僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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精霊たちの秋祭り

僕とフェアリーリング

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 シシリーは僕だから授業内容に遅れる様な事は無いけど、そこらの事情を知らない教師達としてはどことなくそわそわとした感じで接してくる。

 確かに、途中で入ってきた生徒に、しかも皇帝陛下と仲良い辺境伯の子息なら気を使って損は無いだろう。

 シシリーの時には一線引いていた教師までシンリに気にかける様は何とも言い難い感情を引き出す。だいぶ皇帝陛下が貴族を掃除したとはいえそれがまだまだごく一部だというから驚きだ。


 授業が終わり、荷物を片付けているととある令嬢が近寄ってきた。彼女には周りから冷たい視線が送られているが彼女自身が気にしていなさそうなのでこれはそのままで良いだろう。


「カリナと言います。覚えてますか夏の休みの時に助けて頂いた。」
「ああ。元気そうで良かった。」
「あの、お礼としてこのあとお茶でも。」
「このあとに予定があるからごめんね。」


  そう言えば助けた事もあったな。
 仕方がなかったとはいえ関わりを一度は持ってしまったのは事実。そこはにこやかに返して、あとはスルーかな。
 そもそも、カリナは僕が彼女が敵対視していたシシリーの兄であることをわかっているのか。


「では、シシリー様に『ありがとう』と『あの男の主人が狙っている』とだけお伝え下さい。」
「あの男の主人?」
「私はそう言う意味の話しを彼から聞きました。これだけは伝えておきたかったんです。」
「そうか。ありがとう。」


 少しは今回の件で彼女も変わったようだと思いたい。あの男のはムラキの事で間違いないだろう。そして、シシリーはその主人に狙われていると。これは後で父上達に話して反応でも見よう。

 ちなみに側にいる兄上の反応は無反応。に見えて少しだけ眉がピクリと跳ねたのを確認した。


「では、コウラン様、行きましょうか。」
「どこにだ?」
「勿論、現場にです。」



 ということで、ここは街の外れの森。
 精霊達が赤子を人間に連れてかれたという場所だ。そこにはフェアリーリングと言われる菌輪があり、その中心には揺り籠の様な形の切り株がある。そこの場所は時を忘れたかの様に静かに、美しく保たれていた。
邪眼を発動して周りを見渡せば、さめざめとすすり泣く小さな人達とほわほわしている光の玉。

 精霊達だ。

 小さな人達は恐らくは下級の精霊でその他の光の玉はまだその下級にもなれない妖精達。魔法を使うのに彼らが協力をしてくれているのは授業でもならった。魔法の呪文は魔素を集める要因と、妖精へのお願いの意味合いもあるのだろう。


 フェアリーリングの方に歩みを向けると、精霊達が明らかに威嚇の態度を取ってきた。
 しかし、近寄ったのが僕だと気づいた妖精達は一気に警戒心を緩めてくる。


「『イトシゴよ。ここにはナニヨウダ。』」
「魔神様から気をかけてやれって言われたんだ。」


 言葉を使える妖精も居たらしく、話しかけて来たのでそう答えれば、妖精にが今度は嬉しそうにチカチカと光の強度を変えている。兄上は周りを飛ぶ精霊が鬱陶しいのか払っているが文句は行ってこないので、傍観に徹するようだ。

 辺りを調べてみよう。

 木々に囲まれて妖精達もいるこの場所はとても清浄で協会の祭壇の様に清らかだ。ここで何故赤子が人に取られる様な事が起きたのだろうか。
 フェアリーリングの事も学校で習うが、フェアリーリングは妖精達の結界の様な物だ。悪意のあるものなら弾く位の事はできそうだけど。

 だったら悪意は無かったのか。

 そもそも何で赤子はこんなところにいたのか。


「『サンポ。おうさまとサンポ。』」
「では、何でここに置かれたの?」
「『おうさま、キュウケイ。』」


 なるほど、散歩に人間の世界に来てみたらここが心地良くて休憩していたら赤子を盗まれたと。

 
「王様は盗まれた時は何処にいたのさ。」
「『おうさま、シロにイタ。』」
「赤子を置いて?」
「『チョットだけだから。』」


 訂正。散歩に人間の世界に来てみたら心地良くて休憩してちょっと城に用事があったから赤子を置いて城に一旦もどったと?


「コウにぃ、ちょっと精霊界に行きたいな。」
「だろうな。カトレアが言ってただろマイペースだと。」
「これは、マイペースだからなのか。もしかしたら人は悪くないかもしれなくなったよ。」


 何せ高位の精霊以外は普通なら見えない存在。
 ただの冒険者なら赤子が置き去りにされていたと思うかも知れない。
 そしたら見捨てないで拾った心優しい人達に精霊のお仕置きがされている。最悪。

 この場所なら直ぐ側の街の冒険者か。
 ギルドでも話しを聞いて最近赤子を拾った人は居ないか聞いてみよう。もしかしたらギルドに入っていない冒険者でも情報はあるかもしれないし。


「精霊王に直接話しを聞きたいね。」
「喜ぶだろ。」


 僕が密かに怒っているのがわかるのだろう。先ほどとは打って変わって兄上は面白そうに微笑んでいる。
 片方だけの言い分を聞くのは不味いよね。精霊と人間両方の言い分をちゃんと聞かないとね。


「どちらから行く?」
「街のほうが簡単かな。」
「じゃあ。行くぞ。」


 兄上も状況はわかっているようだ。
 
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