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トラブルを呼ぶ探偵
トラブルしかねぇ
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一通り手紙を読み終えて、一息付く。
「あぁぁ…」
―この世の終わりのような声を上げてみた。
すると、俺の手に静かに手を重ねてきた雫が、心配そうな顔をしていた。
「シュウジ…。大丈夫…?」
「…ああ。今は問題ない」
「随分と問題ありそうじゃな」
「確かに…。ってそれよりも今は、ってどういう事?」
そう聞いてくる雫に、そっと手紙を渡すと、訝しげにそれを受け取る。
「えっと…。拝啓、柊司 元気か…」
―挨拶に始まり、最近の近況がツラツラと。
そんな、近所の犬が子ども生んだとか、知らんがな。
そんな事が色々書いてあり、最後に体に気をつけてな。
と言った感じで締めてある。
「ん~?普通の、お手紙?」
「…のようだな」
―だと思うだろ?二人とも。
実は違うんだよ。
手紙を貰い、後ろを見せた。
「何で後ろ…?」
首を傾げながらも、その部分を読む。
「…追伸 華凜に居場所がバレたかもしれん。近々そっちに行くかもしれない。宜しくたのむぅっ!!?」
―うちの若奥さんが、壊れました…。
「…それで、これは何時届いたんだよ」
項垂れながら、グランに聞くと、目を遠くの方にやっている。
「恐らく、2週間位前だったかの?」
―よし、やっぱ殺ろう。
「ちょっと、シュウジ待って?!」
「あはっ?」
「やっぱりトラブルしか持ってこねーよコノジジイ逝かすしかねえ!!」
「だから、ちょっと落ち着いてったら!!」
バタバタと先程の騒ぎの二の舞になったのは、言うまでもない。
「まぁ、とにかく。まだ大丈夫だ」
「何でだよ…?」
妙に自信ありげな感じで言うグランに、俺は不満MAXの視線をやった。
「まだ、彼女がこの国に入ったと言う連絡は来とらんからな」
「あ~、そういう事か」
「ああ、だからまだ心配せんでもいいぞ?」
そう言って、グランはお代わりに貰ったお茶を飲んだ。
―この爺さんのコネは確かに当てにはなる。
何だかんだ言って、本来ならこんな田舎町で呑気に町長をやっていられるような立場じゃない。
それを聞いて安心したのか、雫も落ち着いて話を聞いている。
「だがな、シュウジ」
「何だよ、急に真面目な顔して」
真剣な表情になったグランに、俺は少し訝しげに視線をやる。
「そろそろ、いいんじゃないか?」
「…んな事は、解ってるよ…」
「…そうか」
そう言って爺さんは、微笑を浮かべながらお茶を飲んだ。
―まさかとは思うが、な。
少し雫と話した後、爺さんは帰って行った。
どうやら奥さんから帰って来いと電話がきたらしい。
雫はそんな爺さんを苦笑しながら見送っている。
俺の目の前には、グランの爺さんが置いてった、もう一通の封筒がある。
その表紙には、こう記されている。
『WMAB アメリカ会議の警護依頼』
―依頼書、だった。
やっぱりトラブルしかねぇじゃねーか。
俺が肩を落としたのは言うまでもない。
「あぁぁ…」
―この世の終わりのような声を上げてみた。
すると、俺の手に静かに手を重ねてきた雫が、心配そうな顔をしていた。
「シュウジ…。大丈夫…?」
「…ああ。今は問題ない」
「随分と問題ありそうじゃな」
「確かに…。ってそれよりも今は、ってどういう事?」
そう聞いてくる雫に、そっと手紙を渡すと、訝しげにそれを受け取る。
「えっと…。拝啓、柊司 元気か…」
―挨拶に始まり、最近の近況がツラツラと。
そんな、近所の犬が子ども生んだとか、知らんがな。
そんな事が色々書いてあり、最後に体に気をつけてな。
と言った感じで締めてある。
「ん~?普通の、お手紙?」
「…のようだな」
―だと思うだろ?二人とも。
実は違うんだよ。
手紙を貰い、後ろを見せた。
「何で後ろ…?」
首を傾げながらも、その部分を読む。
「…追伸 華凜に居場所がバレたかもしれん。近々そっちに行くかもしれない。宜しくたのむぅっ!!?」
―うちの若奥さんが、壊れました…。
「…それで、これは何時届いたんだよ」
項垂れながら、グランに聞くと、目を遠くの方にやっている。
「恐らく、2週間位前だったかの?」
―よし、やっぱ殺ろう。
「ちょっと、シュウジ待って?!」
「あはっ?」
「やっぱりトラブルしか持ってこねーよコノジジイ逝かすしかねえ!!」
「だから、ちょっと落ち着いてったら!!」
バタバタと先程の騒ぎの二の舞になったのは、言うまでもない。
「まぁ、とにかく。まだ大丈夫だ」
「何でだよ…?」
妙に自信ありげな感じで言うグランに、俺は不満MAXの視線をやった。
「まだ、彼女がこの国に入ったと言う連絡は来とらんからな」
「あ~、そういう事か」
「ああ、だからまだ心配せんでもいいぞ?」
そう言って、グランはお代わりに貰ったお茶を飲んだ。
―この爺さんのコネは確かに当てにはなる。
何だかんだ言って、本来ならこんな田舎町で呑気に町長をやっていられるような立場じゃない。
それを聞いて安心したのか、雫も落ち着いて話を聞いている。
「だがな、シュウジ」
「何だよ、急に真面目な顔して」
真剣な表情になったグランに、俺は少し訝しげに視線をやる。
「そろそろ、いいんじゃないか?」
「…んな事は、解ってるよ…」
「…そうか」
そう言って爺さんは、微笑を浮かべながらお茶を飲んだ。
―まさかとは思うが、な。
少し雫と話した後、爺さんは帰って行った。
どうやら奥さんから帰って来いと電話がきたらしい。
雫はそんな爺さんを苦笑しながら見送っている。
俺の目の前には、グランの爺さんが置いてった、もう一通の封筒がある。
その表紙には、こう記されている。
『WMAB アメリカ会議の警護依頼』
―依頼書、だった。
やっぱりトラブルしかねぇじゃねーか。
俺が肩を落としたのは言うまでもない。
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