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<14・ヒミツ。>
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完全に茹蛸状態だった蓮花の体を運びだし、襦袢に着替えさせて寝具に横たえる。もう、羞恥心を除けば裸を見るだの見ないだのなんてことを向こうも気にしないだろう。『彼』が隠しておきたかったであろう秘密はもう、映子にバレてしまったのだから。
そう。
映子がずっと女性だと思っていた蓮花という人物は、実は男性であったのである。
「……最悪だ。何で、風呂場で倒れたりしたんだ、俺は」
俺。
ぐったりしながら、彼ははっきりとそう言った。
「それが貴方の素なんですか、蓮花様」
「……まあな」
映子の問いに、蓮花は自嘲気味に告げる。
「天下の帝、北郷様の第一妃が、まさか男だなんてバレるわけにはいかないだろうが。なんせ、この国の今の法律では、結婚は異性同士でしか認められてないわけだしな。しかも、北郷様には世継ぎがいない。一刻も早く男児を妃に産ませなきゃいけないような身で、毎晩男ばっかり抱いているなんてわかったらそりゃあ大騒ぎだろうさ。求心力も下がる、間違いなく」
「だから、隠していたと」
「ああ。……縁花以外に、正体を話したことなんかない」
「…………」
全て、納得がいってしまった。
確かに三年も一緒にいて、情事も恐ろしい頻度でこなしているはずだというのに、何故帝と蓮花の間で子ができないのか。確かに、帝か蓮花の体のどちらかに遺伝的な疾患がある可能性も否定はできない。実際、映子もそう思っていた。だが、それならばそれで、その疾患を治すことができないかと医者に見せるのが本来筋であるはずである。
それなのに何故、北郷は医者ではなく秘術によって蓮花を治そうなどとしていたのか。
蓮花が男で、絶対子供など産めない体だとわかっていたならば、筋も通るというものである。
「北郷様は、ものすごく色好みの方であるとは聞いていましたが。まさか、男性であってもいい、とは」
男性同士、女性同士で恋に落ちることもあるとは知っている。想像つかない世界だが、だからといって気持ち悪いとまでは思わない。ただ、北郷の、やけに女に汚い(失礼)イメージとは繋がらないというだけで。
「そういうわけでもないだろうよ。北郷はことあるごとに俺に言うからな……男でも構わないと思ったのはそなたが初めてだ、みたいなことを」
「ひょっとして、蓮花様が仕事をされていた花街のお店というのは……」
「陰間茶屋じゃないぞ。普通の遊郭だ。むしろ、俺が引き取られたってのが特例だったんだろうな」
蓮花は語る。かつて彼は蓮という名の一人の少年であったと。極めて貧しい農家の家であり、母は蓮が物心ついた時にはもういなかったらしい。父を捨てて逃げたか死んだかはわからない。父に尋ねることはできなかった――母はどうした、なんて訊けば毎回、苛立ったように拳が飛んできたからだ。
金もないのに、酒浸りで、賭け事ばかりに溺れるろくでなしの父親だった。そして、借金ばかりがどんどん膨らんでいって、しまいにはヤクザものの所からもお金を借りてしまい、家に押しかけられる羽目になってしまったのだという。このままでは殺される、そう思った父は蓮を差し出すことでどうにか命を助けて貰ったのだそうだ。
「自覚はなかったが……どうやら俺は、貧しい家の者とは思えぬほど、男好みの見目であったらしいぞ。当時は特に女装などしていなくても普通に女と間違えられたからな」
ははは、と彼は乾いた声で笑う。
