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出会いは悪夢、甘い蜜(6)
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「あんた、さっきから何がしたいんだよ!?」
「あぁ?匂いで分かんねぇのか?」
「匂い…?」
「オメガのフェロモンは蜜にちけぇ。独特の甘い匂いだ。特にお前の匂いは俺とって極上ときた。この意味は分かるか?」
「…えっと、フェロモン、ですか?あの俺、発情期もまだでフェロモンが出てるなんて言われたの初めてなんですけど…」
「オツムが弱えなぁ。それを踏まえた上で思い当たる事はねぇのかって聞いてんだ」
「……っ、まさか」
ハッと気がついて真っ直ぐにキースを見つめればまたニヤッと笑われる。一つだけ思い当たる事がある。できれば外れてて欲しい予想だ。運命の番の匂いに当てられて我を忘れて相手に襲い掛かってしまう事件が度々ニュースで報道されていた。
「……イヤだ」
「あ?」
「絶対、イヤ。なんであんたと番にならなきゃいけないんですか」
「あぁ?お前の意見なんか聞いてねぇんだよ。お前は俺の番だ。その首輪、噛み壊されたくなかったら、さっさと鍵を寄こすことだな」
「っ、誰が…!!」
最後まで言葉を聞かれる前にキースの口が大きく開かれる。
左右に生えた鋭く尖った犬歯が顔を覗かせて何をされそうになっているのか、考える暇さえ与えられないまま先ほどみたいな痛みが走るのかと恐怖に身を縮めた体は無意識に目を閉じる。
だが、そんな予想とは裏腹にシドに走った痛みはカプリと鼻を甘噛みされた柔い痛みだった。
「あぁ?匂いで分かんねぇのか?」
「匂い…?」
「オメガのフェロモンは蜜にちけぇ。独特の甘い匂いだ。特にお前の匂いは俺とって極上ときた。この意味は分かるか?」
「…えっと、フェロモン、ですか?あの俺、発情期もまだでフェロモンが出てるなんて言われたの初めてなんですけど…」
「オツムが弱えなぁ。それを踏まえた上で思い当たる事はねぇのかって聞いてんだ」
「……っ、まさか」
ハッと気がついて真っ直ぐにキースを見つめればまたニヤッと笑われる。一つだけ思い当たる事がある。できれば外れてて欲しい予想だ。運命の番の匂いに当てられて我を忘れて相手に襲い掛かってしまう事件が度々ニュースで報道されていた。
「……イヤだ」
「あ?」
「絶対、イヤ。なんであんたと番にならなきゃいけないんですか」
「あぁ?お前の意見なんか聞いてねぇんだよ。お前は俺の番だ。その首輪、噛み壊されたくなかったら、さっさと鍵を寄こすことだな」
「っ、誰が…!!」
最後まで言葉を聞かれる前にキースの口が大きく開かれる。
左右に生えた鋭く尖った犬歯が顔を覗かせて何をされそうになっているのか、考える暇さえ与えられないまま先ほどみたいな痛みが走るのかと恐怖に身を縮めた体は無意識に目を閉じる。
だが、そんな予想とは裏腹にシドに走った痛みはカプリと鼻を甘噛みされた柔い痛みだった。
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