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おまけ
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※女装(下着程度)・アナル舐め・耳舐めなどの描写があります(あっさりしてます)(瑛士はどこでも綺麗だよの精神です)
気紛れに訪れた小洒落たバーは同性を愛する男達の出会いの場だった。心配げな笑みを浮かべながら一見の客へ店の説明をするバーテンダーに、角川は笑って頷く。
「ただお酒を飲みに来られるだけでも歓迎しておりますし、強引な誘いはご遠慮頂いております。何かございましたらどうぞ遠慮なくおっしゃって下さいね」
「ああ、そうするよ」
角川にそちらの趣味はなく、けれどバーの雰囲気は気に入った。我は出さず、けれど退屈もさせないバーテンダーのスタンスも、何より腕も良かった。
しばらく通ってみるかと思い起こした当時の自分を、今の角川は手放しで褒め称える。この店に通ったおかげで彼に出会えたのだから。
バーに通い出して三回目の訪問。彼はカウンターの隅に腰掛け、静かにグラスを傾けていた。反対の隅に座り、他に誰もいないおかげで見れた横顔は小綺麗に整っていた。
盗み見る角川など微塵も気にせず、それとも気付いていないのか。彼の視線は蛍光色のカクテルに注がれている。それが無性に歯痒くなる。
気付くと角川は彼の隣に移り、彼に話し掛けていた。彼はその目を角川に向け、目を合わせ、静かに話を聞いている。聞き流されていないのは時折表情を崩すことからわかる。
視線がカクテルに戻らないように話を続ける角川に、彼は穏やかに微笑んでいる。話の終わりに返される惚けた問いを可愛いと思える程に、角川は一目で彼を気に入っていた。
そうでなければ同性を抱こうなどと思わなかっただろう。
彼は瑛士と名乗った。都合がつけば誘い、瑛士と過ごす時間に溺れて過ごした蜜月はいつの間にか終わってしまった。瑛士に連絡してもすげなく断られ、バーに行ってもすっかり顔馴染みのバーテンダーからは「しばらく来ていない」と首を振られてしまう。
バーを訪れる頻度はそこまで高くなかったのと、仕事が忙しいのかもしれないと。店での彼の姿なら角川より余程知っているバーテンダーの言葉を信じ、無理に連絡してはいけない時期だと思い込んだのが悪かった。
「背中を押されたんです。俺のおかげで夢を叶えたって人に。そうしたら、俺も結婚相手くらい見つけられるかなって思っちゃって」
当時のことを聞く角川に彼は照れた顔をしながらとあるアイドルのSNSを見せてくれた。そこには作曲家の青年が歌手としての活動の引退の発表と自分に代わる新しい歌手の女性を紹介をしていた。
コメントの数を見る限りかなり炎上しているようだが、彼はきっと大丈夫だと珍しく自信ありげに言う。
「彼が選んだ人だし、何より彼女だから」
変革には抵抗や批判が付き物だ。新しくなる存在が未知なら尚更、元の存在を愛しているなら当然のことだ。
短い間に彼女と信頼の生まれていた瑛士は背中を押され、勇気を出して一歩進み出そうとした。
「お金持ちじゃなくても、何にもなくても。俺のことを愛してくれて、俺のことだけ見てくれて、俺とずっと一緒にいてくれたら……それだけでいいんです」
ハードルの低い瑛士の言葉は長く続いた不毛の時間から来ている。恋人が出来ず、顔だけと嗤われていた――そう思い込み形成された卑屈な自己評価は他者と一致しない。
バーの片隅で瑛士と向かい合い、穏やかな救いを見出だしていた男がいたように。瑛士が勝手に自分を形容したように、他者も瑛士を思い描く。あの男と角川が瑛士に抱いた印象はきっとよく似ている。だから同じ感情を持ったのだろう。
瑛士もそうだ。角川も言葉が足りなかったけれど、瑛士も角川の持ち物だけで判断し勝手に切り捨てようとした。
関わりを持ち続けたいのなら相手を理解しようとする気持ちが大切だ。改めてそう思い至り、言葉を尽くした末に瑛士の左手薬指に指輪をはめる権利を貰えた。
結婚を機に角川のマンションへ移り住み、短いながらも濃密な交際期間を経て、先日めでたく婚姻届を提出した瑛士は角川と結婚した。夢を叶えたのだ。
角川の深い愛情を思い知った瑛士は彼から頼みがあると言われ、話を聞くとコスプレじみたセックスがしたいと返ってきた。
「女装に近いんだが」
「……女装……セーラー服とか?」
頭を振って否定される。日頃世話になることの多いパートナーが珍しく頭を下げていることから断るつもりのなかった瑛士は「あんまり変なのじゃないならいいよ」と軽く承った。
満面の笑みを浮かべた角川が何処からともなく紙袋を取り出し渡してくる。着替えろということだろう。
準備も兼ねてバスルームへ向かった瑛士はそこで紙袋の中身を見て、顔を顰めた。
「なにこれ」
「男性向けブラショーツセット総レース・ホワイトカラー・Oバックタイプだ」
淀みなく答えられた商品名の通り、瑛士が着替えたのは華奢とはいえ男性としての厚みはある瑛士の体にぴったりなサイズのランジェリーだった。お尻を覆う筈の布は部分的にしかなく、殆どを剥き出しにするデザインは本来の用途とは遠く、ラブグッズの一種とわかる。
「……これ着てやりたかったの?」
「ウェディングドレスよりは抵抗ないかと思って」
頷きながらそんなことを言う。ベッドの端に座るよう言われ、大人しく従う。足元へ跪いた角川に足を取られ、つるつるとした繊維に指先から順に包まれていく。
「……ストッキング?」
「うん。ガーターベルトもしたいが、今日はこれだけにしとこう」
太腿までを包むそれも女性が好きそうな可愛らしいレース刺繍が施されている。
両足共にストッキングに包まれた瑛士がしげしげと見慣れない物達を眺めていると、大きな手が肩を抱く。流れるようにベッドへ押し倒され、いつかのように覆い被さってくる男を見上げる目に怯えはない。
「結婚式は別にするとして、今日は初夜プレイがしたかった」
愛を誓ったドレスを脱いで男に散らされる花嫁。そういうシチュエーションだろうか。
「コスプレっていうかイメクラじゃないの?」
軽口を叩く唇が塞がれる。当たり前のように入り込んでくる舌を、瑛士も当たり前のように迎え入れる。瑛士の舌も歯も、喉奥さえ撫でようとする舌に覚えるのは息苦しさだけではなかった。
分厚い胸を軽く叩くと強く吸いつかれてから解放される。息を整える瑛士の顔に短いキスが数回降ってくる。くすぐったさに笑っているとブラジャーに守られていた乳首にレースのあしらわれた布地の中へ潜り込んだ指先が触れ、潰される。
「あんっ……んん……」
男に愛され育てられた乳首は痛みよりも快感を拾い、甘ったるい声を上げるようになった。
角川の肩へ腕を回し、今度は瑛士の方から唇を重ねていく。ちゅっちゅと音を立てて吸いつくだけの可愛いそれに角川の口元が緩む。
瑛士がこんなふうに甘えてくるのは今後自分だけだと思うと安堵と、瑛士への慈愛が込み上げてくる。
「ね……後ろ、後ろも可愛がって……」
耳元へ顔を寄せて囁かれれば角川には逆らえなかった。
あまり日に焼けていない肌を純白のランジェリーが包んでいる。丸みのない男の体に着けても本来なら滑稽に見える筈なのに、瑛士ならば何でも似合って見えるのは惚れた欲目のせいだろう。
俯せに寝かせた瑛士のお尻は僅かなレースに飾られるだけで、邪魔をする物がない。閉じた足を挟むように膝立ちになり、双丘をかき分けると男を咥え込む孔がぱっくりと口を開けて待っている。
男の力で開かれ、何をされるか覚え込んでいる孔はひくつく。誘われるままに舌を捩じ込むと瑛士が鳴いた。
「あ……ああ、あっ、あ……」
抉じ開けられていく異物感。好き勝手に襞を舐められていく刺激。この後与えられる快感を知っている体はそれだけで燃え上がり、瑛士の淫茎は緩く熱を持ち始める――が、いつもと違って小さな下着の中に押し込められたままのそれは窮屈だった。
下着姿の瑛士と違い角川は邪魔になる衣服は脱いでいる。孔を舐めほぐした角川はすっかり勃ち上がった怒張を孔へすりすりと擦り付ける。先走りで縁が濡れた。
