僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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勇者という存在がもたらすもの

僕と音の国のギルド

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 馬車に揺られること数十分間。
 昨日と変わらす音と色に溢れた街では人々が行き交い活気に溢れている。だがよく見ると日陰や物陰では頭を抱えて辛そうにしているものも見受けられた。彼等も昨日の僕達と同じものを抱えてしまった人たちなのだろう。

 そんな彼らの横目に街は年中お祭りモードって辛いだろうな。

 今日は御守のお陰でスッキリと観察をしているといつの間にかギルドについていたようだ。建物自体は神の国よりは規模が小さく見える。音の国ミュージアが神の国より小さい国だからだとは思う。ただ、さすがは芸術の国か飾り付けが色々とされている。とてもゴツい冒険者とかはその見た目のファンシーさに入るのを戸惑っているのか人がきれたのを見計らってそっと入っていく。


「私はギルドにはいるのは初めてなのだ。」
「冒険者登録はしてないのですか。」
「うむ。私は父の様な軍人になるのが夢で冒険者など思いもよらなかったからな。」
「へえ。」


 クラウスさんがドキドキワクワクの足取りをしながら先頭をきって中に入ってゆく。
 中は外の華やかさとは違い落ち着いた雰囲気の内装になっている。どこのギルドも似たような感じの様で奥に受付があって依頼は壁のボードにはられている。長時間受付や報告確認に時間がかかることを考えての待合所も設けてあり、二階は普通の人が入れないようになっているようだ。
 疑問のある人に対して受け答えをするインフォメーションも設けてあってそれぞれの場所には初めての人でも安心して聞けるようにか優しそうなお姉さんやお兄さんがついている。
 
 優しそうとはいえ冒険者相手に怯むことなく対応するのを見る限りやはりギルドの職員なのだなと、感心してしまう。

 僕達が来たときはすでに朝の混雑が解消された時間なのだろう冒険者の姿はまだらである。だからと言って大人数で並ぶのもあれなので、代表としてアキさんとコウにぃが所在を伝えに行ってもらった。残った僕らは興味津々のクラウスさんと共に待合所の椅子に座って待つことにした。

 初めてのギルドの素晴らしさ等を語るクラウスさんに相槌を打ちながら話を聞いていると僕達からわりかし近くにあったインフォメーションのお兄さんの顔色が悪い。
 時折、頭の米神を揉み込むような動作と眉間に手を当てる動作。あれは恐らく頭痛の症状だと思うがそれがこの街に起こっている事と関係あるかはわからない。だけど‥…。


「お兄さん頭痛?」
「え、あ、大丈夫だよ。心配させてしまったね。」
「あのね。この御守あげる。とてもご利益あるんだよ。」


 僕のような子供の贈り物を無下にはできなかったのだろう。にっこりと天使の笑み(シス兄命名)で渡された御守を苦笑いと共に受け取り御礼を伝えてくれた。御守は使用と共に効力は発動済。これでよくなるようならこの人も原因は例の不協和音ということだ。

 念の為御守の中には僕らの冒険者の登録時に発行された番号も入れてある。この御守で体調に変化があれば優秀なギルド職員は上に話を持ってゆくだろう。この街に起こっている事を正しく伝えるためにはギルドも絡ませたほうが良いはず。


「シンリ。行くぞ。」
「じゃあね。」
「御守ありがとう。」


 シス兄から声がかかり戻るとコウにぃとアキさんが戻ってきていた。
 僕が何をしていたのかは見ていて分かっているからか何も聞かれず書類を渡された。所在を通達したよの証らしい。以前お世話になった、神の国のギルドにこの国についたことがわかるのは昼ぐらいだろうとの事だ。意外と早いな。

 これにてギルドの用事は終わったのだが、チラホラとやはり頭を抱える職員が多いし獣人の冒険者がやたらと少ない。クラウスさんに確認をしてあるのでわかっているがギルドはこの一軒しかないはずなので獣人もここに通うようになるばすなのだが。

 それは後々にこちらに話が来てからゆっくりと話したほうが良いだろう。


 こうして僕達はあっさりとギルド訪問を終えたのである。



「次は獣人の職人技を見に行くか。」
「彼らの木の細工はとても素晴らしい。感性が繊細で手も器用だ。とある国で流行っている木彫りの透かしの写真入れも彼等は負けじど素晴らしいものを作ってくれる。」 


 どこかで注文したことある商品だな。
 あれに負けじど向上心を持つのは素晴らしいことだけどここまで広がるとは。まあ、無事に流行って良かったよ。
 それにしても何でギルドはこちらだけにあるのだろう。国の住み分け制度で分かれているなら各所に設けた方が良いと思う。入国の男の様に獣人に対してあまり良い感情を持たない人も居るようだしくるのも大変そう。


「昔はあの壁もなく皆が互いを気遣って暮らすいい街だったと祖父から聞いたことがある。」


 時代の流れで変わってゆくのは当然の事だがそれが今国を2つに分断することになるとは思ってもいなかっただろうな。
 また馬車にのり移動する。壁の一部に門がありそこで行き来をするらしい。夕方になると門が閉まり移動が出来なくなるので城で門が閉まる2時間前に2回と一時間前に一回鐘を鳴らし、閉じる時も鐘を5回なるようにして知らせているようだ。

 門を潜るとそこは先程まで居た街と同じ街とは思えないほど色の無い街であった。


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