「こいつは使えると思ったんだろうなあ。連れてこられたのが花街だったというわけだ。そして、とある店の遣り手に声をかけられたって寸法よ。本来、女がいる遊郭と男がいる陰間茶屋は別の店のはずだ。実際、その店は女の遊女ばかりを取り扱う専門の場所だった。それなのに、遣り手の老婆は一目見て俺を引きずり込んだ。こいつならば売れると確信したということらしい……その自信はどっから出てきたのやらだがな。で、俺はそこで男でありながら『陰間ではなく遊女』として育てられたわけだ。禿の頃から女装させられ、派手な着物と簪をごてごてにつけられ、芸事をひとしきり全て教わった。……まあ、文字を教えて貰えたことに関しては有りがたいと思うよ。それまでまともに本も読めやしなかったからな」
修行を終え、一定の年齢を過ぎたところで店に出されるようになった。店は蓮の性別をきちんと明かした上で売りに出していたが、男だと言っているにも関わらず蓮の元に通う客は恐ろしい勢いで増えていったという。それは多分、着物さえきちんと着ていれば彼が男だとは誰にもわからなかったからだろう。
顔立ちの問題だけではない。年を重ねても、蓮が男性らしい声変わりを迎えなかったというのもある。一応声は変わったものの、男性と女性の中間のような高い声のまま留まってしまったのだそうだ。
それは、彼にとって絶望以外の何物でもなかったという。男らしい体つきになり、髭が生え、低い声にでもなれば。自分はきっとお役御免となり、此処から出して貰えるようになるはずだと信じていたから。運命は悲しいことに、蓮に男性らしい体つきも声も、男として生きる人生も何もかも与えてはくれなかったのだという。
「見た目がどんなに女のようでも、俺は心まで女になったわけじゃない。……どんなに男に抱かれたところで、男を恋愛的に好きになったことなんざ一度もなかったさ。……帝が相手でも、それは変わらない」
よりにもよって、何故帝が自分のいる店に来てしまったのか。
男の遊女などあり得ない、気持ち悪いと思って貰えれば良かった。実際帝は評判通りならば、それまで女性にしか興味がない趣向の持ち主であったはずだ。
何故、何故、蓮に興味を持ってしまったのだろう。
男でも構わない、なんて恐ろしい考えを抱くようになってしまったのか。彼は、己の運命を呪うしかなかったのだそうだ。
「そして、俺はこの後宮に連れて来られ、望んでもいないのに第一妃になんぞされて、今に至るというわけだ。……いっそ喜劇だと思わんか。妃の最大の仕事は子供を作ることであるはずなのに、俺が来てから帝は俺以外の妃をろくに抱くこともしないのだから」
「それほどまでに、蓮花様のことを愛されているということですか……」
「それも違うだろうさ。あの男が好きなのは俺じゃない。この顔と体だけ。俺の心なんぞまったく見てもいないんだ。だから……俺の意思なんか無視して、秘術で俺の体を作り変えて子供を産ませようとしている。何でも、神と同じように両性具有になれる秘術だという。それを用いれば、男とも女とも子を成せる肉体になれるのだと。……想像するだけで、吐き気がする。俺の心は男だというのに!」
ぐしゃり、と自らの前髪を掴み、蓮花は吐き捨てた。ああ、今ようやくわかった。蓮花が何故、これほどまでに帝を忌み嫌っているのか。この場所を呪っているのか。そして、この場所に望んできたわけではない縁花に、心を寄せるようになったのか――。
全ては、誰よりも残酷で無慈悲な運命の中にあったがゆえに。
それゆえのことであったのだと。
「頼むから、この秘密は誰にも話さないでくれよ」
その手に隠れて、蓮花はぽつりと呟いた。
「ああ、出来れば。……映子、貴様にだけはこの体、知られたくはなかったのだがな……」
「え」
それは、どういう意味だろう。映子は戸惑う。
そうだ、よくよく考えてみれば。蓮花の正体について、帝は公認なのである。あの様子だと他の妃や女官たちは知らないのだろうが、少なくとも御付きとなった映子にだけは最初から話しておいた方が良いことではなかったか。何せ、一番身の回りの世話をするのだから。
勿論、実際自分達が異性であるというのであれば、羞恥心が伴うのも事実だろう。しかし、それでも映子にだけは教えておいた方が都合の良いことも多かったはずだというのに。
