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恋の日常
しおりを挟む場所を変えることに成功し、食堂から空き部屋へと移動してきた。空き部屋には何故か理事長が既にスタンバイしていた。
この理事長は王弟である、謂わば王子の叔父である。
どうやら、食堂の騒ぎを聞いて慌てて駆けつけてくれたみたいである。ありがたや~。
空き部屋には大きなソファーが二つ向かい合わせて置いてあり、その二つの両脇に1人用が置かれている。
理事長はその1人用にゆったりと腰掛け王子に向かってにこにこと微笑みながら威圧感を掛けるというなんとも器用な事をしている。
冷や汗を垂らしている王子と、自称婚約者は少女を挟んで座っていて、その向かい側に私と親友が座る。
さて、今更ながら人物紹介をしときましょうか。
私がユリア・テンドーで向こうでは天馬 有里という名です。
こちらもあちらもとても平凡で、ちょっとだけオタク気質の女の子。
王子はセンド・キッシュ。
一言でいうなら優男風熱血王子。
ザッ王子という風貌だが内心は正義感溢れるそれだけ聞くなら良い人っぽい。だけど、彼のもつ正義感は自分が主観の正義感で、片寄っている。だから、先程もか弱い私に簡単に剣を向けてきたの。今の彼は少女の言葉が正義みたいだしね。
自称婚約者の公爵子息はアルセイド・タッカー。
色気がむんむんのチャラい男。
なんでこいつがモテるのかわからないが、話を聞くと目元の黒子が色っぽいらしい。
私はチャラ男が好きではないので婚約などするわけがない。
そのうちにこの二人で薄い本でも出してやろうかしら。その時は王子×チャラ男よりチャラ男×王子のほうが需要がありそうね。くふっ。
少女の名はエドワード・グリーン。通称、エリー、男だ。
茶色いウェーブの髪は普段はひとつに纏められており、母性本能をくすぐる可愛らしい顔を利用して今回は少女になっていた。
どうしてこんなことをしたのか問い詰めるのは親友に任せよう。だって目が怖いんだもん。
なお、肝心な情報として彼は私のストーカーである。
最後は私の親友、リーナス・カイル。
本人はリーナと呼んでほしいらしい、綺麗なおねぇさま。そう、オネェ様なのである。
服装は男性だがその顔立ちがとても美しく、上品でまさに、お嬢様の様な方なんだけど恋する相手はちゃんと女で、ちゃんとついてます。なにがってナニが。
なんで知ってるのか、それは
彼はこの世界の私の恋人だからです。
エリーに全身を隈無くなめるように見詰められているのに嫌悪感を感じて睨み付けると、エリーは嬉しそうにするためそれがいい加減いやになりリーナにすがるように抱きつく。
リーナは私を優しく撫でてくれた。そして、エリーをきっと睨み付けて口を開いた。
「あたしの可愛いユリアにちょっかいをださないでくれない?」
「ユリア様は今は血迷っているだけです。いずれは真実の愛に気づくのです。」
「それで今回は何のために王子や公爵子息を騙してまで茶番劇をしたのかしら。」
「婚約破棄されたという事実に学園で孤独になりそこを僕がなぐさめるのです。」
「それで、ユリアがあんたに惚れるって?馬鹿じゃないの?」
オネェVSストーカーの通じてるようで何かがおかしい会話を聞いて、王子や公爵子息が私を憐れな者を見るような生暖かい視線を向けてきてます。だけど、あんた達はそれのために利用されたさらに憐れな奴等だって気付いてる?
ほら、理事長が憐れな者を見る目でみて、苦笑いをしているわよ。
「あの冷たいながらに熱のこもった瞳は、僕を愛しているから。」
「馬鹿ね。何度も言ったでしょ。ユリアはあたしの恋人なのよ。」
「お前のような変人が勝手に想像しているだけだろ。」
「女装しているお馬鹿な変人は現実を見ないこと。」
うふふ、と私の腰に手を回して抱きしめるように抱えて優越感のある表情にどきりとして頬を染める。オネェ様だけどちゃんと鍛えてある身体は先程までのストーカーの恐怖を和らげてくれる。
それを目にしたエリーがとてつもなく怖い顔で見てきてもきにしない。
「おほんっ、今回はユリア嬢のストーカーのが仕掛けたとはいえ、何も罪のない女性を嵌めてなおかつ剣を抜いたので、王子とアルセイドは三日の自宅謹慎な。」
「「はい。」」
「ストー……エドワードは恋のためとは言え王子を利用したのは浅はかだったな。本来なら処刑もあり得たが今回は大目にみてユリア嬢の半径三メートル以内の接近を禁じる。」
「えー。」
「……両親にも伝えておこう。」
いい加減、終わらせたかったのか理事長はまるで裁判長のように采配をしてくれた。もちろん、私達はお咎めはなしだ。
更には特定の人物が入らないようにできる魔道具を作ってくれると言って下さった。ありがたや~。
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