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14 エピローグ

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ゴムを取ろうとする秋人の手を無言で掴むと、
「どうなっても知らねーからなっ」
と、格段に低い声で凄まれた。

足を持って曲げて広げると、すぐに欲しかったものが蜜口に充てがわれる。私の蜜口を目一杯広げ、昂りが埋まっていく。ミチミチと満たされていく感覚と、ゴムのない昂りの熱さに頭が真っ白になる。
「ぐっ、締めつけっんなっ」
ぎゅうぎゅうと締め付ける蜜壺の奥へと掻き分けて入る昂りと余裕のない声。
「ーーーっ、…っ」
頭に直接快感が送り込まれているかのように、何にも考えられない。足を持つ手の力も入らなくなって、私の肩の横に置いた秋人の腕に手を添えた。秋人の胸板が私の足の上に曲がったまま押しつけられた。胸を押し潰されながら深くなる結合に、口を開き甘い声を微かに発しながら、荒くなる呼吸。
秋人の腕が私の足を動かすと、彼の腰に足を巻き付け直し下半身がぴたりと交わった。
「ぅんっ…ん、っはっ…あっ」
「はっ、史恵っ、っ…ぐっ、っ」
顔を近づけて、お互いの頬がぶつかる。気が向いた時に触れるだけのキスや舌を絡める濃厚なキスを繰り返して、抽送が始まった。狭い空間に閉じ込められたみたいに、ぴたりと重なる身体を離そうとは思わなかった。初めて想いが通じたから、嬉しくて離れたくない思いでいっぱいで2人の間に隙間を作りたくないと強く思ってしまう。
――何これっどうなってるの
ドロドロに溶け合っていたい。強い独占欲に戸惑ってしまうが、与えられる快感により深く考えられない。
「くっ、ふみっ……っづ」
「っ、く…イくっ、のぁぁぁあっ!」
いつもより余裕がない2人の絶頂は、すぐにやって来た。蜜壺の中に注がれた熱い証によって、秋人がイッた後に私も達した。ドクンドクンと注がれる証が、身体の中で音響のように全身に広がる。私の蜜壺の内側に練り込むみたいに擦り付ける秋人に、快感が冷める気配はない。
はぁ、と息を吐かれ、自然と唇が重なる。だんだんと濃厚になる口づけから、私が足を上げて秋人の腰に足を巻き付けるとお腹に力が入って蜜壺の中にいる昂りを締め付けた。
むくむくと大きくなる昂りを蜜壺の中が満たされていくのを感じながら、2人の時間が終わらない事に悦ぶ自分に気がついた。




