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32 気分転換に2泊目

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夏の強い日差しとは裏腹に、快適な温度の室内で2つの身体がくっついていた。男を誘うように動くお尻に目を奪われ、大きな日に焼けた肌の手が小さな白いお尻を揉むと、女は掠れた甘い声を漏らす。朝から続く行為に女の声が弱くなっていく代わりに、快感を求めて大胆になっていく。
男はベッドにうつ伏せになっている女の腰を引き寄せ、お尻を上げさせると己の欲情を女にぶつけたのだ。


***************


昨日の夜から始まった行為は朝まで続き、ルームサービスで頼んだすでに冷え切った料理を作業のように食べ、喉が渇いたと言っては温くなった飲み物で喉の渇きを潤していた。
「もう辛いからやだ」
と茉白がイきすぎて辛いと啜り泣くと、薫は彼女を宥めながら、
「あと一回だけ、な」
と、泣く顔もそそるなと心の奥底で思いながら、守る気のない約束をして彼女を堪能した。気を失うように力尽きて眠った彼女の蜜壺に留まっていた薫は、このまま繋がったままで寝ようかと本気で考えたが、起きた時に繋がりが解けたらショックだと思い留まり、名残惜しく彼女の中から己の昂りを抜いた。
浅ましくも1回目との勢いは違うけれど、少しだけ勃ち上がる昂り自身に呆れながらも、彼女の身体を清めて隣に眠った。
起きた時には10時になっていて、予定していたモーニングブッフェが終わっていた。すやすやと眠っていた彼女が目を覚ますとお腹空いたと言い、薫は近くのコンビニに朝食を求めて使いっ走りにいった。

「…やっぱり薫の作ってくれるご飯が美味しい」
買ってきた6個の味の違うおにぎり──茉白の好きな鮭とそぼろのおにぎりで他のツナマヨ、おかか、大きな生姜焼きと牛カルビおにぎりの4個は薫が食べる分──と彼女の好きなジャスミン茶とブラックコーヒーをベッドに座っていた彼女の元へ置くと、2個目の鮭のおにぎりを食べていた茉白にそう言われて、舞い上がる気持ちを抑えられる男などいるのだろうか、と薫は開き直って食べ終わるのを待って彼女を押し倒した。


***************


「せっかくバルコニーにプールがあるんだから水着を着たい」
と私が言うと、そう言えばそんなのあったなと、薫は言った。遅い朝食を摂ったあとは爛れた時間を過ごすうちに、14時になっていた。ベッドには色濃く残る気怠げな茉白は、シーツを身体に巻いてベッドに横になっていた。その茉白の横にいるのは薫だが、薫は茉白の身体に巻かれたシーツの端を自分の腰の辺りに置いただけであとは裸でいる。
元々は海で水着を着るのかと思っていたけど、ホテルの部屋に付いているなら、海で泳がなくてもいい気がしてきた。
「…ちょっと入る?」
「そうだな、どうせなら入るか」
薫も入る気になったので、私はベッドから降りて身体にシーツを巻きつけたまま部屋の隅に置かれたキャリーケースを開いて水着を取ると、脱衣所へと向かった。
「別にその場で着替えればいいじゃん」
脱衣所に向かう私に声を掛け、どうせ裸を知っている仲だろ、と薫に言われても、それとこれとは別だと私は思う。
「すぐ終わるから、待ってて」
いつもより声の大きさを上げても、昨夜から出し過ぎたせいか、少しだけ辛い。
脱衣所の扉を閉めると、持ってきた水着に着替えた。




薫は水着を着た──といっても水着素材のハイビスカスのイラストが描かれたオレンジ色のハーフパンツを履くだけだ。バルコニーにある横になれるベッドチェアに座ってから横になると、強い日差しと快適な温度に保たれた室内とは違う肌にまとわりつく暑さに目を細めた。
丸い大きなジャグジープールがバルコニーの中心にあり、その横に横になれるチェアが置かれている。チェアの横には飲み物などが置ける小さなサイドテーブルと床には籠の中には、さっき薫が入れたホテル備え付けのバスタオルを入れてある。鉄の柵の間はガラスになっていて、バルコニーから海が一望できる。海辺には沢山の人が海水浴を楽しみ、微かに海の家で流れてる爆音が聞こえた。
ほんの数分バルコニーに出ただけで汗が出てくる。プールの水は着替える前にボタンひとつで満タンになり、入ったら冷たい水が身体を冷やしてくれて気持ちいいだろうと想像できる。
「お待たせ」
ひょっこりとバルコニーの窓扉を開けてやってきた茉白は、真っ白なビキニの水着を着てやってきた。溢れんばかりの2つの乳房を白いビキニが支えて、ほっそりと折れそうな腰の下は三角のビキニが彼女の秘部を隠す。肌に点々とある赤いキスマークは薫がつけたが、なんだかいけない事をしてしまったみたいでドキッとした。身体のあちこちにある赤い点が白い肌に付いていて、彼氏の執着を物語る。特に鎖骨から胸、腰からお腹、太ももから付け根に向かっては他の場所よりもたくさん付いていて幾重にも重なって執拗に付けた跡は、触られたら感じてしまう茉白の弱いところでもある。
「可愛いじゃん」
「本当?選んで良かった」
シンプルな水着だが、茉白に似合ってると言うと、彼女は嬉しそうに笑う。茉白が薫のそばに近づくと、薫が足を広げて退かすと彼女は薫の足の間に座り、薫に背中を預けた。
背後から手を伸ばし腰の前に手を回すと、腕の中にいる茉白にキスをした。直前まで部屋にいた茉白の身体は冷たくて、暑くてうんざりしていた薫は気持ちいいと感じる。
くすくすと笑う彼女と軽くキスをしたり周りの景色を眺めたりとした時間を過ごし、さすがに暑さに耐えられなくなりプールに入る事にした。