「……その、わたくしはそこまで口が軽いと思われていた、ということでしょうか」
思わず口に出した言葉は、自分で思っていた以上に気落ちした響きを持って宙へと霧散した。
「そりゃ、まだ蓮花様の御付きになってさほど時間は過ぎていませんし。わたくしは、非常にその……思ったことはきっぱりはっきりと言ってしまう質ではありますけれど。それでも、約束して欲しいと頼まれたことを破るほど薄情者ではないつもりでしてよ。それなのに……」
「そんなこと一言も言ってないだろう、馬鹿か貴様は」
「ばっ」
何でここで毒舌が炸裂するのだ。心外だ、と映子が眉を吊り上げた、その時。
「映子、貴様はかつて自分で俺に尋ねたことも忘れたか。好いた相手がいるかどうかとそう訊いてきただろう。既に確信があったのではないのか」
予想外の言葉が飛んできた。映子は固まる。確かに自分は、縁花が失踪した直後に蓮花にそう尋ねたはずだ。
『もしや……蓮花様も、どなたかお慕いになられる方が?』
もしかして、という疑問が一瞬湧いて、しかしすぎに掻き消された。
いや、だがしかし。まさかそのようなことがあるはずだ。
でも、蓮花が実は男であったというのなら。心はずっと、男のままであったというのであれば。
「俺は、初めて会った時から……貴様のことが好きだ、映子」
それはとても残酷で、美しく、まるで突き刺すような一つの真実。
「初めて貴様を見た時には惚れていた。一目惚れというものだった。貴様は俺が今まで見てきたどのような女たちよりも美しく、野心に満ち、勇敢に見えたからな」
「え、え……そん、な」
「良い。答えなど必要ない。ただ、そういう貴様と対等でいられるのはあくまで俺が“私”であるからこそだと分かっていた。妃であり、同性だからこそ、余計なものを感じずに貴様はただただ一人の人間として俺を見てくれるはずだと」
だから知られたくなかったのだ、と。泣きそうな声で、蓮花は告げたのだ。
「忘れてくれて構わん。ただ、秘密は守り通してくれ。……所詮俺は、帝に囚われた籠の鳥。好きでもない男に散々穢され、魂さえも壊されそうとしている憐れな存在にすぎぬ。女官である貴様と、結ばれることなど絶対にあり得ないのだからな……」
そう。
映子がずっと女性だと思っていた蓮花という人物は、実は男性であったのである。
「……最悪だ。何で、風呂場で倒れたりしたんだ、俺は」
俺。
ぐったりしながら、彼ははっきりとそう言った。
「それが貴方の素なんですか、蓮花様」
「……まあな」
映子の問いに、蓮花は自嘲気味に告げる。
「天下の帝、北郷様の第一妃が、まさか男だなんてバレるわけにはいかないだろうが。なんせ、この国の今の法律では、結婚は異性同士でしか認められてないわけだしな。しかも、北郷様には世継ぎがいない。一刻も早く男児を妃に産ませなきゃいけないような身で、毎晩男ばっかり抱いているなんてわかったらそりゃあ大騒ぎだろうさ。求心力も下がる、間違いなく」
「だから、隠していたと」
「ああ。……縁花以外に、正体を話したことなんかない」
「…………」
全て、納得がいってしまった。
確かに三年も一緒にいて、情事も恐ろしい頻度でこなしているはずだというのに、何故帝と蓮花の間で子ができないのか。確かに、帝か蓮花の体のどちらかに遺伝的な疾患がある可能性も否定はできない。実際、映子もそう思っていた。だが、それならばそれで、その疾患を治すことができないかと医者に見せるのが本来筋であるはずである。
それなのに何故、北郷は医者ではなく秘術によって蓮花を治そうなどとしていたのか。
蓮花が男で、絶対子供など産めない体だとわかっていたならば、筋も通るというものである。
「北郷様は、ものすごく色好みの方であるとは聞いていましたが。まさか、男性であってもいい、とは」
男性同士、女性同士で恋に落ちることもあるとは知っている。想像つかない世界だが、だからといって気持ち悪いとまでは思わない。ただ、北郷の、やけに女に汚い(失礼)イメージとは繋がらないというだけで。