亀頭がゆっくりと肉を割る。入り込んでくる。血を滾らせて膨らんだ棒が突き進み、瑛士の中を押し広げていく。
「んおっ……ああ……あ……ぁああっ……」
胎内へ入り込む異物へ、それにもたらされる痛みと刺激に声を上げる。それも段々と艶めき媚び始め、痛みだけではないことを伝えてくる。
瑛士へ覆い被さり、腰を振って中を抉る。肉の打ち合う音と瑛士の嬌声を聞きながら、温かく迎え入れて締め付ける肉のうねりに小さく唸る。
「そんなにいいのか?」
耳元で尋ねると瑛士が頷く。しまりのない唇からは短い喘ぎが聞こえるばかりで、だからこそわかった。
ほのかに染まった耳を見ているとそれが無性に可愛く思え、角川の唇が寄せられていく。軽く口付け、舌を出す。穴の周りを舐めると喘ぎに驚きが混じった。
「瑛士、愛してる。俺と結婚してくれてありがとう」
密着していた上体を離し瑛士の腰を掴むと、角川の律動が荒く速まっていく。快感を追い求めようとする性急さに瑛士の体も引き摺られていく。
「おっ……あっ……あ。あーーっ……あっ……いやっ……あっあっぁあ……」
太く長く逞しい雄に抉じ開けられていく。男を受け入れられる最奥まで入り込まれ、器官の集中するそこを叩かれ、悲鳴を上げる瑛士の顔は快楽で歪み、意識して閉じていた両足は痙攣し、投げ出された。
愛らしいレースと質の良い生地の拘束を受けながら、瑛士は吐精した。真っ白いショーツの色に生まれた濃さがじわじわと滲んでいく。
絶頂を得た肉筒は反射的に咥えた雄をきつく締め付ける。その刺激によって角川も瑛士の中へ種を蒔いていく。
律動は止めず、譫言のように小さく喘ぎ続ける瑛士の孔から、胎の中で撹拌された白濁が押し出され溢れていく。
「……あ。すみかわさん、もっとぉ……」
顔だけで振り返り、甘えた顔で角川に媚びる瑛士に向けて。角川は違うだろと指摘する。
「瑛士も角川だろう?」
「……あ。まだなれないから……。優さんもっと……もっとして……もっと奥突いて、俺で気持ち良くなって……」
男を咥え込んだまま尻を振る瑛士に逆らう筈もなく。その後もたっぷり愛し合って、二人の夜は過ぎていった。
気紛れに訪れた小洒落たバーは同性を愛する男達の出会いの場だった。心配げな笑みを浮かべながら一見の客へ店の説明をするバーテンダーに、角川は笑って頷く。
「ただお酒を飲みに来られるだけでも歓迎しておりますし、強引な誘いはご遠慮頂いております。何かございましたらどうぞ遠慮なくおっしゃって下さいね」
「ああ、そうするよ」
角川にそちらの趣味はなく、けれどバーの雰囲気は気に入った。我は出さず、けれど退屈もさせないバーテンダーのスタンスも、何より腕も良かった。
しばらく通ってみるかと思い起こした当時の自分を、今の角川は手放しで褒め称える。この店に通ったおかげで彼に出会えたのだから。
バーに通い出して三回目の訪問。彼はカウンターの隅に腰掛け、静かにグラスを傾けていた。反対の隅に座り、他に誰もいないおかげで見れた横顔は小綺麗に整っていた。
盗み見る角川など微塵も気にせず、それとも気付いていないのか。彼の視線は蛍光色のカクテルに注がれている。それが無性に歯痒くなる。
気付くと角川は彼の隣に移り、彼に話し掛けていた。彼はその目を角川に向け、目を合わせ、静かに話を聞いている。聞き流されていないのは時折表情を崩すことからわかる。
視線がカクテルに戻らないように話を続ける角川に、彼は穏やかに微笑んでいる。話の終わりに返される惚けた問いを可愛いと思える程に、角川は一目で彼を気に入っていた。
そうでなければ同性を抱こうなどと思わなかっただろう。
彼は瑛士と名乗った。都合がつけば誘い、瑛士と過ごす時間に溺れて過ごした蜜月はいつの間にか終わってしまった。瑛士に連絡してもすげなく断られ、バーに行ってもすっかり顔馴染みのバーテンダーからは「しばらく来ていない」と首を振られてしまう。
バーを訪れる頻度はそこまで高くなかったのと、仕事が忙しいのかもしれないと。店での彼の姿なら角川より余程知っているバーテンダーの言葉を信じ、無理に連絡してはいけない時期だと思い込んだのが悪かった。
