21 / 42
<21・勇者アヤナの策略>
しおりを挟む
西の勇者が、北の魔王に落とされた。その情報はすぐにアヤナに伝わった。アヤナの能力も他の勇者同様、メリッサの支配地域のみ有効であるため、東の地の外に恋奴隷を走らせることはできないのだが。それでも、自由に動ける人材がいないわけではない。アヤナに唯一外の情報を知らせることができる人物こそ、己に加護を与えた女神であるメリッサその人である。
女神であっても、己の支配区域以外に出向けば力は落ちるし、向こうの女神に感知されるので妨害を受ける可能性がある。が、殊に北の地域の場合は、後者の心配はない。北には女神の守護がない。メリッサがこっそりと出入りしても、余計な干渉を受ける心配はないのである。
「まあ、北の地域にも私の力を及ぼすことができたら話は早かったんだけど。どうにか、支配地域を広げることはできないの?メリッサ」
「……それが簡単にできたら苦労なんかしないわ」
屋敷で、選りすぐりのイケメン達にマッサージを受けながら。報告を受けるアヤナに、メリッサは苦い顔を向けてくる。
「他の女神の支配地域を奪い取るための、代理戦争として勇者を呼び出した形なのよ。勇者を倒し、女神を屈服させればその地域は手に入り私の加護を及ぼすこともできるようになるけれど。……そうするまでは、それぞれの力は拮抗したまま。他の地域まで、私の加護……ひいては貴女の能力を発揮させることはできないわ」
「それがわからないのよ、メリッサ。西と南に、東のメリッサの力が届かないのはわかる。でも、北には女神の加護なんかないのよ?何故北の地域でも無理なの。他の女神に邪魔されるわけでもないっていうのに」
そこが、どうしてもわからなかった点である。何故北の地だけ女神がいないのか?というのも長年の疑問ではあるが。女神の加護のない土地など簡単に奪えそうなのに、奪えずにいるのもどうしても疑問だ。
存在するのは神でも神を信じる者達でもない。チートスキルを持った勇者もいない、ただの現地住民たちだけであるはずだというのに。
「……いくつか要因があるけれど、やはり“勝ち取った土地”ではないからそもそも影響が及びにくいのがまずひとつね」
その質問はきっと、メリッサも予想できていたことだろう。化粧台の椅子を引っ張ってきて勝手に座ると、はあ、と大きくため息をつく。それを見てアヤナは苦い気持ちになった。この世界の女神という存在が、存外俗物であることは知っているのだ。彼女達は人間に少しでも近い生活を好む。だから人間と同じモノも食べたがるし、性欲や排泄もそれなりにあると知っている。死にもしないし老いもしないので、やはり普通の人間とは大きく異なる存在であることに変わりはないのだけれど。同時に、自身が永遠に死なない存在であるがゆえか、子供を作ることもできない存在だとは聞いている。彼女らにとって性的な交渉は、単なる興味と欲望を満たすものに過ぎないのだ。
そう、そんな彼女達だが。実情は遥かに俗物であるはずだというのに、世間ではまるで“清廉潔白な聖母”のような扱いを受けているというのがおかしな話だ。長年生きてきて自堕落に生活して、処女だなんてあるはずもないというのに。そして、中途半端に人間たちの欲を反映して非常にあられもない服装と姿をしている。スケスケで露出の高い服に加え、なんといっても下着を一切身につけていないのだ。
まあ、ようするに。自分の家で、ノーパンで椅子に座るのは本気でやめてほしいわけである。あの椅子は後で掃除させて消毒もしっかりしないと、と心の底から思うアヤナだ。いや、信者の中には女神がノーパンで座った椅子を高値で買取りたがるモノ好きもいそうなので、いっそ売り飛ばしてしまうというの選択肢としてあるか。いずれにせよ自分は勇者であっても女神の信者ではないので、その感覚は全く理解できない。
「それと。あの“魔王”の力が、想像以上に大きいっていうのもあるわ」
