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彼の部屋1

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いつもと同じ帰り道
最寄りの駅まではいつも通りだった

違っているのは…




違っていたのは


ーー今渡辺のお家へ向かっている事だよね

いつもと違う下校コースは同じ最寄り駅でも知らない道があるんだなと、新鮮な気持ちで一緒に歩く

指を絡めた手に引かれ着いた所は茶色い外観の一戸建てで1台分の駐車場スペースがポッカリと空いていた
黒い柵を開けて焦茶の扉に鍵を開け、中に入る渡辺に付いていく

「おじゃまします」
「…どうぞ…今親買い物行ったみたいだから」

玄関に入ると靴を脱ぎ、灰色のスリッパを貸してくれたので、ありがとうと言って履いた
そのまままた手を引かれ廊下を少し歩いた先にあった階段で2階に上がると4つのドアの内の1つの部屋の前に止まりドアを開けて中に入った

ドアの先は、6畳くらいの部屋に小さい窓がひとつ青いカーテンが半分開いていて、白いレースカーテンが外の景色を見えなくしていた
小さい窓の右側に紺色掛け布団のベッドがあり、左側には黒い机に辞書やファイルとランプがありと机の前には黒い椅子があった
机の横には私の肩あたりまである黒い本棚があり、トロフィーや本が所狭しに並んでいた
床には焦茶のストライプ柄の絨毯が敷いてあり、部屋の真ん中に茶色のミニテーブルが置いてあった

「スッキリした部屋だね」
と言って部屋に入った

少し顔が赤くなった渡辺は
「…ここに座って」
と言われた所はミニテーブルの前で、一度部屋から出た渡辺は麦茶の入ったグラス2つとどこからか座布団を持ってきてくれて敷いて座った

2人で並んで座り、教科書とノート筆箱を出して勉強を始めた







しばらくすると、
コンコンとノックする音が聞こえ、開けられるドア
入ってきたのは渡辺とどこか雰囲気が似ているお母さんらしき人
「こんにちは、お邪魔してます」
とペコリと座ったままお辞儀する
「あら、いらっしゃい」
とトレーに載ったショートケーキが2つ持ってミニテーブルの端に置いた
「よかったらこれ、駅前のケーキ屋のなんだけどとっても美味しいのよ」
とニコニコして教科書を片付けていた私の前にケーキを置いた
「ありがとうございます…美味しそうです」
「え~と…何ちゃんかしら?」
ニコニコ待っていたお母さんに
「坂本ゆいかです…よろしくお願いします」
とペコリと頭を下げた
渡辺のお母さんだと思うと緊張してしまって笑顔も引き攣ってしまう
「真央が女の子連れてくるなんてねぇ、いつもは柚月…君だっけ?男のお友達はー」
「母さん…分かったから」
と渡辺は立ち上がりドアの付近へ、お母さんの背を押した
「まぁまぁ、ゆいかちゃん真央と何かあったらすぐに言ってね」
とドアが閉まるまで私を気にしてくれたので
「はい、ありがとうございます」
とお礼を言ったらパタンとドアが閉まった

「あの…気にしなくていいから」
隣に座りながら目元が赤くなった渡辺が怒ったような低い声で言った顔と声が可愛くて

「はぁい」
とクスクス笑いながら返事をした


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