「背中を押されたんです。俺のおかげで夢を叶えたって人に。そうしたら、俺も結婚相手くらい見つけられるかなって思っちゃって」
当時のことを聞く角川に彼は照れた顔をしながらとあるアイドルのSNSを見せてくれた。そこには作曲家の青年が歌手としての活動の引退の発表と自分に代わる新しい歌手の女性を紹介をしていた。
コメントの数を見る限りかなり炎上しているようだが、彼はきっと大丈夫だと珍しく自信ありげに言う。
「彼が選んだ人だし、何より彼女だから」
変革には抵抗や批判が付き物だ。新しくなる存在が未知なら尚更、元の存在を愛しているなら当然のことだ。
短い間に彼女と信頼の生まれていた瑛士は背中を押され、勇気を出して一歩進み出そうとした。
「お金持ちじゃなくても、何にもなくても。俺のことを愛してくれて、俺のことだけ見てくれて、俺とずっと一緒にいてくれたら……それだけでいいんです」
ハードルの低い瑛士の言葉は長く続いた不毛の時間から来ている。恋人が出来ず、顔だけと嗤われていた――そう思い込み形成された卑屈な自己評価は他者と一致しない。
バーの片隅で瑛士と向かい合い、穏やかな救いを見出だしていた男がいたように。瑛士が勝手に自分を形容したように、他者も瑛士を思い描く。あの男と角川が瑛士に抱いた印象はきっとよく似ている。だから同じ感情を持ったのだろう。
瑛士もそうだ。角川も言葉が足りなかったけれど、瑛士も角川の持ち物だけで判断し勝手に切り捨てようとした。
関わりを持ち続けたいのなら相手を理解しようとする気持ちが大切だ。改めてそう思い至り、言葉を尽くした末に瑛士の左手薬指に指輪をはめる権利を貰えた。
結婚を機に角川のマンションへ移り住み、短いながらも濃密な交際期間を経て、先日めでたく婚姻届を提出した瑛士は角川と結婚した。夢を叶えたのだ。
角川の深い愛情を思い知った瑛士は彼から頼みがあると言われ、話を聞くとコスプレじみたセックスがしたいと返ってきた。
「女装に近いんだが」
「……女装……セーラー服とか?」
頭を振って否定される。日頃世話になることの多いパートナーが珍しく頭を下げていることから断るつもりのなかった瑛士は「あんまり変なのじゃないならいいよ」と軽く承った。
満面の笑みを浮かべた角川が何処からともなく紙袋を取り出し渡してくる。着替えろということだろう。
準備も兼ねてバスルームへ向かった瑛士はそこで紙袋の中身を見て、顔を顰めた。
「なにこれ」
「男性向けブラショーツセット総レース・ホワイトカラー・Oバックタイプだ」
淀みなく答えられた商品名の通り、瑛士が着替えたのは華奢とはいえ男性としての厚みはある瑛士の体にぴったりなサイズのランジェリーだった。お尻を覆う筈の布は部分的にしかなく、殆どを剥き出しにするデザインは本来の用途とは遠く、ラブグッズの一種とわかる。
「……これ着てやりたかったの?」
「ウェディングドレスよりは抵抗ないかと思って」
頷きながらそんなことを言う。ベッドの端に座るよう言われ、大人しく従う。足元へ跪いた角川に足を取られ、つるつるとした繊維に指先から順に包まれていく。
「……ストッキング?」
「うん。ガーターベルトもしたいが、今日はこれだけにしとこう」
太腿までを包むそれも女性が好きそうな可愛らしいレース刺繍が施されている。
両足共にストッキングに包まれた瑛士がしげしげと見慣れない物達を眺めていると、大きな手が肩を抱く。流れるようにベッドへ押し倒され、いつかのように覆い被さってくる男を見上げる目に怯えはない。
「結婚式は別にするとして、今日は初夜プレイがしたかった」
愛を誓ったドレスを脱いで男に散らされる花嫁。そういうシチュエーションだろうか。
「コスプレっていうかイメクラじゃないの?」
軽口を叩く唇が塞がれる。当たり前のように入り込んでくる舌を、瑛士も当たり前のように迎え入れる。瑛士の舌も歯も、喉奥さえ撫でようとする舌に覚えるのは息苦しさだけではなかった。