「大袈裟ね。たかが人間じゃない。人間にしては戦闘能力も高いし頭も回るみたいだけど、それだけだわ。チートを持った勇者には及ぶべくもない存在でしょ」
「そうね。でも……元々彼も異世界人なのよ。記憶は失ってるみたいだけど。異世界から突如事故で転生か転移してきて、現地で記憶のない状態で育てられたっていう生い立ちらしくて。勇者ではないけど、勇者に近いプロセスを踏んだ上で現地住人の信頼を得ているわけ。……信頼っていうのはね、信仰に限りなく近いの。その絆が強ければ強いほど、見えないところで大きな力を持つことになる。女神がまさに、そういう存在であるようにね。バカにはならないのよ。現にあの魔王がいることで、女神がいないはずの北の地域を誰も侵攻できずにいるんだから」
「信頼、ねえ」
ふん、とアヤナは鼻を鳴らす。それは、何よりも嫌いな言葉の一つだった。
「くだらないわ。人の心や絆なんて簡単に移ろうものよ。人は結局自分の事しか考えられない、身勝手なイキモノなんだから。誰かのために命を賭けられるバカなんか、現実に存在するわけがないのに」
魔王・アーリアの写真は自分も何度か見たことがある。異性であるため多少イライラは少ないが――それでも、そのお綺麗な顔は見ているだけで腹立たしいものだった。大きな、まるで夢や希望を詰め込んだような青い眼。金色の髪。白い肌に笑顔。あんな世間知らずにそうなお子様に、何故北の人々はついていく気になったのか。何か騙されてでもいるのではないか。
それともアレか。結局――顔が全て、ということなのか。カッコよければ、美しければ、何をやっても説得力があるし簡単に信頼を集められる、と。
『うわあ、こっちに来るなよブス!江尻菌が感染るだろー!キッタネー!!』
ずきり、と胸の奥の古傷が痛む。もう今の自分は、誰からも指をさされてクスクス笑われるような、ブサイク極まりない“江尻彩名”ではない。美しく、可憐な容姿に。そして勇者という名の選ばれたチート能力を持つ存在に生まれ変わったのだ。断じて、もう同じことは起こらない。それがわかっているのに、どうして今あんな罵倒を思い出すのだろう。
奴らに復讐できなかったことが、唯一の未練であるからだろうか。美しく可憐になった姿を見せつけ、踏みつけてやれなかったから、だから。
――わかってるわよ、忘れるべきなんだってことくらい。もう私は、ブサイクで何をやってもダメな……“バイキン江尻”じゃないんだから!あんなクズどものことなんかさっさと忘れて、今のこの世界で幸せになって生きるべきなんだから……!
そうだ、アーリア。やつのせいだ。奴がそのお綺麗な顔だけで、皆の信頼を集めて魔王なんて名乗るものだから。
そんなもの、幻想だと思い知らせてやらねば気がすまない。奴の力なんて、本物の勇者たるアヤナには簡単に打ち砕けることを。彼が持つ信頼という武器など、アヤナが望めば簡単に瓦解することを――そうだ、証明すればこの胸のモヤモヤも晴れるはずなのである。自分は何一つ、間違ったことなどしてはいないのだから。
自分が勇者、なんて面倒な仕事を引き受けることにしたのもそのためだ。自分は報われたと、正しいと証明するために。自分をこの美しい顔に生まれ変わらせてくれ、チートな力をくれたメリッサにささやかながら恩返しをしてあげるために。勇者の仕事を完遂し、北も西も南も全ての地域を手に入れ、すべての美しい男をこの足元に傅かせてやるのである。あのアーリアも、例外ではない。
「……西の勇者が倒れたということは。現状西の地域は、魔王が手に入れた。そういうことになるのかしら?」
荒ぶる心を抑えつけ、言葉にすれば。大体それであってると思うわ、とメリッサは告げた。
「だからって、私達の“力”には特別影響があるわけではないのだけれどね。……ただ、このままの勢いで北の魔王が東と南にも侵攻を開始してくる可能性はあるし……仮に南を先に攻めたとしても、魔王の力をこれ以上強大にするのは危険だと思うわよ。どうするの、アヤナ」
「あら、私の力を疑ってるのかしら。心配性な女神様ね」
