僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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春の訪れと新入生

僕と神秘な花の採取

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 アキさんが行動に移したのは10分後だった。
 謎の軍団がそろそろ動こうと自らの装備を確認したあとに森の、伯爵達が居る方とは逆のほうでガサガサと音がした。
 謎の者たちがハッとしてそちらに注視すると森の木々の間から金色に輝く大きい瞳が見えた。
 その瞳は数度瞬きをして森の奥へと入ってゆく。
 もしかしたら主かもしれないと一人残らず追いかけて行く。 
 残ったモンスターは良いのかななんて考えつつも素早く花を摘んでしまおう。

 薬草の時と同じ要領で暗器で根元から刈り取ると、花は一瞬で真っ赤になった。
 えっと動きが止まる。
 僕が動きを止めていると兄上がモンスターの死骸だけの空間に出てきて素手で根本から残りの2本をブツリと採取した。あっ。と思わず声が出たが、花の色は変わらない。


「これは綺麗に採取すると成分が外に漏れ出るんだ。」
「そ、そうなの?」
「昔、城の書庫で読んだ事がある。アキンドも知ってたから奴らを遠くに行かせたんだろう。」


 さ、さすがです。
 そんな知識は僕には無かったよ。
 とりあえず、アキさんが撒いてしまう前にこの場から離れよう。

 僕達はあの巨木の方に向かってあるき出した。
 巨木の周辺は開けた空間だけどその範囲は直径数十メートルは有りそうか。周囲の植物は切り取ったように空間には生えてはいなくて、モンスターも入っては来ない。
 改めて歩いて来てみるととても不思議な空間だ。地面の草花も見たこと無い種類が多い。

 あの巨木の場所に向かう途中でどうやら無事に追手を巻いたアキさんと合流が出来た。あの巨大な目は何だったのか確認したが、はにかみ笑いでスルーされてしまう。

 あれ。そろそろついても良さそうなんだけど一向に巨木の場所につかないのだけど。


「これはあれだな。」
「そうですね。アレですね。」
「アレ?」


 コウにぃがとても似合わないとある移動する島の歌を鼻歌で歌っている。というか知っているのかあの歌を。
 似合わない。とても似合わない。
 アキさんも方を震わせて笑いたいのに無理して抑えている。咳で誤魔化しながら僕と兄上を抱き上げて走り出す。
 流石に走りでは追い付くようで見たことのある巨木とメンバー達の姿を捉えた。

 ガサンと杜から抜けるとこちらを警戒するウォルターと息子を背に隠す伯爵。
 出てきた正体が僕達とわかりその警戒が解かれる。
 それにしても細みだと思っていたアキさんが意外と筋肉質だったわ。ガッシリとした身体つきに程よい弾力の筋肉。あえて例えるのならチーターの様な感じだ。僕もそんな筋肉が欲しいな。

 おっと、コウにぃから白い視線を貰ってしまった。

 アキさんの腕から開放してもらい、兄上が取った花をもらう。このまま空間魔法に入れて持って帰っても加工するまで時間がかかりそうだ。それに今この巨木の場所は動いていると言うことはワープを使えないということ。


 幸運にも加工の仕方は鑑定で分かっているし、実は道具も揃っていたりする。
 なんでかって?
 僕みたいな陰陽を守る者はこっち方面も術で使うからだよ。有名な話なら仮死状態になるためのハシリドコロとかね。

 空間魔法からぼろぼろと道具を取り出し、不純物が入らないように結界をはる。
 視界の端にやれやれといった様子で草原の様な地面に横に転がった。
 結界の周りには気になってしょうがないといった弟君と、僕の一動も逃さないというようにニコニコと眺めているアキさんの姿。

 見られても困るような物では無いので気にせずに花を一輪だけまな板に置くと花弁はちぎり乳鉢へ入れて他の茎や葉は粗く切り刻む。
 まずは花弁を乳棒で押しつぶすように混ぜて、汁気が出たら茎と葉の刻んだ物を入れる。更に潰すように混ぜて淡く輝く様になってきたら、火の魔法の『乾燥ドライ』をかけて粉末状にする。

 この粉末に聖水を加えながらペーストにして薬の型に押し込めていく。最後にまた乾燥させれば完成である。一粒でも効果はあるだろうが合わせて六粒薬が出来た。

 簡単そうに聞こえはするが刻みかたやすり潰し具合によって変わってくる。成功した際は黄金に輝くと言うが僕の作った物は眩しい程輝いているから成功で良いかな。
 これを2つの瓶に入れて残り一本の花と共に1瓶は空間魔法に入れておく。


「薬は出来ましたので後は奥様の所に戻れば依頼は完了です。」
「今日は暗くなるし、この動く場所からはワープも出来ませんから持っていけませんね。」
「うん。リスクは減らしたいからね。」
「お母さんの所に行かないの。」
「こんな暗い所で移動するのは危険だ。残りは、2日もある。大丈夫だ。」


 弟君のショックを受けた表情に伯爵が励ましの言葉を述べる。そんな伯爵に三粒の薬の入った瓶を渡す。

 これは万が一伯爵だけがこの森を抜けれた際の薬だ。二人でもっていたほうが良いと思ったのだ。
 伯爵はとても丁寧にお礼を伝えてくれる。そんなお礼を言われても所詮冒険者の依頼なのだから気にしないで良いのに。


「ここで夜を明かすことになるんですね。でしたら見張りは慣れた私とウォルターでやりましょう。」
「私も‥…。」
「伯爵はまずは体力回復が大事です。大丈夫です。ウォルターも私もまだ元気が有り余っていますので。」


 本当ならもう少し安全な所で僕達も見張りの研修をしたほうが良いのだが、アキさんはそこは譲らないようだ。
 念の為に結界をこの場所全体に張り巡らし、侵入者等を察知出来るようにしておく。
 もしかしたら謎の集団が入ってくるかもしれないからね。
 無言で張り巡らした結界にアキさんは無言で会釈する。誰にも悟られないように張ろうと思っていたけどやっぱりわかるひとは分かるよね。

 勿論、本気を出せば気づかれないように張れも出来るけどそれはまた今度。



  
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