「そういうわけでもないだろうよ。北郷はことあるごとに俺に言うからな……男でも構わないと思ったのはそなたが初めてだ、みたいなことを」
「ひょっとして、蓮花様が仕事をされていた花街のお店というのは……」
「陰間茶屋じゃないぞ。普通の遊郭だ。むしろ、俺が引き取られたってのが特例だったんだろうな」
蓮花は語る。かつて彼は蓮という名の一人の少年であったと。極めて貧しい農家の家であり、母は蓮が物心ついた時にはもういなかったらしい。父を捨てて逃げたか死んだかはわからない。父に尋ねることはできなかった――母はどうした、なんて訊けば毎回、苛立ったように拳が飛んできたからだ。
金もないのに、酒浸りで、賭け事ばかりに溺れるろくでなしの父親だった。そして、借金ばかりがどんどん膨らんでいって、しまいにはヤクザものの所からもお金を借りてしまい、家に押しかけられる羽目になってしまったのだという。このままでは殺される、そう思った父は蓮を差し出すことでどうにか命を助けて貰ったのだそうだ。
「自覚はなかったが……どうやら俺は、貧しい家の者とは思えぬほど、男好みの見目であったらしいぞ。当時は特に女装などしていなくても普通に女と間違えられたからな」
ははは、と彼は乾いた声で笑う。
「こいつは使えると思ったんだろうなあ。連れてこられたのが花街だったというわけだ。そして、とある店の遣り手に声をかけられたって寸法よ。本来、女がいる遊郭と男がいる陰間茶屋は別の店のはずだ。実際、その店は女の遊女ばかりを取り扱う専門の場所だった。それなのに、遣り手の老婆は一目見て俺を引きずり込んだ。こいつならば売れると確信したということらしい……その自信はどっから出てきたのやらだがな。で、俺はそこで男でありながら『陰間ではなく遊女』として育てられたわけだ。禿の頃から女装させられ、派手な着物と簪をごてごてにつけられ、芸事をひとしきり全て教わった。……まあ、文字を教えて貰えたことに関しては有りがたいと思うよ。それまでまともに本も読めやしなかったからな」
修行を終え、一定の年齢を過ぎたところで店に出されるようになった。店は蓮の性別をきちんと明かした上で売りに出していたが、男だと言っているにも関わらず蓮の元に通う客は恐ろしい勢いで増えていったという。それは多分、着物さえきちんと着ていれば彼が男だとは誰にもわからなかったからだろう。
顔立ちの問題だけではない。年を重ねても、蓮が男性らしい声変わりを迎えなかったというのもある。一応声は変わったものの、男性と女性の中間のような高い声のまま留まってしまったのだそうだ。
それは、彼にとって絶望以外の何物でもなかったという。男らしい体つきになり、髭が生え、低い声にでもなれば。自分はきっとお役御免となり、此処から出して貰えるようになるはずだと信じていたから。運命は悲しいことに、蓮に男性らしい体つきも声も、男として生きる人生も何もかも与えてはくれなかったのだという。
「見た目がどんなに女のようでも、俺は心まで女になったわけじゃない。……どんなに男に抱かれたところで、男を恋愛的に好きになったことなんざ一度もなかったさ。……帝が相手でも、それは変わらない」
よりにもよって、何故帝が自分のいる店に来てしまったのか。
男の遊女などあり得ない、気持ち悪いと思って貰えれば良かった。実際帝は評判通りならば、それまで女性にしか興味がない趣向の持ち主であったはずだ。
何故、何故、蓮に興味を持ってしまったのだろう。
男でも構わない、なんて恐ろしい考えを抱くようになってしまったのか。彼は、己の運命を呪うしかなかったのだそうだ。
「そして、俺はこの後宮に連れて来られ、望んでもいないのに第一妃になんぞされて、今に至るというわけだ。……いっそ喜劇だと思わんか。妃の最大の仕事は子供を作ることであるはずなのに、俺が来てから帝は俺以外の妃をろくに抱くこともしないのだから」