もう少し自分を信じて欲しいものだ、とアヤナは思う。自分とメリッサの間にも、信頼なんてものはないことくらいわかっている。仕事の上での、ある種ビジネスライクに近い関係だ。それでも女神とて他の女神をギャフンと言わせたいから自分を呼び出したわけだし、偵察なんて仕事も言われるがままこなしてくれるのはつまりそういうことであるわけで。
自分は、西の勇者であるマサユキほど馬鹿ではないのだ。そして自分の力はマサユキのようなぼんやりとしたものでもなければ、戦いに使いにくい力というわけでもない。戦闘になれば、恋奴隷達が一斉に牙を剥き――襲って来た者達も次々虜にしてしまうことのできるとんでもない能力なのである。抗う術はない。少し頭を使って戦えば、負ける心配などどうしてする必要があるだろうか。
「マサユキの敗因は明白よ。せっかく、向こうが慌てるような奴隷……もとい人質を奪うことができたのに、それをまともに活用しようともしないんだもの。北の地域に直接乗り込んでいくなんて馬鹿のすることだわ。自分の能力が西でしか効かないことにも気づいてなかったんだとしたら、間抜け以外の何物でもないもの」
戦えば最強のスキル。しかし、効果が及ぶのは己の女神の支配地域のみ。そして、いくら東の地域で恋奴隷にした男であっても、東の地域を抜ければ洗脳が解けてしまうことは既に経験からわかっていることである。西の地域にハッパをかけに行った部隊は、その実洗脳のみならず“仲間や家族”と人質にするなどを駆使して部隊を動かしたのだ。洗脳が解けたところで、人質を取られていては彼らも抗う術などないのだから。
勿論、それができても最も自分たちが力を発揮できるのが己のホームグラウンドであることは言うまでもなく。よその地域では、新たに恋奴隷を増やすこともできないのは事実だ。よって。
「やるべきことは一つ。……北の魔王軍の方から、こちらに乗り込んでくるように仕向ければいいのよ。東で戦えば、この勇者・アヤナに負けなんてないんだから」
女神であっても、己の支配区域以外に出向けば力は落ちるし、向こうの女神に感知されるので妨害を受ける可能性がある。が、殊に北の地域の場合は、後者の心配はない。北には女神の守護がない。メリッサがこっそりと出入りしても、余計な干渉を受ける心配はないのである。
「まあ、北の地域にも私の力を及ぼすことができたら話は早かったんだけど。どうにか、支配地域を広げることはできないの?メリッサ」
「……それが簡単にできたら苦労なんかしないわ」
屋敷で、選りすぐりのイケメン達にマッサージを受けながら。報告を受けるアヤナに、メリッサは苦い顔を向けてくる。
「他の女神の支配地域を奪い取るための、代理戦争として勇者を呼び出した形なのよ。勇者を倒し、女神を屈服させればその地域は手に入り私の加護を及ぼすこともできるようになるけれど。……そうするまでは、それぞれの力は拮抗したまま。他の地域まで、私の加護……ひいては貴女の能力を発揮させることはできないわ」
「それがわからないのよ、メリッサ。西と南に、東のメリッサの力が届かないのはわかる。でも、北には女神の加護なんかないのよ?何故北の地域でも無理なの。他の女神に邪魔されるわけでもないっていうのに」
そこが、どうしてもわからなかった点である。何故北の地だけ女神がいないのか?というのも長年の疑問ではあるが。女神の加護のない土地など簡単に奪えそうなのに、奪えずにいるのもどうしても疑問だ。
存在するのは神でも神を信じる者達でもない。チートスキルを持った勇者もいない、ただの現地住民たちだけであるはずだというのに。
「……いくつか要因があるけれど、やはり“勝ち取った土地”ではないからそもそも影響が及びにくいのがまずひとつね」
その質問はきっと、メリッサも予想できていたことだろう。化粧台の椅子を引っ張ってきて勝手に座ると、はあ、と大きくため息をつく。それを見てアヤナは苦い気持ちになった。この世界の女神という存在が、存外俗物であることは知っているのだ。彼女達は人間に少しでも近い生活を好む。だから人間と同じモノも食べたがるし、性欲や排泄もそれなりにあると知っている。死にもしないし老いもしないので、やはり普通の人間とは大きく異なる存在であることに変わりはないのだけれど。同時に、自身が永遠に死なない存在であるがゆえか、子供を作ることもできない存在だとは聞いている。彼女らにとって性的な交渉は、単なる興味と欲望を満たすものに過ぎないのだ。
そう、そんな彼女達だが。実情は遥かに俗物であるはずだというのに、世間ではまるで“清廉潔白な聖母”のような扱いを受けているというのがおかしな話だ。長年生きてきて自堕落に生活して、処女だなんてあるはずもないというのに。そして、中途半端に人間たちの欲を反映して非常にあられもない服装と姿をしている。スケスケで露出の高い服に加え、なんといっても下着を一切身につけていないのだ。
まあ、ようするに。自分の家で、ノーパンで椅子に座るのは本気でやめてほしいわけである。あの椅子は後で掃除させて消毒もしっかりしないと、と心の底から思うアヤナだ。いや、信者の中には女神がノーパンで座った椅子を高値で買取りたがるモノ好きもいそうなので、いっそ売り飛ばしてしまうというの選択肢としてあるか。いずれにせよ自分は勇者であっても女神の信者ではないので、その感覚は全く理解できない。
「それと。あの“魔王”の力が、想像以上に大きいっていうのもあるわ」
「大袈裟ね。たかが人間じゃない。人間にしては戦闘能力も高いし頭も回るみたいだけど、それだけだわ。チートを持った勇者には及ぶべくもない存在でしょ」
「そうね。でも……元々彼も異世界人なのよ。記憶は失ってるみたいだけど。異世界から突如事故で転生か転移してきて、現地で記憶のない状態で育てられたっていう生い立ちらしくて。勇者ではないけど、勇者に近いプロセスを踏んだ上で現地住人の信頼を得ているわけ。……信頼っていうのはね、信仰に限りなく近いの。その絆が強ければ強いほど、見えないところで大きな力を持つことになる。女神がまさに、そういう存在であるようにね。バカにはならないのよ。現にあの魔王がいることで、女神がいないはずの北の地域を誰も侵攻できずにいるんだから」
「信頼、ねえ」
ふん、とアヤナは鼻を鳴らす。それは、何よりも嫌いな言葉の一つだった。
「くだらないわ。人の心や絆なんて簡単に移ろうものよ。人は結局自分の事しか考えられない、身勝手なイキモノなんだから。誰かのために命を賭けられるバカなんか、現実に存在するわけがないのに」
魔王・アーリアの写真は自分も何度か見たことがある。異性であるため多少イライラは少ないが――それでも、そのお綺麗な顔は見ているだけで腹立たしいものだった。大きな、まるで夢や希望を詰め込んだような青い眼。金色の髪。白い肌に笑顔。あんな世間知らずにそうなお子様に、何故北の人々はついていく気になったのか。何か騙されてでもいるのではないか。
それともアレか。結局――顔が全て、ということなのか。カッコよければ、美しければ、何をやっても説得力があるし簡単に信頼を集められる、と。
『うわあ、こっちに来るなよブス!江尻菌が感染るだろー!キッタネー!!』
ずきり、と胸の奥の古傷が痛む。もう今の自分は、誰からも指をさされてクスクス笑われるような、ブサイク極まりない“江尻彩名”ではない。美しく、可憐な容姿に。そして勇者という名の選ばれたチート能力を持つ存在に生まれ変わったのだ。断じて、もう同じことは起こらない。それがわかっているのに、どうして今あんな罵倒を思い出すのだろう。
奴らに復讐できなかったことが、唯一の未練であるからだろうか。美しく可憐になった姿を見せつけ、踏みつけてやれなかったから、だから。
――わかってるわよ、忘れるべきなんだってことくらい。もう私は、ブサイクで何をやってもダメな……“バイキン江尻”じゃないんだから!あんなクズどものことなんかさっさと忘れて、今のこの世界で幸せになって生きるべきなんだから……!
そうだ、アーリア。やつのせいだ。奴がそのお綺麗な顔だけで、皆の信頼を集めて魔王なんて名乗るものだから。
そんなもの、幻想だと思い知らせてやらねば気がすまない。奴の力なんて、本物の勇者たるアヤナには簡単に打ち砕けることを。彼が持つ信頼という武器など、アヤナが望めば簡単に瓦解することを――そうだ、証明すればこの胸のモヤモヤも晴れるはずなのである。自分は何一つ、間違ったことなどしてはいないのだから。
自分が勇者、なんて面倒な仕事を引き受けることにしたのもそのためだ。自分は報われたと、正しいと証明するために。自分をこの美しい顔に生まれ変わらせてくれ、チートな力をくれたメリッサにささやかながら恩返しをしてあげるために。勇者の仕事を完遂し、北も西も南も全ての地域を手に入れ、すべての美しい男をこの足元に傅かせてやるのである。あのアーリアも、例外ではない。
「……西の勇者が倒れたということは。現状西の地域は、魔王が手に入れた。そういうことになるのかしら?」
荒ぶる心を抑えつけ、言葉にすれば。大体それであってると思うわ、とメリッサは告げた。
「だからって、私達の“力”には特別影響があるわけではないのだけれどね。……ただ、このままの勢いで北の魔王が東と南にも侵攻を開始してくる可能性はあるし……仮に南を先に攻めたとしても、魔王の力をこれ以上強大にするのは危険だと思うわよ。どうするの、アヤナ」
「あら、私の力を疑ってるのかしら。心配性な女神様ね」
もう少し自分を信じて欲しいものだ、とアヤナは思う。自分とメリッサの間にも、信頼なんてものはないことくらいわかっている。仕事の上での、ある種ビジネスライクに近い関係だ。それでも女神とて他の女神をギャフンと言わせたいから自分を呼び出したわけだし、偵察なんて仕事も言われるがままこなしてくれるのはつまりそういうことであるわけで。
自分は、西の勇者であるマサユキほど馬鹿ではないのだ。そして自分の力はマサユキのようなぼんやりとしたものでもなければ、戦いに使いにくい力というわけでもない。戦闘になれば、恋奴隷達が一斉に牙を剥き――襲って来た者達も次々虜にしてしまうことのできるとんでもない能力なのである。抗う術はない。少し頭を使って戦えば、負ける心配などどうしてする必要があるだろうか。
「マサユキの敗因は明白よ。せっかく、向こうが慌てるような奴隷……もとい人質を奪うことができたのに、それをまともに活用しようともしないんだもの。北の地域に直接乗り込んでいくなんて馬鹿のすることだわ。自分の能力が西でしか効かないことにも気づいてなかったんだとしたら、間抜け以外の何物でもないもの」
戦えば最強のスキル。しかし、効果が及ぶのは己の女神の支配地域のみ。そして、いくら東の地域で恋奴隷にした男であっても、東の地域を抜ければ洗脳が解けてしまうことは既に経験からわかっていることである。西の地域にハッパをかけに行った部隊は、その実洗脳のみならず“仲間や家族”と人質にするなどを駆使して部隊を動かしたのだ。洗脳が解けたところで、人質を取られていては彼らも抗う術などないのだから。
勿論、それができても最も自分たちが力を発揮できるのが己のホームグラウンドであることは言うまでもなく。よその地域では、新たに恋奴隷を増やすこともできないのは事実だ。よって。
「やるべきことは一つ。……北の魔王軍の方から、こちらに乗り込んでくるように仕向ければいいのよ。東で戦えば、この勇者・アヤナに負けなんてないんだから」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる