5 / 35
女神の趣向
しおりを挟む
名前を伝える軽い挨拶をした後、エリカの父に呼ばれたホーク様は「では」と私の前から去ってしまった
「…ホーク様」
素敵すぎる筋肉と声にうっとりと呟いた声はエリカに聞こえたみたいで、両肩に手を置き
「…今度騎士団本部に行く用事作るから一緒に行かない?」
「….作る?……….でもまたホーク様に会いたい」
どうして理由を作るの?と思ったが、突っ込んだらダメだと思った私は、ホーク様に会いたいと素直に伝えた
「…しかし、マリアが筋肉フェチとはね…うん…そりゃぁ王太子への態度も納得だね」
うんうん、納得するエリカを無視して、過ぎ去ったホーク様を思い返すマリア
あの逞しい腕に抱かれたらどんなに幸せだろうか
私を片手で持ち上げ、厚い胸板に顔を埋めて頬擦りしたい
彼をもっと知りたいわ
マリアの願望がぐるぐると頭の中を巡る
幼い頃から自分と同じくらいシュッとした人を多く見てきたせいか、ある程度筋肉がある人を見ると憧れ心の中で萌えていた
しかし、この王国内では王太子のように細身の男性が多く、どちらかというと苦手だった私はホーク様に会い目を奪われた
「……ねぇ、エリカ…ホーク様は…既婚者なのかしら」
既婚者なら、私の恋は叶わない
「いいえ、むしろ敬遠されてるわね」
希望をくれるエリカに感謝をするが…
「…そう…美しいのに」
筋肉が…との声まで届かず、マリアは帰ってお父様に一目惚れしたと伝えなければと心に固く決めた
****************
マリアの恋の相手があの流血の狼と知れ渡った時の屋敷中の混乱は凄まじい程で、お父様は倒れお母様は娘の初恋に喜んだ
弟達は泣き、執事や侍女は「絶対に上手くいくように尽くします!」と声高々に宣言してくれ、マリアは嬉し泣きをした
すぐさま執事の手配で、流血の狼ーーホークの元へ1通の手紙が送られる
「お茶会を開催するのでいらっしゃいませんか」
と
数ヶ月後
数回のお茶会の後、不器用な流血の狼は女神にプロポーズをし、出会ってから半年後2人は結婚式を上げ、晴れて夫婦になった
その時、婚約者への王妃教育に苦戦していた王太子含め国内の貴族男子、彼女に惚れていた人々は悲しみの中祝福をする事になった
ホークとのお茶会では、一切の触れ合いはなく
おしゃべりをして帰る…というのが定着しつつあった
それでも着実にマリアに熱の篭った目を向け、マリアもホークに見惚れ恋心を募らせていく
そんな2人の初めての触れ合いは結婚式の誓いのキスで、ホークが彼女の唇に触れるだけの軽いキスをし、式が終わった
ホークとキスが出来た事にぽぅっとしていたマリアは、周りから羨望の眼差しまたは、ホークへの嫉妬の睨みが飛び交っている事など知る由もなく
ホークが周りをひと睨みし、黙らせた事にも気が付かなかった
「…ホーク様」
素敵すぎる筋肉と声にうっとりと呟いた声はエリカに聞こえたみたいで、両肩に手を置き
「…今度騎士団本部に行く用事作るから一緒に行かない?」
「….作る?……….でもまたホーク様に会いたい」
どうして理由を作るの?と思ったが、突っ込んだらダメだと思った私は、ホーク様に会いたいと素直に伝えた
「…しかし、マリアが筋肉フェチとはね…うん…そりゃぁ王太子への態度も納得だね」
うんうん、納得するエリカを無視して、過ぎ去ったホーク様を思い返すマリア
あの逞しい腕に抱かれたらどんなに幸せだろうか
私を片手で持ち上げ、厚い胸板に顔を埋めて頬擦りしたい
彼をもっと知りたいわ
マリアの願望がぐるぐると頭の中を巡る
幼い頃から自分と同じくらいシュッとした人を多く見てきたせいか、ある程度筋肉がある人を見ると憧れ心の中で萌えていた
しかし、この王国内では王太子のように細身の男性が多く、どちらかというと苦手だった私はホーク様に会い目を奪われた
「……ねぇ、エリカ…ホーク様は…既婚者なのかしら」
既婚者なら、私の恋は叶わない
「いいえ、むしろ敬遠されてるわね」
希望をくれるエリカに感謝をするが…
「…そう…美しいのに」
筋肉が…との声まで届かず、マリアは帰ってお父様に一目惚れしたと伝えなければと心に固く決めた
****************
マリアの恋の相手があの流血の狼と知れ渡った時の屋敷中の混乱は凄まじい程で、お父様は倒れお母様は娘の初恋に喜んだ
弟達は泣き、執事や侍女は「絶対に上手くいくように尽くします!」と声高々に宣言してくれ、マリアは嬉し泣きをした
すぐさま執事の手配で、流血の狼ーーホークの元へ1通の手紙が送られる
「お茶会を開催するのでいらっしゃいませんか」
と
数ヶ月後
数回のお茶会の後、不器用な流血の狼は女神にプロポーズをし、出会ってから半年後2人は結婚式を上げ、晴れて夫婦になった
その時、婚約者への王妃教育に苦戦していた王太子含め国内の貴族男子、彼女に惚れていた人々は悲しみの中祝福をする事になった
ホークとのお茶会では、一切の触れ合いはなく
おしゃべりをして帰る…というのが定着しつつあった
それでも着実にマリアに熱の篭った目を向け、マリアもホークに見惚れ恋心を募らせていく
そんな2人の初めての触れ合いは結婚式の誓いのキスで、ホークが彼女の唇に触れるだけの軽いキスをし、式が終わった
ホークとキスが出来た事にぽぅっとしていたマリアは、周りから羨望の眼差しまたは、ホークへの嫉妬の睨みが飛び交っている事など知る由もなく
ホークが周りをひと睨みし、黙らせた事にも気が付かなかった
35
