僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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海の国と泡と消えゆく想い

僕と馬に蹴られないかの心配

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「お、おかしいところはないだろうか。」
「それ、何回目です?」



 フェンに教え込んだ魔法はこの間僕が使っていた物を改良したものだ。空気魔法と転換魔法、それに保護魔法を簡易に組み込ませた物だ。誰でも使えるようにがコンセプトでウォルターで試したが2日間海にいても今の所は身体はふやけては居ないようだ。僕以外で試してわかった難点としては常時発動型なのでどうしても魔力を消費されていっている事か。
 僕の場合は『理を知る者』として魔力消費量が少ない事に加えて回復量も程々であり秒単位での事なので殆ど影響がない。同じく兄上が魔法を使えばあのあの膨大な魔力にたいしてなら微々たるもの。
 
 その問題については音の国で仕掛けた様に要に刻み込んで魔素を魔力に変換して御守りもとい、アクセサリー風にして販売とも考えたが、命に関わる物なので万が一の紛失時を考えたら却下とした。しかも変換の魔法がニ種類になってしまうので変な誤作動も発生するのではとバルスさんからの意見だ。


 そんな感じで今日までを色々とやってきた僕達であるが今日は加護を得ることができた祝賀パーティーの日だ。驚く事にフェンの父親が海の国の王様と顔なじみであり招待状も届いていた様で僕達の連れ添いと言う立場でなく個人で来た事になっている。
 他にも人間は来ているが僕達の使う魔法はまだ出回っていないので制限時間が限られていてまだこちらには来ていない様だ。
 早めに来てアクアにエスコートを頼むと決めているフェンが何度も姿の確認をしてくる。

 深い緑色の礼服に人魚のヒレを思わせる胸元のシャツには水の水面を思わせるようなブルーペクトライトを使ったブローチが飾れれている。父親に叩き込まれたという所作は幼少の頃から叩き込まれた僕から見ても及第点である。

 ちなみにフェンが例の魔法を駆使してこの場に来ている。魔力連続消費問題についてはのどうにか対策を取ったとだけ言っておこう。
 クローデット商会の会長、フェンの父親と対峙(あれは対面ではない。)したときにこの魔法を見せつけてなおかつフェンの努力のお陰で今回のパーティーの参加を許して貰ったのだがその時に魔法の欠点まで見抜かれてしまった。あの男は一体何者なのだろうか。



「ここがアクアの家か?」
「あ、うん。そうだね。」


 色々と考えている内にアクアの家に着いていたようだ。
 フェンは深呼吸をして心を落ち着かせると家に客が来たことを知らせるベルを鳴らした。流石に城で開かれるパーティーがある日なのでこの間の様に庭に誰かが居ると言うことは無かった。

 暫く待って居るとひとりの侍女の方が速走りでこちらに向かってきている。客の招待が僕らだと知ると先程まで般若顔をしていたのを真顔に戻し出迎えてくれた。


「突然申し訳ない。この男が用事があるらしい。」
「そちらの見知らぬ男がですか?」
「私は港町の商人であるフェン・クローデットです。アクア様のお目通しをお願いしたい。」
「アクア様の‥…。」
「あの髪飾りの‥…。」
「!」


 口調までも変わったニコニコなフェンをそっと不審者を見るような侍女にひっそりとフォローの言葉を投げかけた。すると態度が一変し好意的な態度になると屋敷に案内し始めた。その最中に屋敷の者に何かを伝えているようで耳を抑えて呟いている。通信機かなにかなのだろうか。


「お嬢様から話を伺っています。フェン様の話をしているときはそれはもう幸せそうです。」
「そうですか。」
「ですからこそ無意味な希望を抱かせてはいけないのですが、ここ最近のお嬢様の様子が見ていられない状態です。」


 なるほどその原因がフェンだと思ったのか。
 この世界にも人魚と人間の悲愛の物語は語られている。片方は地上でくらし片方は海に暮らす。そんな生活で愛を貫き通すのが大変なのだろう。なので今回のアクアの様に身を引くものが当然のようになってしまっているのだとおもう。


「私はこの身を人魚に変えても彼女を愛したい。」
「そこまで思われているお嬢様は幸せですね。」


 侍女の案内で屋敷の中に通されるとそこは以前も通された場所だった。そこにはアクアと当主のラメール氏、それとアクアに面持ちが似た女性が身なりを整えて談笑していた。部屋に突然入ってきた僕達に驚いたのはアクアだけの様で他の二人は微笑むだけだ。

 フェンがすっとアクアの前に立ち、ポケットから小さな箱を取り出すとしゃがみ込んでそれの蓋を開けて差し出した。そこには水や海水に強いステンレスで作られた指輪が入っている。指輪にはフェンの瞳と同じ金色に輝く宝石がさり気なくあしらわれていた。


「私は人と人魚の垣根を超えてアクアを幸せにしたい。もう少し私から離れるまでの時間をくれないか?」
「フェン‥…。」
「返事は今でなくても良い。今日はエスコートをさせてもらおうと来たんだ。」


 指輪の蓋を閉めて、アクアの手にそっと包み込む。
 そして再度目的を述べてニコリと笑う。その笑みには彼女を思う慈愛の眼差しが込められていた。
 アクアはどうしようかと混乱しながらあわあわと両親を見るが、両親は生暖かな目線で頷くだけだ。そのうちにアクアも手にある温もりに落ち着いてきたのか深呼吸をして改めてフェンの手をとる。


「こ、告白の返事は少し待って。エスコートはありがたく受けるわ。」
「有難うアクア。」










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