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接近2

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それからというと

ホームで待ち合わせをして同じ車両のドアの前に立ち数駅先のホームに止まったら渡辺と窓の間に挟まれ、また数駅後のホームに降り離れないように手を繋いだ


手を繋ぐのは最寄りの駅までだったのがいつの間にか家の前に着くまでに伸び
私の心臓がドキドキしっぱなしだった


ーーでも


渡辺と別れてから繋がれていた右手を見る


ーー最近手を離す時にすごく寂しくなってしまっているのに気がついた



そんないつもよりも近い距離にドキドキしていた日々が増えると、待ち合わせから帰宅までの行動が当たり前になってしまい
数日後にはホームで待ち合わせをしたら手を繋ぐようになり、ホームに到着した電車内でドアを背に渡辺と手を繋いだまま、あと一歩で触れられる少し近い距離で向かい合って雑談したりクスクスと笑い合っているまでになった


最寄り駅に着き今日も家の前まで他愛のない話をして別れる
のが、なんだか名残惜しくて思い切って渡辺を寄り道に誘おうと決めた

改札出て東口に出ると、私が立ち止まったら手を繋いでいた渡辺も立ち止まった

しばらく俯いていた私は意を決して顔を上げ

「…渡辺…あの…この後…時間あ…る?」


手を繋いだまま歩き出さない私に不思議そうな顔をしていた渡辺は、目を見開いて驚いた顔をして固まった


ーー誘うのってすごい勇気いる!!へっ…返事を待つのも!!


渡辺の返事を待つ間雑踏の音が流れ、断られるのが怖くて俯く

どのくらい経ったのか….

「….ああ」
と低い声が聞こえ顔を上げ渡辺の顔を見たら、少し顔が赤い
嬉しくて繋いだ手に力が入り、ぎゅっと握ってしまったが渡辺も握り返してくれた




****************




2人が入ったのは某ファーストフード店で

私達はお店の隅にくの字型のソファーに隣同士で座り荷物を置き、目の前にハンバーガーとポテトとそれぞれの飲み物が乗ったトレーをテーブルに置いた

座った時に肩が触れ、ドキドキする


「結構混んでるね…座れてラッキーだったね」
と意外と近い距離にいた渡辺は
「そうだな」
と言った

お店に入ったらほぼ席が埋まっており、トレーを持ったままキョロキョロしていたら、親子連れが立ち上がり帰って行ったので座れたのだった


ーーあと、10センチずれたら肩と腕がぶつかる


そんな事を思いながら目の前のポテトに手を伸ばした






食べている時間以外で話をする事もあまりなく、相変わらず沈黙も多かったけど全然苦じゃなく



ーー食べている姿も凛々しいな

と、チラチラと盗み見をして勝手にドキドキしていた

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