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記憶を求めて奥底に
僕のダンジョンウォーク
しおりを挟む「先に行くしかないか。」
あたりが翡翠に囲まれた洞窟で見えるのが通路一本となればやることは決まっている。
幸いな事に今いる場所にはモンスターや罠などないようでソロ活する準備を邪魔する者は居ない。
コウにぃには直ぐに帰ると言ってあるし、あの最後の絶望したような顔は忘れられない。
あんな顔、二度とさせないつもりだったのに。
ここはあのダンジョンの中であるのは間違いない。なぜなら、周りの鉱石の属性系統ならあのダンジョンの物だからだ。
そしてその傾向からここが何階なのかも予想はついている。
ここのダンジョンは僕の記憶から作られているだけあって陰陽に基づいたエリアになっている。
1階が夏の陽、2階が冬の陰、3階が春の陽に4階は秋の陰。5階はセーフティルーム、6階が中ボスだったからそこで切り替わるとして釣り合いを取るなら7階が秋の陽、8階が春の陰、9階が冬の陽、10階が夏の陰でセーフティ、ボスと続くだろう。
ここの翡翠の洞窟はおそらく春の陰である8階だ。
合流するには登るにしても降りるにしても階段を見つけないとならない。しかも、コウにぃが通りすぎる前に。
通信手段があれば別だっただろうが、ダンジョン普通の電話みたいのは通じないと思うからあっても駄目か。
取り敢えず、お互い探し回ると見つからない状況になりかねないので大人しく階段を探す事にする。兄上なら通る階段に目印を付けてくれるだろうし、目印があったら下の階に行くとしよう。そうしていくうちに出会えるはず。
現在地は入り口が1箇所だから、袋小路にいるはず。ユニコーンはどうやら僕を安全な場所に転移してくれたと考えて、探すなら多分地下への階段が近いかな。
微かな魔力を放出しさらに糸を使って周囲に脅威が無いか確認をしておく。ここの袋小路を抜けてしばらく行くとここのエリアのモンスターらしき反応が分かる。そのさらに先には部屋のような空間。隠し部屋かな。
その中の状況までは分からないが取り敢えずそちらに向かおうかな。
「じゃあ、出発!」
しーんとした部屋に僕のから元気な声だけが響き、なんかかえって虚しいし恥ずかしい。
はぁと溜息を漏らして、袋小路から迷路の様な洞窟に移動する。
さっきの索敵でモンスターの位置等は分かっているため避けることは可能だが、せっかくの世に発表されない今回だけのダンジョンなのだから素材だけは回収したい。
防具系の素材が確保出来るみたいだし、ある程度の数は欲しいよな。
ここでしか手に入らないモンスターが居ないのは良かったけど、まさか学園の地下にけっこういい感じのダンジョンがあったなんてわかったら、カオスになってたよね。
オジさんの入園者がいっぱい居たかも(笑)
ともしかしたらあったかも知れない可能性を妄想していると、目の前には小さなおじさんが数人で翡翠の鉱石を掘り出している姿を見つけた。とんがり帽子帽子に赤ら顔、鼻は鷲鼻で髭がもっふりと生えている。
ノームかノッカーか。
どちらでもモンスターになっているなら同じ様なもの。
こちらに気がつく前に、そっと命を奪う。
彼等が落とすのは鉱石系のようだ。鉄に銀のインゴットそして珍しいレアメタル、オリハルコンが少しだけ落ちていた。
「オリハルコンってめっちゃRPGじゃん。しかも武器にも使える素材!」
集めよう!
流石に前世にはそんなもの無かったので、その興奮も手伝って、道を進みながらモンスターを探すのだけど、さっきのモンスター自体がレアだったみたいでなかなか見つからない。変な部屋まで来るのに見つけたのは2体、その2体からはオリハルコンは出なかった。
もっと狩りまくりたいけど、目的は合流だからな。そのうち何処かのダンジョンでオリハルコン集めて武器でも作りたいなぁ。
おそらく隠し部屋である目の前の場所は、一人では開けられそうにはない。と言うのも、僕が3人分の広さの扉の両脇に同時に2箇所、合計4箇所を押すスイッチらしき物があるのだ。いや、よくよく見ると扉の上部にも1箇所ある。
上部はだいぶ上の方なので、飛べる種族か、飛ぶ魔法を持つ人が居ないと無理だ。僕なら式でどうにかできる自信があるけど、今手元にある式は単純な命令しか聞けないタイプなのだ。
『押せ』など単純な命令できる。だけど、『僕に合わせて押せ』『何分後に押せ』などちょっと特殊な命令はやってはくれるけど少し戸惑って実行する感じになるのでタイミングはずれるだろう。
ここで新たな式を創るにも、モンスターが出てきたら面倒くさい。
どうしようか悩んでいると、腕にいた宵月がシュルシュルと地面に降りた。そして、勝手に人の姿になると片膝をつく。
そっか。彼に協力して貰えば良いのか。
「『勝手に姿を戻して、申し訳ない。』」
「いや、宵月のお陰で突発出来そうだ。悪いが、しばらく護衛をお願い。」
「『御意。』」
宵月が護衛してくれる間に空間魔法から素材を取り出して気合を入れる。
材料はあたりの土が主だが、式の核は丁寧に作らなくてはならない。いつものは形代で簡易に作っている式ではなくてゴーレムの様にしっかりとした物を作らなくては。
せっかくなので先程手に入ったオリハルコンを形成して、球体にする。練成窯での作業を略させてもらい、自らの魔力を通して核にしてゆく。
核が、出来たら次は土を人の形にして心臓の位置に核を埋め込む。呪文を唱えながら魔力で姿を整えれば。
「完成。名付けて天使ちゃん。」
その背中に純白の羽根の生えた、物言わぬ式が完成した。天使ちゃんはその羽根をはためかせて上部のスイッチの方に向かってゆく。魔力を多めに混ぜ込んだおかげか、意思の疎通は完璧だ。
僕が式にスタンバイさせてから左右のスイッチには宵月と僕自身が立つ。
「それじゃあ、せーのでおすよ。せーの!」
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