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接近1

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電車に乗り昨日と同じ座席はほぼ埋まっていたのでドアの前で2人並んで立つ

出発し、電車が動き出す




しばらくすると
「今日天気いいな」
とぼそり聞こえ
「そうだね」
と答える

また沈黙になり

「今日暑いな」
とぼそりと聞こえ
「そうだね」
と答える

2度目とも同じ返事をしちゃったと思って渡辺を見上げると、窓の外を見ている顔が少し赤くなっていた

「…ふふっ」と笑いが込み上げてきて口を手で押さえていると気がついた渡辺が私の目を隠すように手をかざした
「ははっ…ごめ…ごめんって」
私の笑いに渡辺も笑ったような気がしたが、目が隠されているので見えない
2人で笑い合っていたらホームに到着した
私達のいるドアの反対側のドアが開き、ホームで待っていた人が大勢入ってきた



ぐいっとと



人並みに押されそうになった私を引き寄せた渡辺が、ドアの間に私を入れ人から守るように立ってくれた


ドアが閉まり電車が発車し、車内が揺れ人々がバランスを崩し押しあう
最初の方は窓に肘をドアの窓につけていた渡辺は、人々が押し寄せてきたため私の顔に制服の胸が当たり、ピッタリとくっついた

硬い身体にびっくりして固まってしまった
異性とこんな近くにいた事がないし、密着した事もない私は軽くパニックになってしまったようだ


「…ごめん」
固まった私に気が付いた渡辺は、そう呟くと頭上から注がれた低い声に胸がドキドキする

ーー身体が硬い…あと、声もこんな感じだったっけ?



と中学時代との差を思い出すが、ドキドキする心臓がうるさくてちゃんと考えられない

ーーそれに…ちょっといい匂いがする…


しばらく電車の動きに身を任せていたが、次の駅に到着したアナウンスが流れ私達の方のドアが開く
人々が出るために私達は押され、咄嗟に渡辺が私の手を掴みホームに降り、ドアの入り口付近で待つ事になった

ーーててててて…手を!!

胸のドキドキが収まらない上に、新たな出来事で考えるのを放棄した


はっと気がつくとまた電車内に2人並んで立っていた



が、



手は繋がれたままだった


ーーちょっと大きくて、固い…手だ



とドキドキしながら過ぎゆく景色をドアの窓から2人で眺めていた


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