週1くるパン屋の常連さんは伝説の騎士様だった〜最近ではほぼ毎日ご来店、ありがとうございます〜

狭山雪菜

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リクエスト 娘は美しい〜団長視線〜 パン屋常連の伝説の騎士様

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マチルダは赤い髪をなびかせて歩いていた。地面に視線を落とし、その顔は絶望感に満ち溢れていて、すれ違う人々はマチルダの雰囲気にギョッとして、マチルダが歩く前を空けてくれる。
ーー今日行くパン屋の面接落ちたら今月どうやって生活しよう

そんな想いとは裏腹に面接には無事に通り、数ヶ月後には伝説の騎士様と付き合う事になるなんて、この時のマチルダは想像もしていなかった。


***************


「ファクト騎士団長、たまには休んで貰わないと部下に示しがつきません!」
声高々にそう叫ぶのは、騎士団長の補佐役のカリスだ。執務室で籠って書類を捌いているのに、酷い言われようだ。
「…ちゃんと、仕事をしてるだろう…これのどこが部下に示しがつかなんだ、今だってほら町に現れた不審人物の調査の指示を…」
「いやいや!そっちじゃなくてですね!団長が早朝に来たり残業や休日出勤しているために、部下達も気軽に休むなんて出来ない雰囲気となって騎士団内がピリピリしてるんですよ!」
「…そうなのか?」
「ええっ!最悪残業は許しますが、休日出勤だけは辞めて頂きたい!っていうか、溜まった有給消化を今から取ってください」
「…俺が居なくなったら誰が指示を出すんだ」
「今は討伐の予定も、戦争の気配もないです!ちなみにその手にしてる不審者案件は、副団長の仕事ですっ!」
そう言ってカリスは、俺の手から書類を掻っ攫うと、机の上にあった書類も全て取り上げられた。
「…いいですか!今後少なくとも2週間、いえ、1週間は残業とその他時間外労働は禁止です!」
書類を奪われ、ぽつんと執務室に残された俺は、定時とされる時間まで時間を潰すのに苦労をしたのだった。


俺の名前は、エンドル・ファクト。この王国の騎士団長として国の安全を守る要職に就いている。切るのも煩わしい銀色の長い髪を一つに束ね、眉間に皺を寄せている事が多かったせいか、いつも怒っていると誤解され、青い瞳は両親から受け継がれた。訓練や討伐で鍛え抜かれた身体は固く、背も高いために威圧感もある俺は、何故か王国史上最強の騎士団長として市民からの人気が高い。
遠征で行った近くの村に、悪さをする蛮族をやっつけたのを皮切りに、依頼されれば片っ端から問題解決をしてきたのが不味かったのか、気がついたら憧れの的…尊敬される職業となり、今や騎士団に入りたいと、志望者が後を絶たない。
ーー騎士団員の勧誘よりも志望者が多くて団員数が足りないと頭を抱える心配がないのは、助かるのだが…
実績だけ見たら凄いかもしれないが、基本は鍛錬、鍛錬しかないために、キツイ職だとも思っている。
そんな仕事に打ち込んで来た俺に、カリスは休みを取れと注意をしてきたという事は、カリスにも伝わるほどの団員の指揮が下がってしまったのかと反省をした。

指定の勤務時間が終わると、団長室から騎士団本部の敷地の中にある団員宿舎へと向かう事にした。古びた2階建ての木造の宿舎の2階の団長専用の部屋へと慣れた足取りで向かう。殺風景なーー良く言えばシンプルな部屋に戻り、軍服を脱ぎベッドへと腰掛けると、これから何をしようかと頭を捻る。何年ぶりかに定時に上がり、日も暮れていないこの部屋で明日の朝まで過ごす事は考えられなかった。
ーー鍛錬もしてないから疲れてないし…たまには、街へと行ってみるか
思い立ったら行動を起こすを信条としている俺は、麻のシャツとズボンに着替え、長靴に履き替え宿舎を後にした。


いつ来ても変わらない街に着くと、馴染みの武器屋へと行った。亭主と話していると、ふとした雑談の中に食生活に聞かれた。
「最近はあまり食べないですね、手軽に食べれるフルーツか、片手でも食べられる物を」
「そりゃぁ、ダメだなぁ…そうだっ!アガサの所のパン屋に行けばいいさ!美味いんだ!手軽な値段だしなっ!それに最近入った娘のマチルダちゃんが物凄く可愛くてなぁ!」
普段滅多に人を褒めない亭主の言葉に、興味本位で噂のパン屋へと向かう事にしたのだ。





***************




睡眠が取れるだけで良かった固いベッドから、ふかふかの身体が埋まってしまう程の新しいベッドを新調した。その上に仰向けになっている新しく出来た恋人は、全身をほのかなピンク色にして、呼吸が乱れ潤む瞳で俺を見上げている。肩まである赤い髪は白いベッドに広がり、美しい絵画のようにいつまでも見ていられる。服で隠された豊満な乳房、キュッと締まった腰ーー卵のように小さな頭と大きな瞳は快感で潤んでいる。赤くぷっくりとした唇は瑞々しくいつまでも唇を貪っていたい。身体中にある俺が付けた赤い所有印が白い肌に映えている。俺たちの下半身はピタリと繋がっており、何度か彼女の蜜壺なかに注いだ証が収まりきらずに、彼女のお尻へと流れてシーツにシミが出来ている。
ゆっくり上体を屈み、彼女の唇に自分の唇を重ねると、彼女の両手が俺の頬を挟む。薄く開いた彼女の口の中へ自分の舌を入れると、彼女の舌が俺の舌に絡まる。強く吸ったり、彼女の口内を探ると、
「んっふっ、ん」
と甘い声が鼻から漏れて、その声に反応してまた下半身が熱くなるのが分かる。芯を持って固くなる昂りを彼女の蜜壺に押し付けると、グチュッと繋がった2人の下半身から音がする。熱い口づけを交わしながら下半身を揺らし続けると、彼女の手が俺の頬から背中へと回り、抱きついてきた。
ーー可愛い、可愛い
「アッ、んっ、んんっあっ、エン様っ!」
頭に響く彼女の甘い喘ぎ声を聞いていると、頭が真っ白になってしまい貪欲に求めてしまう。柔らかく揺れる乳房が俺の固い胸板に押しつけられて、頭が沸騰しそうだ。
「ぐっ、っ、はっ」
腕の中へと抑え込んだマチルダを強く抱きしめて、もう自分の意思では腰を止める事が出来なくなっていた。絶頂へと向かう俺に、彼女の高くなっていく声が俺の欲情に拍車をかける。
「あぁっ!」
ぎゅぅぅぅっと蜜壺に締め付けられた昂りは、あっさりとその締め付けに従い、昂りから俺の証を放出する。一言では言い表せはない快感と幸福感に包まれ、快感に震えうねるマチルダの蜜壺の中を俺はただ居座っているのだった。


彼女と想いが通じてからは、人が変わったかのように、定時に上がり、宿舎ではなく討伐の報酬として与えられた領地へと帰る日々となった。休みはしっかりと、なんなら有給休暇もしっかりと取るようになった俺に続いて、部下達の雰囲気も過ごしやすい環境となった。

今まで無頓着だった屋敷の管理も、マチルダと共にアイディアを出し合いながら過ごす日々は、かけがえの無い日常になっている。彼女は洗濯掃除から軽食まで完璧にこなしていたのが不思議だったが…なんでも解雇された、と聞いて調べたら、就業先の息子の心を奪った事で夫人の不興を買ってしまい優秀な人材を泣く泣く手放したと執事長の証言が取れた。
ーーふんっ、馬鹿なやつらだ
マチルダが解雇されたおかげで、パン屋で働く彼女に出会えたのだから人生何が起こるか分からないな、と伝説の騎士は、自分に訪れた幸せを噛み締めていた。
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