそうだった。あれも本能的に“視線を外さないで後退りするのが正解”と判断してそうしたのだ。結果的にそれが正しかったわけだが。
人間、背中を向けてしまえば攻撃から身を護ることも避けることも叶わなくなってしまうものである。
「賢明だ」
ローブの男は、ぐねぐねと曲がった木の棒のような杖を取り出し、呪文らしきものを唱えた。
「カモン、“Red-wolf”!」
するとどうだろう、男の両脇にブラックホールのような黒い渦巻が現れたではないか。まるで空中に突然穴でもあいてしまったよう。あっけにとられるれもんの前で、二つの漆黒の穴がぐるぐると渦巻いた。そして、その奥からうめき声のようなものが聞こえてくるのである。
否。
これは人間の声ではなく、獣の唸り声だとわかった。以前、山で野犬を見かけた時の声によく似ているような。
「行け」
次の瞬間、その中から赤茶色の物体が飛び出してきた。れもんは反射的に、右にジャンプする。急な下り坂になっている芝生を素早く滑り降り、川の方へ逃げる。次の瞬間、ダンッ!と重たい音がした。さっきの獣が着地した音だと気づく。
あのまま棒立ちでいたら、組みつかれて引っ掻かれていたか、噛みつかれていたか。
――周囲に人は……っ!?
誰か助けを求められる大人はいないか。逆に巻き込んではいけない子供はいないか。そう思って辺りを見回したが、幸か不幸かその場にいるのはれもんだけだった。穏やかに流れる細い川、石がごろごろする河原に人気はない。
よく考えてみれば、今日は五時間しか授業がない日だった。まだ夕方、というほど日も落ちていない平日である。平日の昼間というのは、夜より人がいないことも少なくない。なんせこの時間に平然と外を歩ける人間など、学校帰りの小学生や一部家族連れ、年配者くらいなのだから。
誰も巻き込まなくてラッキーと思うべきか、自力でなんとかしなければいけないことを嘆くべきか。
――いや、巻き込まなくて良かったって思うべきだ。あんな変なモンスターみたいなの、子供が襲われたら大変なことになる!
警察に駆け込む、には交番が遠いのは言うまでもなく。近隣の家に駆け込んだらその家の住人を巻き込みかねない。
学校に戻るなどは論外だ。学校の子供達が襲撃されたらとんでもない。――結論、自力でこいつを振り切って逃げるか、倒すかだ。
「……他人の心配をする余裕があるか。よほど自分の力に自信があると見える」
ローブの男も、獣たちを引き連れて河原へと降りて来た。ウルフ、という名の通り狼っぽいモンスターであるらしい。れもんが知る狼と違って、二本の角らしきものが生えているし目玉は三つあるし、毛色が妙に赤茶けているという印象だったが。
ぐるるるる、と唸るたびにぼたぼたと涎が落ち、鋭い牙が覗く。あれで噛みつかれたら痛いなんてものではないだろう。しかもそれを二体一緒に相手にしなければいけないなんて、いくらなんでも厄日が過ぎるのではないか。
「私とて、小学生の女の子を無闇と痛めつける趣味はない。大人しく君の“心当たり”を話してくれればそれでいい。私の話が、単なるオカルトやファンタジーの類でなさそうだということはこれでわかっただろう?」
「……まあな。魔王云々ってのが実在するかどうかはともかく。世の中には、魔法みたいな力を持ってる奴もいるってことはわかったぜ」
あのモンスター二体はなかなかすばしっこそうだ。ただ、恐らく体重はそう軽くない。蹴りや拳をうまく当てることができれば、自分の力量なら吹っ飛ばすこともできなくはなさそうだ。問題は、その隙があるかどうか、だが。
「で?あたしに心当たりがあるとしてさ。それをあんたに話したら、あんたそいつをどうするわけ?魔王として目覚めないでくださいーって優しくお願いするわけじゃないんだろ」
じりじりと後退しつつ、しゃがみこむ。
石が大量に転がっている河原。武器には事欠かない。
「それは、君が知る必要のないことだ」
「ってことは、あたしに教えることで不都合が生じるってことだ。殺すつもりかよ。前世が仮に本当に魔王だとして、今はこの世界の住人だろ。この世界で殺人でもしたのか?魔法で誰かに迷惑かけたのか?」
「わかっていないな。そうなってからでは遅いのだ。かつて、魔王は世界一つを滅ぼし、多数の人間を死に至らしめた。我々勇者は死ぬ気でその魔王と戦い、ギリギリのところで討伐することに成功したのだ。それは、あの世界が魔法や力に溢れ、対抗できる術を持つ人間が少なからずいたからこそ。……この世界ではそうはいかない。この世界の人間は、魔法も、ジョブの力も、戦うための素質も何一つ持ち合わせていない。特にこの日本は重火器の類さえ簡単に持ち出せない」
