【完結】我が侭公爵は自分を知る事にした。

琉海

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愁玲という人物(2)

手櫛で髪に指を通して前へと流す。前までは毎日手入れをする女がいたが、今は誰もいなくて痛んでる。

昔は自分の髪で手遊びをするのが好きだった。でもこの髪じゃどうしてもそんな気にはならなかった。

そもそも髪を伸ばしてたのは愁玲の意思じゃない。母親から伸ばすように言われてたから伸ばしてただけ。愁玲の育った国では別に髪を伸ばし続ける必要はなかった。現に髪の短い男も女もたくさんいる。

「切るか」

誰にも伝える気のない独り言をこぼし、机の上に視線を移す。部屋にいることが多いが別に軟禁されている訳じゃない。望めば外へ出る事もできるし、何処へでも行く事ができる。部屋にだって紙にペン、クシに鋏だって何でも置いてある。

鋏を手にとり自分の髪を切っていく。パサリ、パサリと床に落ちていく赤茶色。

頭が軽い。そう思いながら左右に振る。こんなに髪が短いのは何十年ぶりだろうか。物心ついた時からずっと髪が長かった。手櫛で通した髪は直ぐに終わりを迎えてしまった。まだ違和感はある。でも抱いた感想は悪くない、だ。

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