あなたにおすすめの小説
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
いなくなった伯爵令嬢の代わりとして育てられました。本物が見つかって今度は彼女の婚約者だった辺境伯様に嫁ぎます。
りつ
恋愛
~身代わり令嬢は強面辺境伯に溺愛される~
行方不明になった伯爵家の娘によく似ていると孤児院から引き取られたマリア。孤独を抱えながら必死に伯爵夫妻の望む子どもを演じる。数年後、ようやく伯爵家での暮らしにも慣れてきた矢先、夫妻の本当の娘であるヒルデが見つかる。自分とは違う天真爛漫な性格をしたヒルデはあっという間に伯爵家に馴染み、マリアの婚約者もヒルデに惹かれてしまう……。
本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます
氷雨そら
恋愛
本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。
「君が番だ! 間違いない」
(番とは……!)
今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。
本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。
小説家になろう様にも投稿しています。
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。10~15話前後の短編五編+番外編のお話です。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。 ※R7.10/13お気に入り登録700を超えておりました(泣)多大なる感謝を込めて一話お届けいたします。 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.10/30に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。 ※R7.12/8お気に入り登録800超えです!ありがとうございます(泣)一話書いてみましたので、ぜひ!
【完結】偽物聖女は冷血騎士団長様と白い結婚をしたはずでした。
雨宮羽那
恋愛
聖女補佐官であるレティノアは、補佐官であるにも関わらず、祈りをささげる日々を送っていた。
というのも、本来聖女であるはずの妹が、役目を放棄して遊び歩いていたからだ。
そんなある日、妹が「真実の愛に気づいたの」と言って恋人と駆け落ちしてしまう。
残されたのは、聖女の役目と――王命によって決められた聖騎士団長様との婚姻!?
レティノアは、妹の代わりとして聖女の立場と聖騎士団長との結婚を押し付けられることに。
相手のクラウスは、「血も涙もない冷血な悪魔」と噂される聖騎士団長。クラウスから「俺はあなたに触れるつもりはない」と言い放たれたレティノアは、「これは白い結婚なのだ」と理解する。
しかし、クラウスの態度は噂とは異なり、レティノアを愛しているようにしか思えなくて……?
これは、今まで妹の代わりの「偽物」として扱われてきた令嬢が「本物」として幸せをつかむ物語。
◇◇◇◇
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます!
モチベになるので良ければ応援していただければ嬉しいです♪
※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
※完結まで執筆済み
※表紙はAIイラストです
※アルファポリス先行投稿(他投稿サイトにも掲載予定です)
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。
【完結】体目的でもいいですか?
ユユ
恋愛
王太子殿下の婚約者候補だったルーナは
冤罪をかけられて断罪された。
顔に火傷を負った狂乱の戦士に
嫁がされることになった。
ルーナは内向的な令嬢だった。
冤罪という声も届かず罪人のように嫁ぎ先へ。
だが、護送中に巨大な熊に襲われ 馬車が暴走。
ルーナは瀕死の重症を負った。
というか一度死んだ。
神の悪戯か、日本で死んだ私がルーナとなって蘇った。
* 作り話です
* 完結保証付きです
* R18
【完結】恋多き悪女(と勘違いされている私)は、強面騎士団長に恋愛指南を懇願される
かほなみり
恋愛
「婚約したんだ」ある日、ずっと好きだった幼馴染が幸せそうに言うのを聞いたアレックス。相手は、背が高くてきつい顔立ちのアレックスとは正反対の、小さくてお人形のようなご令嬢だった。失恋して落ち込む彼女に、実家へ帰省していた「恋多き悪女」として社交界に名を馳せた叔母から、王都での社交に参加して新たな恋を探せばいいと提案される。「あなたが、男を唆す恋多き悪女か」なぜか叔母と間違われたアレックスは、偶然出会った大きな男に恋愛指南を乞われ、指導することに。「待って、私は恋愛初心者よ!?」恋を探しに来たはずなのに、なぜか年上の騎士団長へ恋愛指南をする羽目になった高身長のヒロイン、アレックスと、結婚をせかされつつも、女性とうまくいかないことを気にしている強面騎士団長、エイデンの、すれ違い恋愛物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる