僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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精霊たちの秋祭り

僕とダリオ探し

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 まだ日が高いのでギルトからの帰り道にそのままダリオの家に向かうことにする。

 ロキ王の始末のときにも訪れた事のある表通りとは異なる道を歩いて、似た様な住宅が広がる道に出る。同じ形で家を作ることで生産コストが減り安く質の良い家が提供できる様に兄上が提案した地区だ。
 ボロボロで外観もとなると犯罪率が高くなるとは誰がいっていたが雰囲気は大事なんだね。

 この区画に30年前に赤子を拾った冒険者が住んでいるようだ。

 教えて貰った住所はここらへんなんだけど。


ガチャン!


 眼の前の家の中でガラスの割れる音がして体が跳ねる。家主にはもうしわけないが気になって窓から中を覗くと、中に緑色が見えた。それが人間で、倒れているのだとわかったら身体が、扉を開けていた。鍵?後で弁償するよ。

 緑色の正体は倒れた人の髪の毛で、数日は洗っていないようでベタベタしている。恐らく二十代後半から三十代の男の体の線は細く手首など子供の僕と同じぐらいしかない。

 栄養不足というよりは病的な細さだ。

 先程のガラスの割れた音はどうやら食事が入っていた器の音のようで破片が男の身体のしたじきになっている。


「宵月、この人を寝台に戻して。」


 隠すように腕から首元に召喚獣の証を移動しておいた宵月に頼むと、無言で作業をしてくれる。ガラスの破片で怪我をしているようには見えないのでとりあえず一安心。

 宵月が作業を終えてまた首元に戻ってきたので感謝の意を込めて頭を撫でる。それにすり寄るように反応を示す姿に少し癒やされた。


 さて、この男の処置をしようか。
 生活感を見る限り男以外にも住んでいるものがいるようだ。
 介助をしやすいためか一部屋に台所や寝台と一緒くたにされている。二階もある家なのに下だけで完了しているような部屋はこの男のためなのだろう。


「どう見る?」
「これは病気じゃないな。覚えがある俺もよくなった症状だ。」
「それはいつ?」
前世だ。」
「ということは障り系か。」


 コウにぃの前世では遺物やオカルト系が大好物でそれらのものを集めていた。謎の耐性を発揮して大事にはならなかったが、それなりに障りを起こして気怠げにしていたのを覚えている。
 実際体験したコウにぃがそういうのだから間違いないだろう。

 僕の目にも嫌なモヤをまとっているように見える。
 

 そっと寝台に横たわる男に手を当てると、黒いもやからは憎しみの怨念が伝わってくる。カエセカエセと何度も繰り返してくる声が聞こえて来そうだ。
 そしてその恨みはこの家系の大人に対してかけられているよう。

 とりあえず、浄化できそうだからしてしまおうかと考えていると壊れた扉に驚く声がきこえてきた。
 同居者か。

 兄上が様子を見に行ってくれた。


「こ、コウラン殿下!」


 なんか聞いたことがある声がする。


「し、シンリ様まで居る!」


 姿を見せたのはタオシャンだった。その両手には荷物を持ち、壊れた扉とこちらを交互に見ている。
 うん。これがタオシャンじゃなければ壊れた扉に飛散したまま片付けられていない食器に、同居人に手をかける子供。
 犯罪の匂いしかしないね。


「やあ、ちょっとお邪魔しているよ。」
「あ、はい。一体何が。」
「部屋で倒れていたから押し入っただけだ。」
「え、父さんは大丈夫なの?」


 ああ。この処置しているのはタオシャンの話でよく出でくる元冒険者の父親なのか。
 確かに言われたらこの緑の髪に顔立ちは似ているかもしれない。

 この時期に体調が悪くなると言う話だし、この感じだと悪化していっているのだろう。

 黒いモヤは大元に返しても良いが、辿るのに使わせて貰うか。

 気持ちを切り替える為に深呼吸をする。
 吸って吐いて心を落ち着かせるのは癖の様なもの。大きく息を吐き出したあと、口からは呪を唱える。この触りを別の対象、形代に移動させて引き剥がす。

 男が息を荒げ苦痛の表情を浮かべる。

 黒いモヤはがすべて剥がれるとその表情も消えて落ち着くが、なんとなく穢が溜まっているように感じたので、そちらも浄化しておいた。


 そしたら、身体の汚れも消えたのだけど髪が先程よりも明るくなって当に新緑のよう。


「お父さんを治療させてもらったよ。」
「え。」
「もう、大丈夫と言うことだ。」
「本当に?」
「うん。でもまさかダリオを探してタオシャンのお父さんに行き着くとは。」
「ダリオ?それは亡くなったお祖父ちゃんの名前だよ。」
「え?」


 床に散らばった破片や壊した扉の片付けをお手伝いしながら詳しく話しを聞くとどうやら、赤子を拾ったというダリオはこの父親と似たような症状で亡くなったらしい。で亡くなった翌年からタオシャンの父親が病に発症したようだ。

 それは当に呪詛だと思う。この障りに触れたときにこのが対象になっているようだった。

  
「ちなみにお父さんの名前は?」 
「父さんはノアだよ。」
「ちなみに養子?」
「うん。よく知っているね。そう言えばなんのよう?」


 何と言えば良いかな。
 この髪色に穢を払ってからの気配、多分、いや確実にタオシャンの父親が彼だと思う。

 やっぱり精霊族のちょっとは当てにならない。マイペースで片付けて良いものじゃないだろ。

 この今は穏やかに眠っている男にも話さないといけない事なので目覚めてからすべてを話すことにしよう。







 
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