90 / 245
王道?邪道?乙女なアレ
私と婚約者の憂鬱②
しおりを挟む私達の置物の効果は結果を言うと成功だった。協力してくれたゴーストのおじさんは『ありがとう‥…。』と涙を流して消えていった。取り敢えず成仏したと言うことだろう。
この置物にはバルスさんも興味津々で終わったあとにじっくりと眺めている。どうやら、リッチ等にも使えるのか気になったようだ。暫く借りていいか聞かれたのでキョトン顔で頷いといた。
あれ、もしかしてこの装置って商売になる?
置物にゴーストが触れないと発動しないので、今は成仏したいけど色んな理由でいけない理性のあるゴーストだけしか使えないけどそれを問答無用浄化装置にしたら、定期的にそういう掃除が必要な所に置いとけば便利かも。
「遅れました。」
「悪い。遅れた。」
「大丈夫。丁度でしたよ。宿題をどうぞウォルター・エスメラルダ。」
朝見かけることがなかったシヤさんと共に現れたダンジョン以来ご無沙汰だったウォルターは少し疲れた様な顔をしている。
世間では姉思いのウォルターはネイキッド・スマラルダスへスパイをしていて、不正を王族に知らせたと言うことにしてある。
ダンジョンの事を知っているのは私達の事情を知る者たちだけだし、非難中傷の的にははされないだろう。
そして、彼がまだ私達の護衛であるとしたほうが裏で色々と動きやすいと言う思惑もある。
ウォルターはダンジョンで鍛えた大剣の技を披露している。大剣に遊ばれていた時とは違い、華麗に捌く姿は成長したなぁと変な親心を感じてしまう。
彼の姿は武術を嗜む者にも勉強になるだろうし、シアさんも感心した様に見つめている。その気持ちを代弁するのであれば、『良く短期間でこれほどまでに』と言ったところか。そりゃあ死にものぐるいダンジョンで修行したからね。
ウォルターの大剣が鞘に納まると、バルスさんは軽く拍手をして褒める。全員が、この拍手と共にアドバイスを貰っていた。
暫くして、学園長の意向で優秀賞をクラス毎に与える事になっているようで、最初から見てくれたバルスさんやクラスの皆の投票が行われた。その結果、大半を引き離し、アンナとタオシャンの発表が選ばれた。
先生から見てもタオシャンの水の球の安定感やアンナの大樹の成長させる魔力。全てがバランスも良くてよかったらしい。
次点がカリナの水のエンターテインメントだ。芸術的には素晴らしいがやはり、急激な空気中の水分の減りが危険だと思ったらしい。
私と兄上のは子供が見ても面白くなかっただろうし、選ばれなくても当然だと思っていたのでまさかの数票貰ったのは驚きだ。それが、カリナとオレオがいなければもっと心情は変わっただろう。
「アンナ様達が私のパクったのに優秀賞なんて悔しいわ。」
「カリナ様?」
「コウラン殿下様も素敵な発表でしたのに理解が追いつかないのですね。」
発表が終われば、あとの授業は無いのでその場で解散となる。後日、優秀賞、準優秀賞には学園長から勲章を全員には、万年筆が送られる予定だ。因みにこの万年筆は使いやすいと評判で、卒業した兄弟がいると奪われそうになるとか。
それはさておき、カリナはコウにぃと並んで帰ろうとしていた私達の間に入り込み、コウにぃの腕をとり胸を押し当て上目遣いで愚痴を零している。
一応婚約者の目の前でこんなのをするとは度胸がありすぎるのかヒロインだと許されると思っているのか。
兄上が面倒そうにこちらを見ているようだけど、少しだけ観察したいのでそのままにしておく。
「殿下くださったブローチに勇気を貰って術式を成功させたんですよ。」
「‥…悪いが、手を離せ。」
「どうしたんです?あっ、悪役令嬢にイジメられないように配慮してくれてるんですね。大丈夫です。私は負けませんから!」
「離せ。」
段々とコウにぃの機嫌が急降下していく。
観察も終わったしこのまま機嫌の悪いまま連れて帰ると面倒くさゲフンゲフン。よろしく無いのでそろそろ助け舟を出しとこうか。
「カリナ様。コウ様が困っていますからその無い胸を押し当てるのはやめてください。」
「はぁ?なんですって?」
「コウ様も迎えが来たので帰りましょう。」
「ああ。」
こちらに怒りの感情を向けた隙にするりとカリナの手をコウにぃから外して自らの手を絡める。よく見ると彼女が気持ち悪かったのか鳥肌がポツポツ立っているのがわかる。前世では似たようなの相手していたと思うけど。まあ、話が通るのと通らないのではまた違うか。
コウにぃとまた歩き始めた私はちらりと後ろを振り返り、最大の悪役令嬢の笑みを浮かべて上げた。
ギリリと唇を噛みしめる姿を認めて満足すると、迎えに来た朱冥の所に向かう。
朱冥は馬車を用意してくれた様で、3人で乗り込むと少し顔色が悪い兄上に休むように促した。
「頭が花畑の相手を良くしてきたが、あの女は俺の機嫌が下がっているのも気が付かない馬鹿だな。」
「けっこうわかり易くて周りの子も避けていたはずなのに。」
「休みの間に何かあったかもな。」
「確かに。休み前はもうちょい慎重でしたね。」
そうだ。
彼女はもうちょい考えられる娘だと思っていたのだけど。あんな不機嫌なコウにぃに更にベタベタするような事はしなかっただろう。
ブローチを上げたことで何かあたかな。例え私やコウにぃでも彼女の思考までは読めないし。
「ねえ、惶麟って暇かな?」
「『恐らく。』」
0
あなたにおすすめの小説
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる