無題

いろ

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無題

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昔、小説で読んだ。

人は真っ暗な空間に1人で放置されるよりも、
真っ白な何も無い空間に1人で放置される方が
恐怖心を覚えると。

真っ暗な空間に1人でいる時、おばけが出るかもとか、何があるかわからないとか、個が持つ想像によって、恐怖心が芽ばえる。

しかし、真っ白な空間にひとりぼっちになった時、何も無いという状況に絶望感を抱くのだ。そしてそれが恐怖心へと変わる。


真っ暗な夜道を1人で歩く。
満月が神々しく光っている。
秋も終盤。寒さが痛い。
空気は澄んでいる。
田舎だから外灯なんてものはない。
そんな、今自分が置かれている状況が好きだ。
狭っ苦しい学校よりも、うるさいことを言われる家よりも、友達と歩く帰り道よりも。

私の周りは、ある意味で真っ黒な空間。そしてある意味では真っ白な空間なのだ。

学校の先生になりたかった。
中学二年生のとき、自分を救ってくれた先生のような、先生になりたかった。
高校も普通科に入った。
けど、お金がなかった。
親に通帳を見せられた。
合計のところがマイナスだった。
大学に行くお金がなかったのだ。
親を恨んだ。
恨んだってこんな不景気な世の中、仕方がないと思った。
でも、誰かを恨まなきゃ壊れてしまいそうだった。

それから、私は趣味でギターを始めた。
習っていたピアノはお金が無くて続けられなかったから、独学でやることにした。バイトをした。部活動に被らないよう、きっちりシフトを入れた。男子の中に混ざってゲームをした。夜中まで。そんな時間が幸せだった。
みんなに馬鹿だと言われた。
「中学校の時はあんなに勉強できたのにね」
「中学校の時はあんなに真面目だったのにね」

煩い。五月蝿い五月蝿い。

取り返しがつかなくなるまで落ちることろまで落ちるって決めた。我ながら馬鹿だなと思う。でもそうでもしないと諦められなかった。
その時、未来が真っ暗に見えた。

ヘッドフォンを買った。ワイヤレスのヘッドフォン。学校でヘッドフォンを付けてるのなんて私だけ。変人だって思われたってどうでもいい。
音楽を聞いている時が1番幸せだった。
音楽の世界に私だけ。これが自分の中での真っ白の世界だ。

彼氏はいる。たまに病んでしまう私のことを唯一元気づけてくれる存在。でも、いつか居なくなってしまうんじゃないかと思うと、本当に怖かった。自分にはもったいない人だなといつも思う。わたしは幸せものだ。

これくらいにしとこうか。くだらない話は。
自分に酔っていると言われたら、それは正解だと言うだろう。
でも、こんなくだらない世界をたった1度過ごすなら、やりたいことをやりたいだけやればいいと思うんだ。

それだけ。では、また。
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