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新たな火種2
しおりを挟む「何故っこんなことを…」
身体の自由が効かないまま、扉にいるミナ様に問いかける
「…何故?それは…ね、いつまでも王妃の瞳には貴方しかいないからよっ」
「…ミナ様?」
何を言っているのか、全く分からなくて彼女を改めて見ると以前はピンクの髪は緩いウェーブが掛かっていてたのが、艶のなくなったお手入れされていない伸び切った髪、保護欲を掻き立てる雰囲気の可愛らしい方だったのに、目の下のクマで目つきが鋭く頬も痩せこけているようだ
「何をするにも、マリア・スワローズ、最高の女神マリア・スワローズ…王太子様にも呆れられこの間の舞踏会では戻るようにいわれていたじゃないっ!」
甲高い声で悲鳴を上げ、私を責める彼女
ーーそんな事を言われたって…私は公の場で筆頭婚約者という立場から外され、少なくとも無傷ではなかった
縁談の手紙も来なくて、唯一私を受け止めてくれたのは
ホーク様だ
「許せないっ!貴方だけはっ!!」
そう言ってうしろにいる誰かに合図を送ると
わらわらと3人の男が入ってきた
「ほぅ、上玉すぎるな」
「ヒャハハ、最高じゃねぇか」
私を全身舐め回し、にやにやと笑ういくつもの顔は
気持ち悪くて身体が後退る
「ふん、いい気味これで私の気も晴れるわっ」
蔑む目で私を一瞥すると、部屋から出て行く彼女
このままこの男達に何かされると察知した私は恐怖で声も出ない
ーーいやっいやだ、
どんどん近寄る男が舌舐めずりをしにやにやと笑い手を伸ばし腕を取られ、引き摺られると彼らの足元へと倒れ込む
はっと顔を上げ目を大きく見開く
「…っ!」
私を囲うように周りを固め見下ろす男達の目が、欲を隠そうともせずにギラギラとしていた
ーー怖いっ!怖いっ
ぎゅぅっと自分自身を抱きしめ、身体を丸めた私に
「庇護欲をそそられるぜっ」
「ヒャハハ」
もうダメなのかと目をぎゅっと瞑る
と
バキッバキッボキッ
とバタバタと大きな音がした後に私の身体を包む何かに
パニックになり必死に抵抗する
「いやっ!いやっ!ホーク様っ!いやっ」
力一杯拳を作り、相手を殴り声に出して愛しい人の名を叫ぶ
「ホーク様っ」
びくともしない私を包む身体が憎くて、さらに叫び抵抗する
「マリアッ!俺だ」
耳に響く低い愛しい声に、身体の力が抜け顔を上げると私を包む身体は、ホーク様だった
「ホーク…様」
呆然とした声に「ああ、俺だ」落ち着いた声が私を安心させ、ポロポロと涙が零れた
「ホーク様、ホーク様」
彼の胸板に抱きつき、わんわんと泣く私を背中を摩り抱きしめてくれる
「ああ、もう大丈夫だ、俺がいる」
そのまま彼の腕の中でプツリと意識を失った
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