【完結】出会いは悪夢、甘い蜜

出会いは悪夢、甘い蜜(5)

シドの知るキース・アリステアという男はそういう事をしない。彼も同じ藍色を持っているが、先ほどの男と決めつけるには”憧れ”という言葉が邪魔をした。

「ぅおっ…！？」

そんな事を考えて油断していたシドはいつの間にか近づいてきていたキースに腕をとられ前のめりに倒されてしまう。

そのまま逆の手はシドの頭の裏に回り、更に押さえられ下を向けられた視線の先は真っ白な床をとらえた。

一瞬の出来事に何が起こったのか分からないまま硬直していれば何かに気づいたキースが頭の上でチッと舌打ちをする。

「なんだ、チャンスだと思ってわざわざ来てやったのに用心深けぇな。こういう時は首輪外しとけよ」
「なっ、やっぱり…っ！」

押さえられていた手が外されて再び頭を上げる。目の前の男はニヤニヤと楽しげに笑っていた。