そんな場所で魔王が本格的に覚醒したらどうなると思う?と男は目を細めた。
「間違いなく、惨劇が起きる。その前に、災厄の芽は摘まなければいけない。例え、まだ魔王に前世の記憶がなかったとしても、この世界で何の罪も犯していなかったとしてもだ」
「ざけんじゃねえよ!」
思わず吠えていた。本当に紅葉白亜が魔王とやらの転生なのか?魔法とやらが使えるのか?それが真実だろうと偽りだろうと関係ない。
こいつは、まだ何の罪も犯していない人間を殺そうとしてる、それが全てだ。れもんとしては、断じて見過ごすことなどできないことだった。
「前世がどうだったとしても、一番大事なのはこの世界だろ!今生きてる人生だろ!それを、わけわかんねー理由で他人が摘み取るのか。そんな権利があんたらにあるのかよ!納得できるはずねえし、したくもねえ!」
ここでこいつを放置したら、恐らくは白亜が殺される。それだけは、避けなければいけない。
ただ逃げるだけでは駄目だ。自分達に手を出せば痛い目を見る――そう思えるくらい、一矢報いなければ気が済まない。ここで白亜を守れなかったら、それはもう橘田れもんという人間ではない。
『……ヒーローなんて、この世にはいないよ』
自分は知りたい。
あの少年の悲しそうな視線の先を。そして、そこから救いあげる方法を。
『祈れば助けてくれる、都合の良いヒーローも神様もこの世にはいない。そして、なれるとも思っちゃいけない』
――だったらあたしが、お前のヒーローになってやる!
地面を力強く蹴った。まだ話を続けるつもりだったであろう男が、面食らったように目を見開くのがわかった。同時に、まさかこっちから仕掛けてくるとは思っていなかったのだろう。
この河原で石を投げて、水切り遊びをしたことは何度もある。コントロールには自信があった。走りながら素早く投石する。
「ぎゃっ!」
二匹の狼の顔面に、立て続けにヒットする石。今だ、とれもんはその片方の狼へと距離を縮める。まずは一匹倒す。敵が一体になれば、いくらでも手の打ちようがあるというものだ。
「せやああああっ!」
「ギャンッ!」
狼の腹を、力強く蹴り上げた。つま先を立ててのフルパワーキックである。柔らかい腹に、もろに突き刺さったのがわかった。目をやられて狼狽えた狼が、血反吐を吐きながら川の方まですっとんでいく。そしてそのままどぼん、と水の中に落下した。大した深さではないが、あの川の流れはそこそこ早いし、川の真ん中までいくと足がつかないエリアもある。ダメージもあるし、すぐに戻ってくるようなことはないだろう。
――よし、もう一匹……!
そっちもさっさと片付けようと振り返ったところで、れもんは目の前に迫る影を見た。
「!」
がつん!と背中を打ち付けて息がつまった。ランドセルで多少緩和されたものの、痛いものは痛い。狼のもう一匹に、思い切り押し倒されたのである。
「くっ、このおっ……!」
どうにか肩の上に置かれた足をどけようとするものの、もがけばもがくほどぐいぐいと爪がくいこんでくる。服が破れて、皮膚が裂けたのがわかった。痛みに歯をくしいばり、足をバタつかせる。
まずい。存外力が強い。この態勢では圧倒的に不利だ。このまま喉笛に噛みつかれたら終わりだろう。
「……最後通牒だ。心当たりの人物を言いたまえ」
近づいてきた男が、もがくれもんを見下ろして言う。
「答えないなら、心苦しいがもう少し痛めつけさせてもらうことになる。君も、一生消えないような傷を受けるのは嫌だろう?女の子なら尚更に」
「て、てめえっ……!」
どうする。どうすればいい。さすがのれもんも混乱し、正常な判断力が奪われていく。そう、まさにその瞬間のことであったのだ。
「き、橘田……!?」
聞き覚えのある声がした。はっとして顔を上げたれもんは見る。土手の向こう、驚いた顔でこちらを見下ろしている少年が一人。あの水色のランドセルは。銀髪は。
「に、逃げろ、白亜!」
とっさに、れもんが叫んだのはそれだった。助けて欲しいではなく、とにかく彼に逃げて欲しいと思ったのだ。
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