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精霊たちの秋祭り
僕と冒険者ギルド
しおりを挟む冒険者ギルドはこの世界の至るところに建設されている。それぞれのギルドが冒険者と現地民の橋渡しや冒険者の保証などを行ってくれるらしい。
ギルド同士が協力関係であり、もしも他所のギルドがピンチになったり闇落ちしたりした情報が入るとすぐさまに近場のギルドが対処に動く事が決められていてとてもいい雰囲気である。
冒険者自体はピンキリだけどギルド内は喧嘩禁止なので絡まれる事も無いのがいい。職員は引退した冒険者も混じっているのでもし喧嘩や悪どい事を使用ものなら目にも当てられないお話合いが始まるという噂だ。
僕達が来たのは王都の城下街に建てられているギルドだ。
以前もここに登録してある冒険者には色々とお世話になった。無法者の協会相手に睨みを効かせてくれていたな。
ギルドに来るのは初めてだけど、管理が行き届いているのが良く分かる。木の調度で統一された受付に、待つ際に軽食が、取れるように食堂もついている。
受付も依頼の受付や受注の為の受付、買い取りの受付と分かれているのでそんなに混んでいる様子はない。
朝は受注が多くなるので受付を増やしている様なので、ちゃんと考えられているんだなと感心してばかりだ。
今回は人探しであるが、依頼というより冒険者に詳しい人と話がしたい。なので、こまったとき用の受付の方に向かう。なんか、デパートのインフォメーションみたいだ。そもそも、このギルドの体制を整えたのは異世界の元勇者でギルドの腐敗に苦労した人らしい。悪い魔王を倒すのに出発したのに街ごとにギルドの腐敗があって対処しながらの旅は時間が取られて、倒し終えたら結婚しようと思っていた幼馴染みは既に人妻だったらしい。
そこでこの世界に転生した彼はギルドを徹底的に体制を考えたのだと。
「あら、お嬢ちゃんどうしたの?」
「冒険者に詳しい人に会いたいのだけどいます?」
「冒険者に?それならマスターかな。調度今日はいるわ。呼びましょうか」
「お願いします。」
じゃあ、待っててねと席を外す犬耳の可愛い受付のお姉さんをにこやかに見送る。
お姉さんの姿が見えなくなった所で顔をそらして身体を震わせて笑っている兄上を突っつく。
もう慣れたけど、母様に似たこの可愛らしさと美しさを持つこの顔は成長と共に綺麗さに代わって相変わらずの女顔だ。シシリーになるにはもってこいだけど、僕の状態でも初見の第一声がお嬢ちゃんはそろそろ困る。
「もうちょい筋肉つけようかな。」
「止めておけ。」
「ちょっとは男らしくなると思わない?」
「その顔でマッチョは許さない。」
「マッチョまではやらないよ。」
この顔をまだ利用していくんだからマッチョなんてなるわけ無いじゃん。ただ、もう少し体格が男らしくなりたいんだよね。服を脱いだら凄いんです。ってなりたいわ。
「お待たせしました。二階でマスターが合うそうです。」
「良かった。個室で会えるのも嬉しいな。」
「人探しは色々とシビアですからね。」
お姉さんの案内で二階に上がり奥まったところにある部屋の前まで案内される。
お姉さんにお礼を言って案内された部屋の前で分かれる。なんの変哲もないドアが目の前にある。だけどその奥からはひしひしと圧のようなものが感じられた。
普通ならここで戸惑うのだろうが父様のお怒りの圧に比べたらへのかっぱ。
コンコンコンコンと4回ノックをする。
返事を待って数秒『入れ』と野太い声が入室を許可してくれたので中に移動する。
中は当に執務室といった感じでこちらに向くように立派な机があり、その机と僕達の間には長机とそれを挟むようにソファーが置かれている。
そして、部屋には二人の男がいた。
一人は立派な机に書類と共に座っているゴツい男、頭皮の髪は死滅してしまったのか背後にある窓からの光にキラリと眩しい光を放っている。片目は何かで失ってしまったのか、それとも隠す必要があるのか眼帯をしていて、傷だらけの無骨な手でペンをとりこちらを見ることなく書類をしていた。
もう一人の男は、逆にこちらをニッコリとしながら見つめている優男風の男だ。その耳までは長く尖っているのでエルフかなにかの血を持っているのかも知れない。笑うその顔の下で品定めをしているかの様な雰囲気が分かる。銀糸の髪はサラサラとやはり光に反射している。
「始めまして。私がここのギルドの副ギルドマスターのタリス。こちらのゴリラがギルドマスターのクロスです。」
「おい!」
「僕はシンリ・ディーレクトゥスです。」
副ギルマスがギルマスをゴリラ呼びって、ギルマスさん副ギルマスさんを怒らせたのかな。仲が良くていいですけど、初見のお客様の前でやることじゃないよ。まあ、イメージは湧きやすくて個人的にはすきだけど。
ふと、兄上の紹介はどうしようかなと視線を向けると、兄上はニヤリと笑ってきた。
「俺はコウラン・アシュレイだ。」
「なんと、ディーレクトゥス家のご子息でしたか。」
「あ、はい。」
王族から抜けた際に使用する新たな家名の候補の一つを使ったコウにぃには当然ながら気づかず僕の辺境伯の名に食いついてきた。
偽名では無いし、あえて王族だと教えたりするのも何なので文句も言えないのが悔しい。
ぐぬぬとなっていると、ちらりとやっとこっちに視線を向けたギルマスが驚いたように目を見開いた。
「タリス、そっちじゃない。このお方の方だ。」
「どうしました?」
「ディーレクトゥスもそうだが、こっちはコウラン皇子だ。」
「え。」
「気にするな。用事があるのはシンリだからな。」
さすがギルマスは王族の顔を知っていたか。
王族が名前を伏せて現れたら驚くよね。本当、こちらに案内してくれて良かったよ。
少し青ざめる副ギルマスと内心ヒヤヒヤだろうギルマスに微笑を浮かべる兄上はまさにベストショット。
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