僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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勇者という存在がもたらすもの

僕の目の前に現る不穏

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「お前は何を知っている。」


 頭蓋骨をその手中に収めていつでもが発動できる様にしている王の姿に平然としているのは僕たち一部のものだけだ。多くの招待客は恐れ慄き会場から逃げ出す人も出て来た。それを王の息のかかった兵士が阻止しようとするがラウルス侯爵家がうまく手引して対処してくれたようで無事に逃げ出せているようだ。さらにはこの国の冒険者ギルドも助け舟を出してくれているので並の兵士は返り討ちに合うだろう。
 これだけの騒ぎになれば他の勇者を見に来ていた人々も異変に気づく。その人たちに王のこの姿を広めてくれれば万々歳だ。

 王がなぜこんなことをしたのかの理由は後で知るでも構わない。とりあえずは王が狂っていると分かれば。


「僕の加護では色々と視えるんだ。その手に持つ頭蓋骨は自分の子供かい?可哀想に母親に助けを求めているじゃないか。」
「とある神とやらは優秀の様だな。」
「あれ、王様に后が居るとは聞いていないな。でも王様と同じ色を持っているんだよね。」


 自分の子供させ利用する王にラウルス侯爵の拳が握られる。こんな鬼畜な親の子でなければ楽しい人生であったろうに。


「仕方がなかったのさ。最初は父の婚外子が産んだ子を使おうと思っていたのだが殺したらその腹は空だったのだ。」
「‥…その婚外子ってサラートって名だった?」
「そこまで読み取れるのか。そうさ。だがその子はいなかったし、さらには勇者の血筋だとわかるものはもう殆どいないからな。公爵家に協力して貰い作ったのさ」


 まるで家畜を繁殖させるかの様な言いように怒り心頭の者もいる。だけどダウニー公爵は顔色変えずすましたかおをしており、なおかつ『使えない次女が役にたちましたな。』などとのたまっている始末。
 まずまともな神経ならそんなことをされては生きてはいけないかもしれない。


「酷い親ですね。」
「はは。貴族の子供は親の為にあるんですよ。」
「でも悪行はここで終わりです。城の中のあの子も解放しますから。」
「ここまで来たら知らないことはないのかと思うよ。」


 頭蓋骨が王の手の上できしみだす。
 その途端に城から悲鳴のような鋭い声が聞こえてくる。
 なるほど。頭蓋骨とあれは痛みが繋がっているのか。

 この会場に来るまでまだ時間がありそうなので、いつの間にか周りを伸して開放してきた勇者の所にいるシス兄に首輪を外す様に指示をだす。この怨嗟は彼が断ち切るのが一番なのだ。


「その勇者も気の毒にのう。」
「なに。」
「サラートの子供だろ?顔がそっくりだ。命拾いしたのに聖剣を抜くからまた巻き込まれて。此奴がサラート妻の腹に居なければ両親は生きていだろうにな。」


 その王の笑いを帯びた言葉にグレイがショックを受けたような顔をした。
 自分が拾われた子だと言うことは女将がいきなりだとショックを受けるだろうと小さい頃から教えていたので知っている。だが自分を捨てた非道の親だと思っていたのに自分の存在で殺されたとわかったら話は別だ。
 きっと目の前が暗くなるほどにショックであろう。


「サラート夫妻が身籠ってなくても殺すつもりだったクセに。」
「ふん。赤子の骨が欲しかっただけだ。」
「いえ。貴方が抜けなかった聖剣を密かに抜いた彼を始末したかったのでしょ?」


 それはサラート夫妻の結界の様子を見に行ったときに教えてくれた。毎日住民にお礼を言われて嘆きがほぼなくなって穏やかになってきた頃。体の混在は戻ることは出来なかったが記憶が少しずつ回復していてサラート旦那は色々と教えてくれたのだ。

 前王が事故にあい捜索中にであった最中に少女と恋に落ち子供が産まれた。たまに見る物語の様だ。少女は城に入ることを断固拒否して彼を育てあげた。前王も彼女の意思を尊重したまに会うだけで城の王妃を優先して愛した。

 小さな頃に王妃の子、僕たちの目の前にいる男と合わせられ密かに聖剣の埋まる場所で遊んでいたらしい。何故かサラート旦那は触れた抜くことが出来たが王は拒まれた。その日のことは二人だけの秘密としたがその日から王のサラート旦那を見る目が憎しみへと変わったのだとか。


「何故、その話をしっている。」
「サラート夫妻から聞いたのさ。」
「何をたわけた事を。わたくしがドドメを刺したのだぞ。」
「ああ。実行犯はダウニー公爵でしたか。でも残念。サラート夫妻は今でもこの国を守っていますよ。」


 ドカンッ


 大きな音がして城を見ればそれはすでに姿を表していた。
 ブヨブヨに肥大していて眉毛も髪の毛もまだ生え揃っていないつぶらな瞳の化け物。手足は退化していて四つん這いでしか歩けず引きずるように何か紐状の物が生えている。

 這ったあとにはナメクジの様な粘質のある物体が残っている。あまりにも巨大だが一言でその者を表すとしたら『赤子』である。
 僕が城で見たあれとはこれのことだ。
 城の一室を研究所の様にして大きな溶媒液の中に身体を丸くして眠っていたのだ。まだ完成では無いことはその場にいた王と研究者の話で分かっていたが、クラウスさんさえ飲み込めそうな大きさの赤子は日に当たり皮膚から変な煙を上げて何かを求め喚く。その声には例のキーンととた音が混じっている。


「ははは。勇者の泊をつけるために用意をしていたがまさかこんなところで役に立つとは。」
「謎の病気もこの赤子のせいにする予定だったのだろう?」
「そこもわかっているか。倒されても続く病気はこの化け物の呪いと言えば国民は納得するさ。」


 この不協和音は最初は獣人街の人を苦しませる為に使用していたが、その影響が人族街まで来てしまいちょうど勇者という存在が現れたから押し付ける存在を利用したのだろう。




 
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