社員旅行は、秘密の恋が始まる

狭山雪菜

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3日目。1

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彼が身じろぎした時背中が冷えて、意識が浮上する。
全身倦怠感で身体を動かせず、寒くて腕を伸ばして布団を探す。ごめん起こしたね、と掠れた声が聞こえ、そう言えば昨日もたっぷりと愛されて離してくれなかったと思い出す。瞼を上げると彼が部屋に居なかった。布団を手繰り寄せ胸を隠すと、起き上がり床に落ちた浴衣を取り上げ羽織る。帯が見当たらず、前を合わせてスリッパを履き彼を探した。見渡す限り居ないので、ベッドに腰掛けると、ガチャッと露天風呂へ続く扉が開きバスローブ姿で頭にタオルを乗せた彼が出てきた。
「…おはよう、起こしちゃったかな」
私の横に座り頭のタオルを取ると、髪が濡れていているし、バスローブの隙間から鍛えられた胸がチラチラ見えて色気が凄い。
「おはよう、もう行くの?」
声を出して初めて、自分の声が掠れているのに気がついた。
「あ…昨日無理させちゃったし、待ってて」
と立ち上がり廊下側の扉の側にあるミニ冷蔵庫の上に備え付けられているペットボトルの水をコップに注ぐ。
私に渡す前に一気に口の中に入れ、口移しで流し込まれゴクゴクと飲み干す。水が口の中になくなると、彼の胸あたりのバスローブを掴み舌を絡める濃厚なキスを始める。
彼もギシッとベッドに膝を立てて、私に覆い被さると身体が重なり、彼の重みが心地よい。角度を変えては口内を貪る彼の舌遣いに翻弄され、すでに息も絶え絶えだ。
「っ、このままずっと一緒に居たいけど、10時のチェックアウトに合わせてロビーに集合だから」
私の首に顔を埋めて舌を這わす彼に、
「ンッ、あぅ」
と甘い声でしか返事が出来ない。
「朝食もバイキング行かなきゃいけないから、そろそろ行かないとね」
耳を喰み、全然離れようとする気配が無い彼。それなのに中途半端に愛撫されると、後が辛いんだけど…それすらどうでもよくなってきている私もダメだなと呆れる。
「早く、ね」
腰を彼のお腹に擦り付けると、彼の昂りもまるで蜜壺の中に入っているように、腰を揺らす。
ギシッギシッとベッドが軋み、お互いイくために擦り付け合い呆気なく訪れる絶頂に、彼の証が浴衣に掛かる。
「ンッもう、ダメって」
第二ラウンド始まりそうな雰囲気を慌てて、打ち消し彼の上体を起こし、制止する。

「早く帰ってくるから」
着替え終わり名残惜しく出かけた彼を見送ると、ざっとシャワー浴びてドライヤーで髪を乾かし、ベッドに入ると彼の匂いに包まれ、少しだけといいつつ、眠りについた。




******************



彼の帰りを待つ時間は眠っていたのが大きかったのか、あっという間に帰ってきた。
私服姿になりソファーで横になってスマホゲームをしていた私は、彼が自分のシルバーのキャリーケースを持って部屋に入ってきた。
彼の入ってきた音で身体を起こした私は荷物を私のキャリーケースの横に置いている彼の元へと向かった。
「おかえりなさい」 
「ただいま」
私の姿を見るなり嬉しそうに笑う彼は、私を抱きしめ頭を撫でてくれる。
「みんなバスに乗って行ったよ」
「そう」
彼の胸に頬をつけ甘えた。
「今日はどうしようか」
社員達が帰った後の事はまだ一度も話していなくて、時計を見るとまだ11時半を過ぎたばかりだった。
「とりあえずご飯に行く?それとも、ルームサービスにする?」
私の髪を弄びながら、問いかける彼は、多分どちらでも良いのだろう。
「外で…デートしたい…この旅行はお土産屋ばっかりだったし、観光とか」
「そうだね、なら観光しよう」
じゃぁ準備するね、と彼から離れ出かける準備を始めた。



ホテルを出てタクシーに乗ると、近くにある湖へと向かう。
「昨日はほんの少ししか居れなかったしね」
と彼は私の手を握る。私は外の景色を眺め目的地まで私達は喋らずにいた。



湖に着くと、手を繋ぎ湖畔を歩く。晴れているのでそんなには寒くなかったのだが、彼の腕に自分の腕を絡め歩く。
白いセーターと赤と茶色のチェック柄のロングスカートと、ハンドバッグに、黒いブーツ。彼は黒のマウンテンパーカーと白の長袖ニット、黒のスキニーパンツを履いて、黒の靴。
並んで歩くと、それほど年齢差は感じないと思う。
「寒くない?」
優しく気にかけてくれる彼に、
「平気だよ、健吾さんは?」
自ずと見上げる彼を、
「俺も平気」
とにこやかに返してくれた。

2人で湖の白鳥ボートに乗ることにした。お金を払い受付をする彼を待ち、案内されたのは足漕ぎの白鳥の姿を大きくして、大人が2人乗れるボートだ。
最初に健吾が入り私の方を向くと、健吾の右手が伸び私の前へと差し出される。その手を取りボートに足を踏み入れるが、バランスを崩し彼の腕の中へと飛び込む。力強く抱き止められ、ボートか若干揺れる。

「危なかった…ありがとう」

顔を上げお礼を言うと、意外と近くにあった彼の顔が視界いっぱいに広がる。
「どういたしまして」
低く濃密な時間を過ごす時みたいな声で囁き、キスをしたくなるのだが、ここがボートの上でお店の人が、乗り降りする場所から私達を見ていることに気がついて、2人はそっと座った。
「行こうか」
右隣にいる彼の肩と腕が当たり、ドキドキとしたボートの時間が始まった。






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