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恋の日常②
しおりを挟む「また見てるわよ。」
あのすべてが嘘だった婚約破棄から数時間後、何時もの授業風景に戻ったと思っていたのだが、遠くから感じるやたら熱い視線を感じる。思わずため息をつきたくなってきたが、きにしない事にする。きっとここで反応したら奴の思うがままだろうし。
リーナが私の髪を指で弄びながら不安げに見つめてくる。先程までは笑いこけていたのにね。
「だって、ユリアがあんな小物に負けるわけないって思ってたもの。」
「あら、でも助けて貰いたかったわ。」
ごめんごめんと軽くいなされてしまったけど、私に剣を向けられたときの真剣な表情は心に残しておこう。オネェじゃない男の顔は珍しいのだ。
リーナスがオネェに目覚めたのは私に原因がある。
だからって恋人になった訳じゃないけど、楽しそうにしているのを見る度にカメラが欲しくなる。
「そのうちに向こうの彼氏に会いたいわね。」
「浮気じゃないからね。」
「わかってるわよ。ユリアは二つの世界を生きているんだから。」
ほふう、と悩ましげな表情でそう呟くリーナに私は慌てた様に言葉を重ねるが、理解があるこちらの彼氏は安心させる様に頭を撫でてくれた。
その手が気持ち良くて目を閉じて幸せを感じていると、撫で方が少し変わってきた。
ゆっくりと目を開くと、目の前には柔らかな美形のリーナではなく、涼しげな目元のクールビューティーな美形に変わっていた。
こちらの世界に戻ってきた様だ。
「もしかして、行ってた?」
「ええ、偽物の婚約破棄を体験してきたわ。」
「リーナスが?」
「違うわ。」
「なら、いいや。」
顔を覗きこんできていたが、ゆっくりと体制を戻して今は抱き込んで座っている。
私の手元にはいやんな同人誌が乗っているのを見て、そういえば一緒に読んでいたんだと思い出した。
私を抱き締めている男は、二階堂 慧。私のもう1人の理解のある彼氏である。
二人でいるときは本を読んだりと沈黙の空間ができるが、堅苦しい訳でなくゆったりとした心地よい時間が過ぎる。
因みに私は腐女子だが、彼はノーマルだ。ただ、色んな活字を見たいと言うことで、いやんな本も読んでしまう強者なだけである。
「別の世界に行くのは、大変?」
「ん?」
「日常が目まぐるしいでしょ?」
「最初は戸惑ったけど、慧やリーナスも支えてくれるし、いろいろと情報が得れるから楽しいよ。」
いきなり世界が変わる私に彼なりに心配してくれた様だ。
確かに最初は戸惑ったけど、慣れてきたら楽しまないとと思ったし、慧やリーナスなど世界観を相談できる相手にも恵まれた。
ひとりで二つの人生をリアルタイムでやれるなんて、お得でしょ。
そんな気持ちで答えたら、慧は嬉しそうに抱き締める手に力を込めた。
その顔がどことなくリーナに似ていて思わず笑ってしまう。それに何を思ったのか慧も一緒に笑ってくれた。
「でも、どうせなら魔法が使えればよかったのに。」
「魔力がこちらには無いからね。」
「『ファイア』なんちゃっ……。」
冗談で言った魔法の言葉に一瞬だけ赤い炎が出て直ぐに消えた。
「……戻ってきたばかりだからかな?」
なんか波乱が起きそうな嫌な予感がします。
絶対この事はしゃべらないでおこうと心に誓った。
end
───────────
中途半端に終わります。
想像していたのよりだいぶ方向性が変わりまして、いずれは消すかも知れませんが、おきにいりをしてくれた方のため形だけでもendを入れました。
また、懲りずに作品を作ると思いますがどうぞ見てやってください。
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