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短編

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知名度もあまりなく高校生の時に知ってから、ずっと応援し続けていたマイナーだった男女混合のバンド"MANKAIマンカイ GENKIゲンキ"。
数年前に『シーザー』という曲を出して、全国区の人気になってからは、簡単に取れていたライブチケットも完全に抽選となってしまった。それ以降ライブへは、社会人になった事で希望する日時も取れなく、抽選で外れてばかりいて、なかなか足を運べなかったが、夏も終わる頃仕事もひと段落して久しぶりに取れたライブに参加する事にした。


――大津詩音おおつしおん26歳の夏。

***************



「あ、すいません」
1人参加を決めたライブ会場の物販の待機列にいた私に、うしろからぶつかってきた男の人に謝られた。ヘッドホンをして、MANKAI GENKIの最新のアルバムを聴いていた私は、ぶつかられて初めて、私の後ろで並んでいたのが男性だと気がついた。
「…いえ」
それだけ告げて、前を向くとまだまだ物販の列は長いと知る。今やライブ前にライブグッズが買える事前通販があって――ライブツアー日程開始前に通販サイトで購入した商品が、自宅に届くサービスだ――私も事前通販を利用して、ライブTシャツやエコバッグを購入したのだけど、ライブ会場に到着した時に周りの人達が、手のひらサイズぐらいの大きさの丸いペンライトを持っていた。細長い棒タイプのペンライトしか持っていなかった私は、何となく気になりアーティストのホームページを見ると、ライトも何種類も変えられると、知り欲しくなったのだ。
今日着ているのは、このツアー限定の白のTシャツで、裾から胸元までレインボーカラーがプリントされ、胸の中心にサングラスを付けたひまわりのバンドのゆるキャラとレインボー色で"MANKAI GENKI  LIVE Power"のツアー名が描かれている。袖にもひまわりのゆるキャラが両方付いていて、とても個性的なデザインのTシャツ。下は私服の膝上の黒のスカートで、私の持つ手提げのバッグは全体がレインボー色のひまわりのゆるキャラとライブツアー名がプリントされているド派手なスタイルだ。頭には麦わら帽子と、手には薄ピンクの携帯扇風機、黒いサンダルを履いている。
音楽を聴きながら、さっきの男性も私と同じTシャツを着て同じ手提げのバッグを持っていると思った。
――顔はよく見えなかったけど…
周りを見渡せば、3種類ほど出ていたこのライブ限定の物販Tシャツを着ている人はたくさんいるし、同じエコバッグ…なんなら、過去のライブツアーグッズを身につけている人もいる。

少しずつ進む物販の列は、開場までまだ時間はあるとはいえ、じりじりと強い日差しが私の体力を削っていた。水分補給をしていたが、だんだんと気持ち悪くなってきた。音楽を聴いている場合じゃないと、ヘッドホンを外し首に掛けた。
「…あの、大丈夫ですか?」
しばらくすると、また背後から声を掛けられて、なんとか振り向くと私とサイズ違いの同じTシャツを着た男の人の胸板にあるサングラスのひまわりのゆるキャラが目に入る。
「…はい」
と、答えたものの、自分でも顔色は悪いと思う。彼は焦茶の小さなショルダーバッグの中からから長方形の封の空いていない、おでこにつけるタイプの保冷湿布を私の前に差し出した。
「3枚入ってるから、これで首元と、両脇にやるといい」
よくよく聞くと、重低音の声が耳から頭へ染み込み心地よい。
「…え…でも」
知らない人から貰うのも気が引けて、困惑していると
「"MANKAIマンGENKIゲン"のライブ、楽しみたいだろ」
暗にこのまま倒れたらライブどころか、倒れて救急搬送になると言われ、差し出された保冷湿布をありがたく貰う事にした。


「…どうだ?」
「はい…だいぶ良くなりました」
私の後ろにいた彼――名を成田宗輔なりたそうすけは、私に声を掛けて体調を気にしてくれた。そうすると、自然とお互いのことを話すようになって、2人が並ぶ2列だった物販の列で、私が後ろを向いて話すものだから、宗輔さんの隣に居た知らない女性が、私と場所を交換してくれた。一つ後ろの列になったけど、思いの外宗輔さんと話すのは楽しくて、私はペンライトを購入する事、宗輔さんは暑いからもう一枚別のTシャツと細長いタオルを購入する事も話した。
「マンゲン好きになったのは、インディーズだった頃の…」
「ああ!!もしかして"さよならと君の人生"ですか?」
「そう!あの曲最高だよなっ!」
彼はインディーズの頃からのファンで、私がマンゲンにハマった同じくらいの時期に、彼もファンになった事を知り話が弾む。自ずとマンゲンの話だけじゃなく、お互いの職や他の趣味など話す内容が広がっていく。
彼は今年32歳で、車のセールスマンをやっているみたいだった。いつもは、ライブDVDを見たりしていたけど、今年バンド結成15周年記念ライブだと気が付き参加を決めたらしい。私よりも頭ひとつ分は高い身長は185cmで、前髪のある黒い髪に奥二重の黒い瞳、スッと伸びた鼻と厚い唇。首は太く、Tシャツ越しだけど上半身も運動しているのか少し厚い。スラッと伸びた足は、だぼだぼのブルージーパンを履いていた。
「それで、詩音は?」
「私は事務で働いてるよー宗輔さんはさ…」
年上と言う事もあって、タメ口の許可も貰ってお互いの下の名を、ずいぶん前からの知り合いのように呼び合う。
くすくすと笑って話していると、地獄のような待ち時間があっという間に過ぎて、ついに私達の番になる。
「次の方こちらへどうぞー!」
「あちらの手を上げているスタッフの所へお願いします」
と白いテントの下で大きな声で手を上げるスタッフ、更に物販の列を捌く他のスタッフに案内されて、私は隣にいる宗輔の顔を見上げた。
「あ、じゃあ」
「ああ」
手を上げると、彼も手を上げてその場は別れた。
白いテントの下に並べられた長い机の上には、取り扱っているグッズのお品書き、すでに数個完売のシールが貼られている。一つの長い机には3人の濃いブルーのTシャツを着たスタッフがスタンバイしていて、白いテントと長い机は4つある。各スタッフの前にタブレット端末を長机に置いて、お客に言われたライブグッズを端末に入力している。スタッフの後ろには沢山の段ボールと、注文が入った商品をピッキングする別の男性スタッフ。
幸いにも、私が欲しかったペンライトはまだ在庫があった。
「――以上でよろしいでしょうか」
目の前のスタッフに言われ、はい、と答えようとしたが、
「タオルあと1枚でーす」
と、ピッキングスタッフの声が聞こえたので周りを見渡せば、まだ宗輔は先ほど私を案内したスタッフさんの横に並んでいた。
――まだ他の人が買い物しているみたいだし…この保冷湿布のお礼に…うん
悩んだのは一瞬で、すぐに私の口から
「すいませんっ、追加でこのタオルを」
と最後の1個と言われた、宗輔の欲しがっていたタオルを注文をした。



「…えっ、悪いよ」
会計が済んで物販の出口で宗輔を待つと、数分後に彼はやってきた。タオル売り切れたーと零す彼に、保冷湿布のお礼です、と渡せば、驚く宗輔は最初は断った。
「でも…この保冷湿布貰わなかったら絶対に倒れてたので」
と断られても、私は頑として譲らなかった。首と脇の下に貼った保冷湿布は、もうあんまり冷たくないが、熱さを吸収するのでまだ貼っている。
「…じゃあ…ありがとう」
半ば強引に彼の胸にタオルを押しつけると、観念したのか宗輔は渋々受け取った。そして、
「…まだライブまで時間あるし…少し話さない?」
ライブが始まる前まで、私達は近くのレストランで時間を潰す事にしたのだった。


「荷物見て貰ってありがとうございました」
開場時間になってチケットと身分証を見せて中に入ると、先にお手洗いに行く事にした。お互い購入したライブグッズを荷物番として、順番にお手洗いに行っている間に見張る事にした。先に宗輔が行って、その後私がお手洗いに行った。もちろん今日会ったばかりだから、念のため貴重品は各自持っていく。取っていた広めのロビーの壁際にある座る場所に、お互いの荷物を置いてしばらく立ち話をして、その場で別れた。
――ひとりになると…寂しい
ソロ参加なのに、物販から出来た同じアーティストのファン同士の話がすごく楽しくて、あっという間に過ぎた時間。今日初めて会ったから、座席も同じハズはないと分かっていたのに、いざ分かれると喪失感が半端ない。
――何この気持ち……この感じ知ってる、好きになってしまったのかな
「えーと…席は」
我ながら同じ趣味だからと、好きになるなんて単純だと笑ってしまう。こんなに惚れっぽい性格じゃなかったのにと、自分に言い聞かせながら、入場の時から持っていたチケットを頼りに、指定された席へと向かう。

「あった……あれ?」
座席に座ってしばらくすると、スマホを仕舞おうと手提げのバッグを開けると、自分の物とは明らかに違う物――黒い財布、本革の定期ケース、黒のキーケース、スポーツドリンクとうちわが入っていた。
――そういえば、さっき荷物置いた…
チケットの座席確認をするから手提げのバッグを、購入したライブグッズが入った袋の上に置いた時に、彼のと紛れてしまったのだと思った。
「そうだ…スマホ」
スマホは手に持っているから、先ほどレストランで交換したSNSのアプリを起動する。彼の猫アイコンをタップしてトーク画面から発信すると、すぐに繋がる。
「…もしもし?あのバッグが…ええ、はい…分かった、じゃあ後で」
宗輔もバッグの取り違いに気がついていて、ライブが終わったら会場の外で待ち合わせをする事になった。




***************



盛り上がったライブは、大盛況のうちに終了した。
「あっ!宗輔さんっ」
楽しんだライブ参加者達が一斉に出口を目指し、歩いていたので混雑している。待ち合わせ場所へと着く頃には、ライブが終わって30分も経った後だった。会場の外は夕暮れになっていて、21時近くになっていた。
私が手を上げて声を掛けると、腕を組んで立っていた宗輔は、人混みの中から私を見て口角を上げ笑う。
――なっ何っ…可愛いっ!
目が糸のように細く、くしゃっとした笑顔が幼い顔になり、可愛いさが増す。頬が赤くなるのを誤魔化すように視線を彷徨わらせ、熱いねー、と言いながら手で顔を仰いだ。
「すいませんっ、すごい混んでて」
「あー…すごい人だよね」
私達がいるのは、会場の入り口へと続くレンガ調の階段と歩道がある生垣の近くだ。その近くには私達と同じ待ち合わせをしていたり、何人かの人が休んでいたりしていて、歩道にはゾロゾロと人々が最寄りの駅へと向かっている。
「あっ、そうだ…すいません、あのバッグ…」
「あ、じゃあこれも」
その場で手提げのバッグを交換してしまうと、もう手持ち無沙汰になってしまう。このままお別れしてしまうのかな、と思っていると、
「…あのさ、この後予定無かった…迷惑じゃなかったら…ご飯食べに行かない?」
と、彼から誘ってくれた。
「…はいっ」
そう言って車で来たと言う彼の後をついて行くと、最高だったライブの話で盛り上がった。やはりファンになったきっかけの曲が流れた時に泣いた、と伝えれば、俺も感動したと言ってくれた。夢中で話していると、すれ違う人とぶつかりそうになった私を、彼は私の左肩に腕を回し引き寄せる。彼への気持ちが傾いている私は、どきどきしている胸の鼓動が宗輔に聞こえてしまいそうだ。
かばってくれてありがとう、とか、まだ手を退かさないのかな、とか、色々な想いが頭の中をぐるぐると回るが、猛烈に私を友人――って今日会ったばかりの宗輔に言うのもおかしな話だが――じゃなくて、恋の対象として見てくれて嬉しいとしか思えなかった。
右手に持っていたグッズの袋を左手に持ち直して、空いた右手を彼の背中に回してTシャツを握ると、私の左肩に置かれた彼の手に力が入った気がした。

ライブ会場から歩いて数分の所にある、24時間いつでも車の出し入れで利用できる駐車場に着くと、フロント部分にシルバーのサンシェードをした青い軽自動車の前まで彼は進む。遠隔操作で車のロックを外すと、運転席の扉を開けてエンジンをつけて、手荷物を運転席へと置いた。
車と前で待っていた私の元へ戻ってくると、腰を押され促された先の、運転席とは反対側の助手席の扉を開けた宗輔。
手荷物を全て助手席に載せて振り返ると、思いのほか近くにいた彼の身体に私がぶつかった。助手席の扉と車体の間に閉じ込めるように立っていた宗輔は、じっと私を見下ろしている。黒い瞳に吸い込まれそうになり、腕を上げて彼の首の後ろへと回すと、彼の腕も助手席の扉から手を離し、私の腰に回し引き寄せられる。
ぴたりと身体が密着すると同時に、お互いの唇が重なる。口を薄く開けると、すぐに彼の舌が私の口内に入る。いきなり濃厚な口づけに、お互い貪るようにお互いの舌を追いかけ追う。彼の舌に捕まれば強く吸われ、舌を舌でなぞられる。反対に彼の舌を私が捕まえれば、ちゅうちゅうと吸いついた。
「ん、っ」
甘い声が鼻から漏れ始めると、何度も顔の角度が変わる深い口づけになる。お互いの唾液が顔をズラした時に出来た口の隙間から零れて、口元を伝う。
少しだけ彼の身体に押されれば、軽自動車の車体が背中に当たる。いつの間にか後部座席の扉の前だったらしく彼の足が進み、彼の腰が私の腰に当たる。ジーパン越しに何か固さを感じて、彼の首に回した腕を下げて彼の頬を挟むと名残惜しく彼の口は私の口から離れた。額を合わせたまま、はぁはぁと荒い息を吐きながら、何度か啄むキス。
「詩音…いい…?」
「…うん」
そう言いながら、私の左太ももを持ち上げてずり上がったスカートの隙間に、彼の腰が私の下半身に下着越しに当たる。ゆっくり下から腰を突き上げ、これからの出来事を物語る。

助手席の扉を閉めて後部座席へと入った私は、一旦エンジンを掛けに運転席に行った彼を待った。
扉が開いて車内灯で明るくなると、すぐに暗くなる。運転席に座った宗輔がエアコンを強にして、後ろの空調もオンにすると、むわっとした暑い車内が、少しずつ涼しくなっていく。どこか視線を感じて前を向くと、バッグを見るミラーから私を見ていた宗輔。
にっこりと笑顔を返して自分の唇を指先でなぞると、彼の瞳が細くなった。彼に見えるように両手を使ってTシャツの上から胸を揉むと、他の女と比べて大きな胸が指の間から盛り上がる。自分なりに強く揉んだり弱く揉んだりしていて、上下左右に動かすと、柔らかな胸は簡単に形が歪む。
ゴクリと唾を飲み込む宗輔は、私の行動を見逃すまいと瞬きも少なく、じっと凝視している。
サンダルも脱いで右足を上げると、スカートの中がチラッと見えるはずだ。足を伸ばすと運転席と助手席の間まで足が届き、宗輔の左腕の所まで届く。私の足を恭しく下から手を添えると、宗輔の顔が近寄り足の甲に彼の唇が触れた。
ちゅっ、と軽いリップ音からそのまま舌を這わす宗輔。ふくらはぎを揉み込み、徐々に膝へ向けて上がる彼の口。
ねっとりと堪能する私の足を曲げると、彼の身体も運転席から身を乗り出していき、そのまま後部座席へと移動してきた。
最終的に右太ももが胸に当たると、彼は後部座席へ移り終わった。右太ももから手を離されやっと足を下げると、宗輔はジーパンを寛げ始めた。その間にも彼の頬を両手で挟み、私の方を向けさせながら、舌を絡める口づけを始めた。ズボンと下着をズラして動くから、車が上下に揺れ気分が高まる。口づけをしていたら、彼の手が私の足と腰に触れ、動くように誘導した。彼の足の上へと跨ぎ膝立ちになった私は口を離すと、熱のこもった瞳の彼と視線が絡まる。私の太ももに手を這わせ、スカートをたくし上げる宗輔。腰までスカートを上げられると、彼の視線は私の下着に釘付けとなる。シンプルなレース編みの黒い下着、彼の指先がお尻の横の下着の一番細くなっている所を引っ掛け下着を下ろす。跨っているため少ししか下ろせない下着だけど、下生えが見え始め更に下されると、下着に触れていた箇所から透明な糸を引いていた。
「…濡らしたの?」
さっきまで聞いていた彼の声じゃなくて、欲情に塗れた艶のある低い声。
「うん…そうっあっ、ん」
私の返事を待たずに彼の右手が、私の下生えの先に滑り込む。
――くちゅっ
蜜口に当たった指先が、粘音を出す。手のひらを使いながら数度前後に動かし、彼の手のひらを溢れる蜜で濡らしていく。ぐるりと蜜口を一周した後、指先が蜜口の奥を探り始めると、自然と私の腰が揺れる。
「我慢出来ない?」
くすくす笑う彼だけど、目が笑っていない。
「うん、出来なっ…きてっ…っん」
彼の首の後ろへと腕を回し、彼の口を塞ぎ舌を絡める。右足を上げると、私の意図に気がついた彼が下着を脱がす。左足に巻き付いた下着のままゆっくり腰を下ろせば、彼の左手が私の腰に移動する。
蜜口に当たる昂りは、固くて燃えるように熱い。
ミチミチ蜜口が広がる感覚が懐かしく、それだけど歴代の誰よりも大きな塊がもう入らないと思うのに、不思議なもので蜜壺はちゃんと昂りを包むように広がっていく。
「あ、っ…大きっ…って」
「ぐっ…キツ…っ」
彼の腰の上にペタンとお尻をつけた時には、だいぶ涼しくなった車内でも、お互い汗をかいていた。
彼の首の後ろへと腕を回すと、口を塞がれ濃厚に絡まる舌。
「ん、あっ、あっ…ぁっはっあっ」
ズンッ、ズンッと下から突き上げられ始まると、身体中を巡る快感。彼の肩に手を置き向かい合うと私も腰を前後に動かし、自分の快感を追い求める。腰にあった宗輔の手が私の二の腕に移動し、肘から腕の真ん中で止まるとギュッと強く掴んだ。彼から私の身体が離れないように強く引きながら、下からの突き上げが激しくなっていく。
「あっ、あ、あっんんっ、い…くっ…ねっ、イクッんんっ」
激しい突き上げにスプリングのように車体が動いて、彼の動きを助ける。
「はっ、気持ちいいかっ…ぐっ、はっ」
ぱんぱんとぶつかる肌の音と、結合部から聞こえる水音、2人の吐息。我慢出来なくて背がのけぞると、両腕を引かれているために、ぐりぐりと彼の腰の上で自分の身体を彼の昂りに押し付けてしまう。
最奥に繋がった私の蜜壺なかで、ぐんっと大きくなった彼の昂りが大きくなる。
「なっ…中にッ…中っ」
「いいのかっ、はっ…なぁっ」
「うんっ、うんっ、欲しいっからっ、中にっ、中っ」
どこかのピンク映画の出演している人のように、あり得ない提案をしていると分かっているのに、もう彼の昂りを出して欲しくないと、半ば叫びながら絶頂に達した。
ぐっ、と低く唸り声を出しながら、蜜壺の中にある昂りが弾けると、ドクンドクンと熱い証が注がれ、達したばかりの蜜壺の中がキツく強張り余計に昂りを締め付けた。運転席の背もたれの裏に頭をつけて、注がれた熱い証を感じていると、両腕を離されダランと腕が下がる。終わりだと思っていたのに、彼の手が私のTシャツの中へと滑り込むと、ブラの上から胸を揉み始めた。
「…あっ…んっ…またっ」
「ああ、さっき俺を煽ったろ?」
もう息も絶え絶えで、無理だと言おうとすると、上体を起こした宗輔が私の口を塞ぐ。舌が絡む甘い濃厚な雰囲気が2人の間に漂う。一度出して余裕が出来たのか宗輔は、私が何度達しても甘く攻めるのを止めず、背もたれに手をつけ背後から攻められたり、掴むところがなく不安定な体勢で倒れた際に窓ガラスに手跡が付いてしまっても離してくれなかった。

「ん…っ」
ちゅっ、ちゅっ、と淡い口づけをしながら、後部座席に背中をつけた私の上に覆い被さる宗輔。Tシャツは着たままお互いの身体を抱きしめる。少し車の中を覗けば下半身が裸の2人が何をしているのか、一目瞭然だけど繋がりを解く気はない。
「好き…こんな事…あっ」
「ああ…俺も好きだ…並んでいる時からずっと可愛いと思ってた」
お互い疲れて休憩しながら、この後どうしようか話していたら、見つめあえば口づけを始め、いちゃいちゃし始めると、お互いの気持ちを告げ合う。むくむくと私の中にいる彼の昂りが、大きくなるのを感じながら
「…絶倫…おっぱい魔」
照れ隠しで口を尖らせるけど、彼の腰に足を巻きつけているから説得力がない。
「くくっ…そうだな」
しつこいくらいにおっぱいを弄られ、胸であんまり感じないと思っていた私は、宗輔とのエッチで見事に開花された。
――Tシャツの中で手を動かしただけでこれなら・・・・裸の時…私どうなっちゃうの
と、彼のエッチの巧さに溺れ始めている事に、気がついた。
Tシャツの中は、ブラを外され何にも付けていない。少ししかない隙間でねっとりと愛撫された身体。
「もう…好き」
近い将来…ううん、確実に、彼の事を離さない自分がいる姿が心の奥に現れるのを感じながら、彼の口づけに溺れた。




漫画みたいな展開で恋人関係になった2人は、以前よりも積極的に推しのライブに通いながら愛を育んでいったのだった。
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