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兄の帰宅の知らせ
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手紙が届いた、男爵家当主ーー父から
騎士団内の配達部から団長室に届けられた手紙を読み
ついに、
兄が見つかったと
そして
一度帰って来いと
手紙を開いたまま固まる私の背後に立ち肩に手を置く団長は無言だった
呆けていた私は我に返り、振り返って見上げた
「…兄が…見つかりました…一度帰ってもいいでしょうか」
1年間という任期があるが、休みは毎週ある
決して騎士団本部から出てはいけないわけではなく、許可を得れば実家に帰る事も可能だ
見上げる私の口を塞ぎ、舌を絡める団長
「…帰ってくるのか?」
名残惜しげに離れた口から、悲痛な声が聞こえる
「…それは…分かりません…多分、兄と交代すると思いますので…もう…ここには来れないかもしれません」
ぐっと肩にある手に力を入れて私を抱き寄せる団長
「…そうか」
そう告げる団長は顔を隠すように私の首筋に顔を埋めた
****************
いつものように求め合って眠った日
疲れて眠る女の横でむくりと起き上がった大きな影
その目は仄暗い意志が宿っていた
「ん…?」
仰向けになっていた程よく疲れた身体を動かすと、ジャラ、と金属音が聞こえ目を覚ました
裸のまま寝てしまったみたいで、肌寒くシーツを握る
目の前の右手首には何もなかったのだが、身体を横にすると
左手首についている手錠
起き上がりシーツを身体に巻き付けベッドから降りる
2つの丸が鎖で繋がれ片方の丸くなっている金属が左手首について、鎖で繋がりもう一つの丸の金属は長いチェーンで手繰り寄せると、ベッドの脚に付いていた
このチェーンを外すにはベッドを動かすしかない
「えっ、え」
長さのあるチェーンを伸ばすとトイレまでは行くが、私室から出る扉までは手を伸ばしても届かない
すると、ガチャッと開く扉の音に軽くパニックになり、ベッドの近くにある窓にあるソファーに隠れる
「…起きたのか、ハルキ」
ベッドがもぬけの殻でハルキの手首に固定されている手錠から伸びるチェーンが、ハルキの居場所を教える
ソファーに近寄り、身を縮こませるハルキに団長は、顎を掴み自分に視線を合わせた
「っ…団長…っ…これは」
どういう事なのか分からず不安のハルキに
「…これを外してしまうと、逃げてしまうだろう?…だから逃げないように、捕まえておかなければならないんだよ」
ドロリと今まで聞いた事のない柔らかな声色で話す団長の瞳が鋭く怒っているのに、ちぐはぐな態度に頭が混乱する
「…団…?」
「…ルークだ…ハルキ」
そう言って顔を近づけ優しく触れた唇は冷たかった
騎士団内の配達部から団長室に届けられた手紙を読み
ついに、
兄が見つかったと
そして
一度帰って来いと
手紙を開いたまま固まる私の背後に立ち肩に手を置く団長は無言だった
呆けていた私は我に返り、振り返って見上げた
「…兄が…見つかりました…一度帰ってもいいでしょうか」
1年間という任期があるが、休みは毎週ある
決して騎士団本部から出てはいけないわけではなく、許可を得れば実家に帰る事も可能だ
見上げる私の口を塞ぎ、舌を絡める団長
「…帰ってくるのか?」
名残惜しげに離れた口から、悲痛な声が聞こえる
「…それは…分かりません…多分、兄と交代すると思いますので…もう…ここには来れないかもしれません」
ぐっと肩にある手に力を入れて私を抱き寄せる団長
「…そうか」
そう告げる団長は顔を隠すように私の首筋に顔を埋めた
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「ん…?」
仰向けになっていた程よく疲れた身体を動かすと、ジャラ、と金属音が聞こえ目を覚ました
裸のまま寝てしまったみたいで、肌寒くシーツを握る
目の前の右手首には何もなかったのだが、身体を横にすると
左手首についている手錠
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2つの丸が鎖で繋がれ片方の丸くなっている金属が左手首について、鎖で繋がりもう一つの丸の金属は長いチェーンで手繰り寄せると、ベッドの脚に付いていた
このチェーンを外すにはベッドを動かすしかない
「えっ、え」
長さのあるチェーンを伸ばすとトイレまでは行くが、私室から出る扉までは手を伸ばしても届かない
すると、ガチャッと開く扉の音に軽くパニックになり、ベッドの近くにある窓にあるソファーに隠れる
「…起きたのか、ハルキ」
ベッドがもぬけの殻でハルキの手首に固定されている手錠から伸びるチェーンが、ハルキの居場所を教える
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「っ…団長…っ…これは」
どういう事なのか分からず不安のハルキに
「…これを外してしまうと、逃げてしまうだろう?…だから逃げないように、捕まえておかなければならないんだよ」
ドロリと今まで聞いた事のない柔らかな声色で話す団長の瞳が鋭く怒っているのに、ちぐはぐな態度に頭が混乱する
「…団…?」
「…ルークだ…ハルキ」
そう言って顔を近づけ優しく触れた唇は冷たかった
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