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春の訪れと新入生
僕と闇のグランドオール
しおりを挟む夜にふと目を覚ました。
トイレとかではない。誰かが僕の結界の中で不審な動きをしたのだ。休めていた身体を起こして辺りを見てみると伯爵の荷物を漁る人影。侵入者が入ってきたような感知ではなかったので恐らくは。
ちょうど、木々から差し込んできた月光で照らされるのは想像していたとおりの人物。弟君だった。
何をしているのかを訪ねようとしたらこちらに気が付いた彼が慌ててこの場所から出ていこうとした。
この巨木の主は夜行性なのか動きが昼間と違って機敏だ。
この暗闇で逸れるのは不味い。
静止の言葉を投げ掛けようとしたが、弟君は既に最悪の道筋に向かって行った。
思わず舌打ちがでる。とっさに絡めた糸はいずれは底を付く。その前にどうしようか。
うんうんと唸っていると異変に気が付いた者がどんどんと起きてきた。
今の時間帯の見張りをしていたウォルターはどうしていたのかと思っていたらヨダレを垂らして立ちながら寝ているという凄技を披露していた。
それを見たアキさんが無言で蹴りを入れて起こされ、今の現状に頭にハテナマークを付けながら首を傾げていた。
「ヘタリーチェ伯爵の息子が薬を手にして逃走した。印はつけたけどこの動いている地でどんどん離されている。」
「‥…なぜ。」
「母親の元に向かったのでしょう。とりあえず僕の持つ予備の薬は渡しておきます。僕はしょうがないので息子さんの捜索にいきます。コウは。」
「日が昇ったら一度帰省して薬を渡してくれば良いのだろ。多分3人ぐらいなら無理やり帰れる。」
「うん。」
「では、私はシンリ様と参ります。」
アキさんが共に行ってくれるみたいだ。
兄上がまたチートな技を使って脱出してくれるみたいだけどこの場には5人だし、伯爵は数日この森で過ごしていたから疲労が強く出ているので優先的に帰宅して貰おう。ウォルターは念の為に護衛の様な形で一緒に帰って貰う。盾ぐらいにはなるだろう。
アキさんが僕とともに行ってくれるのは心強い。こういった冒険はアキさんのほうが歴が長いし、あのアキンドだと言わしめる理由も見てみたい。
役割を分けたら本当は明るくなるまで待ちたいところだが糸も不安だし、あまり弟君て離れるとこの謎の集団がいる森でどうなるかわからないしで早速行動する事にする。
「じゃあ僕達は行くね。」
「ああ。後で迎えに来る。」
「じゃあアキさん行こう。」
「はい。」
アキさんがまた僕を抱えて場から移動する。
あの巨木が見ている間にどんどんと移動してゆく。アレの下には何が居るのだろうか。
あの謎の集団が探している主が下にいたりして。
「気をつけてね。」
その一言だけ移動するあの場所に向かって呟いた。
僕達はいつ襲われるかもしれない森の中で二人ぽつんと残された。糸の先が移動しているようには感じないのでもしかしたら闇に恐れて動きを止めているのだろう。
勝手についてきて勝手な行動をして自業自得だからほっておいても良かっただろお人好しめと兄上は言うだろうが、最終的に許可を出したのはこっちだし一日だけ探して見ることにしたほうが晴れやかに帰れる気がする。
「では行動しましょうか。」
「そうだね。」
糸に殺傷能力の高い何かが当たったら切れてしまうだろうからなるべく近づいておくのが良い。
糸の距離でやく五キロ位は距離が離れていると思われる。少年の周りで何が起こっているのか知るためにはちょっと距離が離れすぎていた。そこまで詳しく知るにはせめて3キロまでは近づきたい。
ちなみに前世では最盛期で1キロが限度だったがさすがはファンタジーの世界。魔法が組み込むとぐっと距離が伸びた。兄上が用意してくれた糸の暗器は全身を見たことが無いが恐らくは数十キロ位の距離はあるだろう。造ってくれたというドワーフの里にはそのうちお礼を言わなくてはならないね。
そんな武器の話には興味ないと思うけど。
モンスターだらけの場所を戦闘をしないで行動するには気配を消してひっそりと行動するのが一番だ。
依頼の内容によっては戦闘をして体力を削られるわけにはいかないものもある。今の状態としては早く弟君を見つけて森から退散するのが一番の内容だ。その際にこの森には謎の集団や恐ろしいモンスターがいるということを考えておく。
もしかしたらそれらと戦闘がある可能性がある。なので戦闘しながら移動するのはリスキーなのだ。
「だからとずっと気を張っているのは辛いでしょう。」
「僕はもうスキルみたいに身についているから良いとして皆はどうしている?」
「そうですねスキルを持つ人もいますが、持たない人は魔法具を使ったり、地面に潜る人もいます。」
意外と地面の下なら警戒もされないかもしれない。
あとは『聖女の集い』で僕がやったように木の上に行くか。
透明になるならどうなのか聞いたところ、普通なら大丈夫らしいがどうしても強いもの程気配に敏感で透明化の意味がないとか。兄上や僕、まだちゃんと見たことがない総騎士団長なら有効だと言っている。
僕個人としてはアキさんやシアさんも透明化すればいけるとおもう。
「では、先に進みましょう。」
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