***************



「…風呂入るか?」
先に荒い息を整えた秋人に言われ、ううんと顔を横にした。
「…お風呂入りたいけど眠い」
ベッドで交わった後、一緒にお風呂に入るつもりが抱き上げられた時に柔らかな胸が彼の顔に当たってしまって、ぷつんと切れた秋人が立ったままもう一度繋がった。
そのまま繋がったまま歩きながらシャワールームの出入り口にあるソファーへと私の腰を抱きながら秋人が座り、私は彼の足の上に向かい合わせで座っていたのだ。それでさっきの話となるのだ。
何にも身につけていない固い肌に自分の肌を合わせると、何にもでも代え難い幸せな気持ちと知ったし、ちょうど秋人の首と肩の境目が、彼の足の上に座ると頭をつけられる事も初めて知った。身体の関係は半年もあったのに、ドライな関係だったから事後密着するなんてありえない事なのだ。
2人の距離が近いたのは…
――やっぱりデートの時かな
秋人の胸板が上下するたび、鎖骨につけた耳が彼の呼吸を聞き取る。そんな事だけでも、愛しいとか気持ちが通じて嬉しいと思う。何となく顔を上げると、秋人はソファーの向かいの壁にある電源のついていない大型の液晶テレビを見ていた。それが面白くなく感じて、左手をあげて秋人の頬に手を伸ばすと、秋人の視線が私に向かう。
「…どした」
掠れた声もかっこいいと、思うなんて本当に重症かもしれない。
「別に」
と言いつつ、頬に触れた手を離そうとは思わなかった。私の左手の上から秋人の手が重なり指先を絡められると、口づけが始まった。
[…っ、史恵」
思わずおなかに力が入ってしまい、繋がった所がきゅんと反応すると、秋人は焦った声を出す。その表情もまた可愛いと思ってしまって、本当に私は秋人を好きなんだと再確認した。
「っ、…っ」
足に力を入れて腰を横にスライドさせると、繋がった箇所から芯を持ち始める昂りを感じた。
「…もうっ、入らないっ…ょっ」
ゴムなしで満たされた蜜壺の中は、彼の証でいっぱいなのだ。座っているだけでも2人の結合部から溢れて、彼の腰や足に伝っているのを感じるのに、大きく栓みたいに蜜口を塞ぎ始めた昂りでまたえっちはできないのだ。
「なら、綺麗にすればいいだけの話だ」
そう言って私のお尻を掴み持ち上げると、彼の前で膝立ちとなった。
「ん…っ」
繋がっていた所が離され、抜ける昂りに蜜口がきゅんきゅんと名残惜しく締め付けた。下から漏らす感覚に恥ずかしさで頬が赤くなると、秋人は可愛いと低い声で口元を緩めた。彼の2本の指が私の蜜壺の中へと入り、蜜壺を満たす証と新たな快感で溢れる蜜を掻き出していく。腰が引けても秋人の指が追いかけてくるし、離れるな、と言わんばかりに私の腰を掴み元の場所へと戻そうと力を入れる。膝がガクガクと震えて倒れそうになるから、秋人の首に腕を回すと自然と彼の顔に乳房を押しつける形となってしまう。
「ん、ぁっ…ん…あきっ…ひとっ」
それをよしとする秋人は、私の乳房を甘噛みしたり吸い付いたり舐めたりして遊ぶ。もう無理だと思っていたのに、簡単に快感に火がつき求めてしまうのは、私だけじゃない。胸ばかり可愛がる彼に、自分の身体なのに面白くないと思ってしまう。
「…風呂に行こう、綺麗にする」
そうすればまた出来るだろう、と太ももに固くなった昂りを擦り付けられたら、
「…うん」
と、お風呂場で起こるこの後のことを想像して、瞳が潤んでしまうのだった。





金曜日に会っていた時とさほど変わらず、2人の体力がなくなるまで求め合っていた。一つ変わったとすれば、ゴムをしていないから一回一回がねちっこく、一度も蜜壺から秋人の昂りが抜けずに3回連続で中に注がれたりもした。軽く綺麗にされた後、秋人の腕の中で朝を迎えた。
いつもなら、深夜か早朝に起きて彼が起きる前に帰っていたのに、今はそれが必要ない。
「…おはよ」
朝の挨拶がこんなにも照れくさいなんて知らなかった。
「おはよ」
ふふっと笑うと、いつの間にか腕枕をされていた秋人の腕が曲がり、私を彼の身体に密着させられた。どうしようかと思っていたが、結局秋人の腰に腕を置いた。私の足も秋人の足に絡めると、触れるだけのキスの挨拶もする。
「…今日はどうする…帰る?」
このまま帰るのかな、と思っていると、秋人がいや、と否定する。
「…できたら今日か明日、史恵の実家に行って挨拶を済ませたいが、親御さんの予定は?」
と言われ、微睡んでいた頭が一気に覚醒した。
「あっあああ挨拶って?!」
「結婚の報告以外何があんだよ」
呆れた顔の秋人に言われ、一瞬私が悪いのかと思ったが、それは違うと思い直した。
「結婚って!…結婚するの?誰と…私と?」
「お前以外誰がいるんだよ」
1人コントみたいに自分で返事をすると、秋人は最早可哀想な眼差しで私を見る。
「……本当…に」
「ああ、親には彼氏いること言ってるのか」
「ああ…うん、前の彼氏のだけど…別れたこと言ってない」
前回は年末に別れたので、年末に嫌なニュースを親――主に母に伝えるつもりはなかったのに、秋人とこんな関係になってしまったので、結局別れた事も伝えてない。
「…言ったのかよ」
チッ、と不機嫌になった秋人は、まっいいか、どうせすぐにわかるしな、と不穏な空気を醸し出した。
「…秋人…?」
「親御さんの許可をもらったらそのまま役所へ行くぞ」
「はっ?!だからっ」
「なんだ、嫌なのか」
また不機嫌になる秋人に、話が噛み合わなくて混乱する。
「…だって、まだ付き合ってないし」
付き合って・・・・・たろ、この半年」
「それは…違うと思う」
「身体の相性もこれ以上ないぐらいぴったりだと思わないか」
「…まぁ…それは」
初めて身体を重ねた時から、夢中になってしまったのは否めない。
「それに、昨日はたっぷり・・・・と出したから可能性もゼロではない」
「たっ…確かに」
そう言って秋人は私の下半身に自分の下半身を押し付けた。昨日の夜からあんなにしたのに、何故か固くなっている昂りが下生えの上から熱くなっているのを感じた。昨日の出来事を思い出して、ぽっと頬が赤くなると
「っ、だからそれがっ」
秋人は獣のようにぐるっ、と唸ると私の足を持ち上げて自分の太ももの上へと置いた。そのまま私の蜜壺なかへと入り、朝から濃密な思考に変化し始めた。これからのことや今考える事を放棄した。
「…電話しろよ」
私に覆い被されながら、耳元に直接吹き込まれた言葉には熱が籠っていた。秋人の太ももの裏へと足を掛け、彼の背に手を回すとゆっくりと抽送が始まった。お互いの快楽のために激情をぶつけるエッチではなく、蜜壺なかを堪能するエッチだ。


まったりとした朝から濃密な朝へ、激しくなる朝へと変化すると、好き、とか、溢れた気持ちが止まらなくなるほど熱に溺れた私に、秋人は、何をする?と抽送の動きを止めてしまい、わかんない、やめないで、とあと少しで達するのにと、半泣きになると、結婚だろ、と言われ、うんうん、だからやめないで、言っても、私がはっきりと結婚をすると言うまで、焦らされまくり、ついには
「結婚するっ、秋人とっ」
「なら終わったらすぐに連絡だからなっ」
「うん、う…あっっ」
と約束をさせられ、欲しかったモノを与えられた。


「俺は会社第二営業課のエースだぞ、思い立ったらすぐ行動、好印象の塊の男だぞ」
親に報告して難色を示されたらどうするのと言えば、自信満々な返答が返って来て、そう言えばこういう人だったと呆れた。
――親がどう出るかは分からないけど、反対はされないと思いたい

私の心配とは裏腹に会社内で見せる顔とは真逆の、商談中に見せるであろう笑顔で好印象の秋人に、好青年だと両親は大変気に入った。とんとん拍子で話が進み、何処から持ってきたか分からない婚姻届を出したかと思えば、その場で記入してちゃっかり私の親を証人にしてしまった。
「史恵さんの生まれ育った故郷であるこの地域の市役所で是非提出したいです」
なんて言った時には父は泣き、母は素敵な方ねと喜んだ。

「秋人の親に挨拶してないけど」
と婚姻届を出した後2人きりになった帰り際に聞くと、
「あー、はいはいで終わると思うぞ」
「んなわけないでしょっ!」
なんて雑な扱いに、私はキレてそのまま彼の実家へと挨拶を電話越しにしたのだった。
「あの子は昔から、こうと決めたら突き進む子だったわ」
優しい声音のお義母さんは息子の行動に笑い、後日ちゃんと会う約束をした。



「もう結婚したし、住むか」
婚姻届を出した日、てっきり一度ここで別れるのかと思えば、そのまま私の部屋に転がり込んだ秋人。会社に結婚の報告と仲間内から急だったから驚かれつつ祝福され、目まぐるしく過ごす間に気がついたら、解約していた彼の住むアパートから私の部屋に荷物が運び込まれていた。
「これから家族が増える家を探せば良いさ」
なんて言った秋人の行動力に驚き、週末だけの関係から毎日愛された私は彼の想いに戸惑いつつも、幸せだと感じる瞬間が増えていたのだった。
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