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無愛想な男1

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ーーぴろん

と鳴るスマホに表示されるLINEの"メッセージが届きました"の案内



普段はあまり鳴らないスマホのLINEを開くクセが付いたのは最近だ


彼女、坂本ゆいか

腰まで伸びた黒い髪に、ぱっちりと大きな黒い瞳、白い肌に薄ピンクの頬、ぷるぷるして美味しそうなくちび…

「…っっ」
イカガワシイ言葉が出て我にかえる



スマホを取りLINEを開く
メッセージ画面を見ると
『もう寝るね』と短いメッセージとおやすみなさいと描かれているウサギみたいなスタンプがあった

何度か悩み結局
『おやすみ』
と、いつものように素っ気ない返事を出す

本当はいつもメッセージを送るときは色々考え、悩むが最終的には素っ気ない、つまらない文になってしまい自分の不器用さに嫌気がさす


スマホをベッドへ投げ、テスト勉強の続きを始める

数学の問題を解き始めるも、頭に浮かぶのは坂本の事だ
このままじゃ赤点だな、と思いつつも今日も可愛かったと思い出す彼女に思いを馳せる


今日は暑かったから、とにっこり微笑む彼女は高い位置にポニーテールを水玉のシュシュでまとめていて、いつもは見れないうなじが…白い肌で…胸がうるさいくらいに鳴った

ーーこれを登校した朝に見ていた…いや、学校の人もみんなの記憶を抹消させたい

と不穏な事を考えるのも最早当たり前になってきた






彼女ーー坂本ゆいかとの出会いは
中学入学してから、3学期辺りだ
同じクラスだったが、サッカー部に入り部活に大会にと忙しかった俺は学業もソコソコに部活重視の日々だった
3学期に入り新しく席替えのため(身長168センチだったため席が後ろが多かった)に窓際に机を移動させた1コ前の席に居たのが、坂本だった

彼女は当時肩まであるセミロングの髪を2つに分け、メガネをしていた

元々人と話すのが得意じゃなかった俺はただのクラスメイトとしての認識で、特に気にする事もなく彼女の後ろに座り授業を受けていた
彼女が振り向くのがプリント配りの時だけだったが、受け取るだけで声も掛けなかったし、掛けられなかった

そんな彼女との距離が変わった事件が起きたのは、席替えをして3週間程経った時だった

いつものように部活へ向かおうと、職員室の前を通ったら
サッカー部の顧問に渡しといてくれ
と、学年主任からプリントを渡され
学校生活はどうだ、と質問攻めされたために、学年主任から解放された時には部活に行く時間がいつもよりも遅くなっていた

近道しようと、校舎側の通路を通った時に木の影からサッカー部を見る坂本とばったり出会した
坂本は俺に気づかず、ジーっと準備運動していた部員を見つめていた

ーー気まずいな

と思いながらも、側を通った時に誰かが来た事に気がついた坂本は振り返り、俺の顔を見て驚いていた

そして坂本が固まり、俺も固まり、不思議な時間が流れた

が、我に返ったのが早かった坂本は、実は…と
サッカー部の部長山口先輩が好きと顔を真っ赤にして聞いてもいないサッカー部を何故見ているのかを、俺に語った



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