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悩み

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ーーキスをする時間が増えた

1人の時に唇を触る時間も増えた気がする
お風呂から上がり、自分の部屋に戻ると
また今日のキスを思い出す


もう改札前の噴水で待ち合わせになっていた
少しでも早く会いたいから、私は嬉しいけど渡辺はどう思っているのだろうか
駅のホームのクマの自販機の陰で深い濃厚なキスをしてくれた

優しくて、苦しいけど…甘いキス

その後は、ぼぅっとして電車の中で渡辺の胸に頬を付けて抱きついた
腰に回した腕が私を支えながら抱きしめ返してくれて
この車内に2人しか居ない錯覚に陥る

最寄り駅に着いた時はお昼を食べに学生に優しい価格のファミレスに行き
忙しいランチの時間帯だったためか、混雑していてテーブル席がなく目の前が薄いオレンジの壁のカウンターに隣同士で座った
私はパスタとサラダのセット、渡辺はお肉とごはんセットを頼み
友人同士とは違う距離でいた
動くと腕が触れる位置、私の右膝と渡辺の左膝をくっついたまま食事をした

食べ終わる頃には、空いているテーブルも増えたため
少しだけ、と勉強をした

1時間ほど勉強したら、ファミレスを出て公園で他愛の無い話をして、人目があるので軽くだけキスをして
家まで送ってくれた

そして今に至るのだけど…

どんどん濃密な時間が増えてくの嬉しい…けど


ーー渡辺はこの関係どう思っているのだろうか


本当はただ知らない人達から絡まれるのを防いでくれるだけだったのに
いつの間にか距離が近く、キスまでした
いつまでこの関係を続けるのだろうか…

いつから渡辺が好きって気が付いたのだろうか
彼も同じ気持ちだったら…それとも私がキスして欲しい顔していたかな…

そんな顔していたなら恥ずかしい…でもそんな私の願いに応えてくれて嬉しい


そんな考えがグルグルと頭の中を回り、またキスを思い出し赤面し、不安になり青くなる

ようやく勉強しようかと、机に向かうと
急に開く部屋のドア

「ゆいか、テストって明日までだろ?」
とお風呂上がりの柚月がノックも無しに部屋に入ってくる

「………柚月、ノックして欲しいんだけど」
咎める声が出るが、柚木は聞かない
「悪い、んで?テストって明日?」
はいはい、と案外適当だ
はぁ、と溜息をつき
「うん、明日で終わりだよ」
と素直に告げる
「じゃあ明日一緒にカラオケ行かない?」
「カラオケ?」
テスト終わった後に遊びかぁ、と思っていると
「うん、明日中学の時の友達とカラオケ行くから一緒に行こう」
「…でも…柚月の友達って…私あんまり仲良くないよ?」
とさりげなく断ろうとしたら
「明日香も来るよ」
「明日香も?…なら行く」
明日香と一緒に居れるならカラオケも楽しいかもしれない

それに中学の友達って事は渡辺も行く…よね?



もう夜も遅いし、おやすみメッセージ送ったから今更聞けないな

諦めて、勉強を始めた
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