分厚い胸を軽く叩くと強く吸いつかれてから解放される。息を整える瑛士の顔に短いキスが数回降ってくる。くすぐったさに笑っているとブラジャーに守られていた乳首にレースのあしらわれた布地の中へ潜り込んだ指先が触れ、潰される。
「あんっ……んん……」
男に愛され育てられた乳首は痛みよりも快感を拾い、甘ったるい声を上げるようになった。
角川の肩へ腕を回し、今度は瑛士の方から唇を重ねていく。ちゅっちゅと音を立てて吸いつくだけの可愛いそれに角川の口元が緩む。
瑛士がこんなふうに甘えてくるのは今後自分だけだと思うと安堵と、瑛士への慈愛が込み上げてくる。
「ね……後ろ、後ろも可愛がって……」
耳元へ顔を寄せて囁かれれば角川には逆らえなかった。
あまり日に焼けていない肌を純白のランジェリーが包んでいる。丸みのない男の体に着けても本来なら滑稽に見える筈なのに、瑛士ならば何でも似合って見えるのは惚れた欲目のせいだろう。
俯せに寝かせた瑛士のお尻は僅かなレースに飾られるだけで、邪魔をする物がない。閉じた足を挟むように膝立ちになり、双丘をかき分けると男を咥え込む孔がぱっくりと口を開けて待っている。
男の力で開かれ、何をされるか覚え込んでいる孔はひくつく。誘われるままに舌を捩じ込むと瑛士が鳴いた。
「あ……ああ、あっ、あ……」
抉じ開けられていく異物感。好き勝手に襞を舐められていく刺激。この後与えられる快感を知っている体はそれだけで燃え上がり、瑛士の淫茎は緩く熱を持ち始める――が、いつもと違って小さな下着の中に押し込められたままのそれは窮屈だった。
下着姿の瑛士と違い角川は邪魔になる衣服は脱いでいる。孔を舐めほぐした角川はすっかり勃ち上がった怒張を孔へすりすりと擦り付ける。先走りで縁が濡れた。
亀頭がゆっくりと肉を割る。入り込んでくる。血を滾らせて膨らんだ棒が突き進み、瑛士の中を押し広げていく。
「んおっ……ああ……あ……ぁああっ……」
胎内へ入り込む異物へ、それにもたらされる痛みと刺激に声を上げる。それも段々と艶めき媚び始め、痛みだけではないことを伝えてくる。
瑛士へ覆い被さり、腰を振って中を抉る。肉の打ち合う音と瑛士の嬌声を聞きながら、温かく迎え入れて締め付ける肉のうねりに小さく唸る。
「そんなにいいのか?」
耳元で尋ねると瑛士が頷く。しまりのない唇からは短い喘ぎが聞こえるばかりで、だからこそわかった。
ほのかに染まった耳を見ているとそれが無性に可愛く思え、角川の唇が寄せられていく。軽く口付け、舌を出す。穴の周りを舐めると喘ぎに驚きが混じった。
「瑛士、愛してる。俺と結婚してくれてありがとう」
密着していた上体を離し瑛士の腰を掴むと、角川の律動が荒く速まっていく。快感を追い求めようとする性急さに瑛士の体も引き摺られていく。
「おっ……あっ……あ。あーーっ……あっ……いやっ……あっあっぁあ……」
太く長く逞しい雄に抉じ開けられていく。男を受け入れられる最奥まで入り込まれ、器官の集中するそこを叩かれ、悲鳴を上げる瑛士の顔は快楽で歪み、意識して閉じていた両足は痙攣し、投げ出された。
愛らしいレースと質の良い生地の拘束を受けながら、瑛士は吐精した。真っ白いショーツの色に生まれた濃さがじわじわと滲んでいく。
絶頂を得た肉筒は反射的に咥えた雄をきつく締め付ける。その刺激によって角川も瑛士の中へ種を蒔いていく。
律動は止めず、譫言のように小さく喘ぎ続ける瑛士の孔から、胎の中で撹拌された白濁が押し出され溢れていく。
「……あ。すみかわさん、もっとぉ……」
顔だけで振り返り、甘えた顔で角川に媚びる瑛士に向けて。角川は違うだろと指摘する。
「瑛士も角川だろう?」
「……あ。まだなれないから……。優さんもっと……もっとして……もっと奥突いて、俺で気持ち良くなって……」
男を咥え込んだまま尻を振る瑛士に逆らう筈もなく。その後もたっぷり愛し合って、二人の夜は過ぎていった。
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