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王道?邪道?乙女なアレ
私と婚約者の憂鬱②
しおりを挟む私達の置物の効果は結果を言うと成功だった。協力してくれたゴーストのおじさんは『ありがとう‥…。』と涙を流して消えていった。取り敢えず成仏したと言うことだろう。
この置物にはバルスさんも興味津々で終わったあとにじっくりと眺めている。どうやら、リッチ等にも使えるのか気になったようだ。暫く借りていいか聞かれたのでキョトン顔で頷いといた。
あれ、もしかしてこの装置って商売になる?
置物にゴーストが触れないと発動しないので、今は成仏したいけど色んな理由でいけない理性のあるゴーストだけしか使えないけどそれを問答無用浄化装置にしたら、定期的にそういう掃除が必要な所に置いとけば便利かも。
「遅れました。」
「悪い。遅れた。」
「大丈夫。丁度でしたよ。宿題をどうぞウォルター・エスメラルダ。」
朝見かけることがなかったシヤさんと共に現れたダンジョン以来ご無沙汰だったウォルターは少し疲れた様な顔をしている。
世間では姉思いのウォルターはネイキッド・スマラルダスへスパイをしていて、不正を王族に知らせたと言うことにしてある。
ダンジョンの事を知っているのは私達の事情を知る者たちだけだし、非難中傷の的にははされないだろう。
そして、彼がまだ私達の護衛であるとしたほうが裏で色々と動きやすいと言う思惑もある。
ウォルターはダンジョンで鍛えた大剣の技を披露している。大剣に遊ばれていた時とは違い、華麗に捌く姿は成長したなぁと変な親心を感じてしまう。
彼の姿は武術を嗜む者にも勉強になるだろうし、シアさんも感心した様に見つめている。その気持ちを代弁するのであれば、『良く短期間でこれほどまでに』と言ったところか。そりゃあ死にものぐるいダンジョンで修行したからね。
ウォルターの大剣が鞘に納まると、バルスさんは軽く拍手をして褒める。全員が、この拍手と共にアドバイスを貰っていた。
暫くして、学園長の意向で優秀賞をクラス毎に与える事になっているようで、最初から見てくれたバルスさんやクラスの皆の投票が行われた。その結果、大半を引き離し、アンナとタオシャンの発表が選ばれた。
先生から見てもタオシャンの水の球の安定感やアンナの大樹の成長させる魔力。全てがバランスも良くてよかったらしい。
次点がカリナの水のエンターテインメントだ。芸術的には素晴らしいがやはり、急激な空気中の水分の減りが危険だと思ったらしい。
私と兄上のは子供が見ても面白くなかっただろうし、選ばれなくても当然だと思っていたのでまさかの数票貰ったのは驚きだ。それが、カリナとオレオがいなければもっと心情は変わっただろう。
「アンナ様達が私のパクったのに優秀賞なんて悔しいわ。」
「カリナ様?」
「コウラン殿下様も素敵な発表でしたのに理解が追いつかないのですね。」
発表が終われば、あとの授業は無いのでその場で解散となる。後日、優秀賞、準優秀賞には学園長から勲章を全員には、万年筆が送られる予定だ。因みにこの万年筆は使いやすいと評判で、卒業した兄弟がいると奪われそうになるとか。
それはさておき、カリナはコウにぃと並んで帰ろうとしていた私達の間に入り込み、コウにぃの腕をとり胸を押し当て上目遣いで愚痴を零している。
一応婚約者の目の前でこんなのをするとは度胸がありすぎるのかヒロインだと許されると思っているのか。
兄上が面倒そうにこちらを見ているようだけど、少しだけ観察したいのでそのままにしておく。
「殿下くださったブローチに勇気を貰って術式を成功させたんですよ。」
「‥…悪いが、手を離せ。」
「どうしたんです?あっ、悪役令嬢にイジメられないように配慮してくれてるんですね。大丈夫です。私は負けませんから!」
「離せ。」
段々とコウにぃの機嫌が急降下していく。
観察も終わったしこのまま機嫌の悪いまま連れて帰ると面倒くさゲフンゲフン。よろしく無いのでそろそろ助け舟を出しとこうか。
「カリナ様。コウ様が困っていますからその無い胸を押し当てるのはやめてください。」
「はぁ?なんですって?」
「コウ様も迎えが来たので帰りましょう。」
「ああ。」
こちらに怒りの感情を向けた隙にするりとカリナの手をコウにぃから外して自らの手を絡める。よく見ると彼女が気持ち悪かったのか鳥肌がポツポツ立っているのがわかる。前世では似たようなの相手していたと思うけど。まあ、話が通るのと通らないのではまた違うか。
コウにぃとまた歩き始めた私はちらりと後ろを振り返り、最大の悪役令嬢の笑みを浮かべて上げた。
ギリリと唇を噛みしめる姿を認めて満足すると、迎えに来た朱冥の所に向かう。
朱冥は馬車を用意してくれた様で、3人で乗り込むと少し顔色が悪い兄上に休むように促した。
「頭が花畑の相手を良くしてきたが、あの女は俺の機嫌が下がっているのも気が付かない馬鹿だな。」
「けっこうわかり易くて周りの子も避けていたはずなのに。」
「休みの間に何かあったかもな。」
「確かに。休み前はもうちょい慎重でしたね。」
そうだ。
彼女はもうちょい考えられる娘だと思っていたのだけど。あんな不機嫌なコウにぃに更にベタベタするような事はしなかっただろう。
ブローチを上げたことで何かあたかな。例え私やコウにぃでも彼女の思考までは読めないし。
「ねえ、惶麟って暇かな?」
「『恐らく。』」
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