「気持ちいーね」
プールの縁に腕をつけた彼女がそう言うと、そうだなと薫は軽く答える。ジャグジータイプのプールの中はプールの円に沿って段差があり、座れたり階段のようにしてプールから出れるようになっていた。
「ご飯どうするか」
「うーん…今は出たくない」
薫が聞くと、暗に朝から運動・・したから疲れたと言った彼女が、その原因を作った張本人に向かって口を尖らせて言うと、バツが悪くなった薫は頭をガシガシと掻いた。
「そうか、ならまたルームサービスでも頼むか」
昨日頼んだルームサービスの食器はそのままになっているし、ついでに片付けてもらうから一石二鳥か、と薫は思った。
「その前に」
「ん?わわっ」
そう言って薫と離れて座る茉白の腰を引き寄せ、腕を掴んで水の中にいるからそんなに力を入れなくても持ち上げると自分の足の上へと座らせた。
背後から彼女を抱きしめ肩に顎を乗せると、2つの寄せられた胸が見える絶景となる。その胸にも薫がつけた印があり、薫は嬉しくて口角が上がるが茉白からはほんの僅かな変化のため気が付かない。
彼の足の上が定位置になりつつあるな、と思いながら、茉白も薫の肩に後頭部を乗せた。
「…日が沈んだら海辺の散歩でも行こう」
「…うん」
強い日差しの中歩いたら倒れそうだからという理由で、夜の散歩を提案すると茉白は頷いた。薫は頬にキスをすると、笑い始めて機嫌が良くなった茉白に嬉しくなり、ちょっかいを掛け始める。戯れ始めた2人はいつのまにかうっとりと見つめ合いながら長めのキスをする時間になっていき、次第にお互いの身体が密着すると無言で立ち上がる薫に抱き上げれた。薫に頬や鼻、耳や額などにキスをする茉白とは反対に、籠からタオルを乱暴に取ると2人分の身体を適当に拭いながら部屋に戻ると薫は茉白に煽られて我慢していた分を爆発させた。


この世が今終わっても多分思い残す事はないくらい、交わり繋がって重なった2日間だったと思う。永遠とも言える時間彼女の中に入り、啜り泣く彼女の涙が美味しいと気がついたら、責める手を休めるどころか酷くなった気がする。
「好きっ」
って茉白が言うたびに頭が沸騰したかのように熱くなり、プールが終わったらルームサービスを取るはずが日も沈んだと、薫は自分の昂りがもう反応しなくなった時にようやく周りを見回す余裕が出来た。目の前の彼女は肩で息をして、泣き過ぎて目元を赤らめて仰向けになっていた。
ぐしゃぐしゃになったシーツ、布団も枕も床に落ち、ベッドのそばにあったゴミ箱はティッシュの山が出来ていて、溢れたゴミの山は床にも散らばってティッシュの空箱も2つほど落ちている。彼女が着ていた水着も薫のハーフパンツも窓のそばに落ちていた。
このままずっと彼女の身体にキスをしていようか、と彼女の中に居なくてもどこかしら触れたいという欲求を抑えられなくなった薫は彼女の身体に唇を寄せると、茉白はキッと薫を睨んだ。
「ご飯…ゴホッ…散歩に行くはずだった!」
いきなり喋りだしたから咳き込んだ茉白は薫の頬を両手で挟み、薫がキスをするのを拒んだ。
「…悪い、大丈夫か」
「疲れた…本当に疲れた」
昨日から続いた行為に疲労で全身が重く感じていて、正直指一本動かすのも億劫そうに言う。どこにそんな体力あるの、と恨めしげに睨む茉白が、可愛いと思ってしまうからもう話が合わない。
「…明日は出かけようか、茉白」
「絶対だよ、ここまで来たのに観光しないのやだ」
「わかった、海鮮が美味いお店があるからそこに行こう」
「絶対だからね、約束だよ」
「ああ、約束だ」
ふいっと薫に背中を向けて横になった茉白は、そのまま疲れた身体を休めるために眠ることにした。薫は茉白を背後から抱きしめて横になり、自分も休むことにした。
疲れきった茉白は気がつかなかったが、美味しいお店・・・・・・が近くにあるのを知っているという事は、薫は事前に下調べをしていたのに、外出せずにホテルに篭って過ごしていたことを薫はぽろっと零してしまったのだ。
そして他にも色々調べて4日間の日程のプランも作ったのに、2日目だけは元々ホテルに篭るつもりだったのは薫しか知らない。
ゆったりとした時間を過ごすつもりだったけど、思った以上に濃厚な時間を過ごしてしまったと、思ったが後悔はしてないなかった。
気がついたら2人は深い眠りにつき、こうして2日目が終わった。
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