僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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記憶を求めて奥底に

取り敢えず先に進む

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 俺の大事なシンリが目の前で消えた。
 目の前が喪失感で真っ赤に染まる。怒りではないとても不安な心が安定しない。
 その根本的な原因を作ったのは未だにしぶとくもがく中ボスだ。あともう一人いるがそちらは後でも良いだろう。

 すっと剣を抜くと、血走る目でこちらを見るユニコーンの元に歩いていく。背後からウォルターが何か叫んでいるが無視をする、ユニコーンが始め同様にこちらに走り込んできた。
 それを、撫でるように剣を滑らせて一撃で首を斬り落とす。

 シンリもわざわざ双剣に持ち替えなくてなれた武器暗器で、一撃で殺せば良かったものの。


 ユニコーンが消えた場所に次の扉を開く鍵と、ユニコーンの素材が落ちていた。持つと見た目よりその素材が軽く感じる。よし、戻ったらこの素材で防具でも造ってやろう。
 喜ぶ顔が思い浮かんで、少しだけ喪失感が紛れた。


 素材を回収したし、さあ話し合いでもしようか。


「ウォルター、なぜ魔法を使った。」
「え、なんのことです?」
「彼奴が魔法陣から逃げるとき、水魔法で地面に干渉しただろ。」


 いくら中ボスだといえ、ただのモンスターに同時に魔法を3も使うなんて大技出来るわけがない。出来るやつは今目の前で消えた無自覚チートのあいつぐらいだ。

 ということは、誰が干渉したか。
 答えは目の前で冷や汗をかいているこいつしかない。


「え、いや。」
「誰に何を頼まれている?」
「あ、あの。」
「質問するのは今回が最後だ。」


 もし、今回答えなければ人生も最期になると暗に伝えると、ウォルターは土下座する勢いで目の前に両膝をつく。


「今回、コウラン皇子に纏わり付く婚約者を調べろととある貴族に言われました。」
「名は?」
「‥…言いたくありません。」
「もう一度言う。そいつの名は?」
「お願いします。あ、姉が嫁入りしているんです。」


 姉を人質に取られたか。
 だが、シンリに手を出したほうがやばくなるのだがな。

 先程シンリの鑑定でこいつの家名がエスメラルダだと言っていたな。エルフの貴族を抜けた男がそこの家名を名乗るとは思えない。ならエスメラルダがこの国での家名なら、そして、騎士団に途中入隊させられる人物。
 思い当たるのは一人だが、あの男がそんなことするのか?

 そういえば最近、出来の悪い息子の話を聞いたな。
 じゃあ、仕掛けはその息子か。


「ネイキッド・スマラルダスか。」
「!」
「正解か。そいつが何を言っていた?ここまで分かっているんだ。今更だろ。」
「‥…はい。」


 ウォルターはポツポツと語りだした。

 ネイキッド・スマラルダスとウォルターの姉の間には3人の娘がいる。どれも器量の良い素直ないい子なのだと。そんな娘をネイキッドは出世の道具にしようとしている。そこまではネイキッドの父親に聞いた愚痴と同じだ。

 その内の一人を俺の婚約者に据えようとしたらしい。ちょうどよく同学年に入学していて、なおかつ後ろ盾になってやっているウォルターは護衛をしていて距離が近い。これはチャンスだと睨んだネイキッドだが、夢見る娘を唆し近づけようとしたら実際はシシリー婚約者が居ることに驚いた。しかも少女の後ろ盾は皇帝陛下と仲の良いディーレクトゥス家。絶対裏があるに違いないとウォルターに少しずつ探らせた。

 少女は親も居ないただの災害児だった。血筋もそこまでではないならと娘をけしかけたが、結果は2人は仲睦まじく、娘もゴタゴタで少女に助けられてからは2人を応援しているという有様。


 こうなれば、秘密のダンジョンに行くという話を使って少しでも2人を引き離し、その間にその少女の弱みを握り離れさせろ。離れて傷心の所を娘に慰めさせる。



「そう言ってました。」
「シンリは男なんだが?それだけでも弱みだろ。」
「信用して話してくれたのにそれは使いたくなくて。しかも、男に姪が負けたのも気まずい。」
「因みにディーレクトゥス家の愛され末っ子だ。」
「えっ!」
「あと、俺共々魔神の愛子だ。」
「なっ!」



 段々とヤバイ事になっていることがわかってきた様だ。隠し事の多い俺たちの弱みはとてつもなく責任が重い内容だ。手を出したら本当に最期になってしまうだろう。
 まだ、そこまでの被害(シンリは気付いていないようだし。)ではないから影響は出ていないのは僥倖だ。


「ウォルター、馬鹿な事をしていると分かっているなら、シンリに謝れよ。」
「コウラン皇子。許して‥…。」
「許す訳ないだろ。ダンジョン終わるまで猶予をやるだけだ。」


 本当なら言い訳を聞かずに、木っ端微塵にしても良かったんだが、これからダンジョンのトリックが何なのかわからないから連れて行くしか無いだろう。

 それに何より、ネイキッドはウォルターにシンリをと言っていたはずだ。今回、転移の魔法陣を見て自分が俺に殺されるかも知れないのに、それを使ってネイキッドを誤魔化そうとしたのかもしれない。
 まあ、それでの恩情としといてやる。

 だが、あの魔法陣の構成はこのダンジョン内のどこかに繋がっているはずだから結局はシンリも一緒に帰ることになるから無意味な事だっだけどな。


「取り敢えず先に進むぞ。」



 無事だとは思うが、早く再開したいところだな。





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