「それほどまでに、蓮花様のことを愛されているということですか……」
「それも違うだろうさ。あの男が好きなのは俺じゃない。この顔と体だけ。俺の心なんぞまったく見てもいないんだ。だから……俺の意思なんか無視して、秘術で俺の体を作り変えて子供を産ませようとしている。何でも、神と同じように両性具有になれる秘術だという。それを用いれば、男とも女とも子を成せる肉体になれるのだと。……想像するだけで、吐き気がする。俺の心は男だというのに!」
ぐしゃり、と自らの前髪を掴み、蓮花は吐き捨てた。ああ、今ようやくわかった。蓮花が何故、これほどまでに帝を忌み嫌っているのか。この場所を呪っているのか。そして、この場所に望んできたわけではない縁花に、心を寄せるようになったのか――。
全ては、誰よりも残酷で無慈悲な運命の中にあったがゆえに。
それゆえのことであったのだと。
「頼むから、この秘密は誰にも話さないでくれよ」
その手に隠れて、蓮花はぽつりと呟いた。
「ああ、出来れば。……映子、貴様にだけはこの体、知られたくはなかったのだがな……」
「え」
それは、どういう意味だろう。映子は戸惑う。
そうだ、よくよく考えてみれば。蓮花の正体について、帝は公認なのである。あの様子だと他の妃や女官たちは知らないのだろうが、少なくとも御付きとなった映子にだけは最初から話しておいた方が良いことではなかったか。何せ、一番身の回りの世話をするのだから。
勿論、実際自分達が異性であるというのであれば、羞恥心が伴うのも事実だろう。しかし、それでも映子にだけは教えておいた方が都合の良いことも多かったはずだというのに。
「……その、わたくしはそこまで口が軽いと思われていた、ということでしょうか」
思わず口に出した言葉は、自分で思っていた以上に気落ちした響きを持って宙へと霧散した。
「そりゃ、まだ蓮花様の御付きになってさほど時間は過ぎていませんし。わたくしは、非常にその……思ったことはきっぱりはっきりと言ってしまう質ではありますけれど。それでも、約束して欲しいと頼まれたことを破るほど薄情者ではないつもりでしてよ。それなのに……」
「そんなこと一言も言ってないだろう、馬鹿か貴様は」
「ばっ」
何でここで毒舌が炸裂するのだ。心外だ、と映子が眉を吊り上げた、その時。
「映子、貴様はかつて自分で俺に尋ねたことも忘れたか。好いた相手がいるかどうかとそう訊いてきただろう。既に確信があったのではないのか」
予想外の言葉が飛んできた。映子は固まる。確かに自分は、縁花が失踪した直後に蓮花にそう尋ねたはずだ。
『もしや……蓮花様も、どなたかお慕いになられる方が?』
もしかして、という疑問が一瞬湧いて、しかしすぎに掻き消された。
いや、だがしかし。まさかそのようなことがあるはずだ。
でも、蓮花が実は男であったというのなら。心はずっと、男のままであったというのであれば。
「俺は、初めて会った時から……貴様のことが好きだ、映子」
それはとても残酷で、美しく、まるで突き刺すような一つの真実。
「初めて貴様を見た時には惚れていた。一目惚れというものだった。貴様は俺が今まで見てきたどのような女たちよりも美しく、野心に満ち、勇敢に見えたからな」
「え、え……そん、な」
「良い。答えなど必要ない。ただ、そういう貴様と対等でいられるのはあくまで俺が“私”であるからこそだと分かっていた。妃であり、同性だからこそ、余計なものを感じずに貴様はただただ一人の人間として俺を見てくれるはずだと」
だから知られたくなかったのだ、と。泣きそうな声で、蓮花は告げたのだ。
「忘れてくれて構わん。ただ、秘密は守り通してくれ。……所詮俺は、帝に囚われた籠の鳥。好きでもない男に散々穢され、魂さえも壊されそうとしている憐れな存在にすぎぬ。女官である貴様と、結ばれることなど絶対にあり得ないのだからな……」
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