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海の国と泡と消えゆく想い
僕と姉妹対決
しおりを挟む「お姉様はズルいわ。」
王様への挨拶を終えて会場に戻り僕達が人が集まっている所に行くとその中心には3人の姿。フェンとアクアとイリヤの3人だ。ご両親の姿は今は無く、何事だと集まる周囲の目は好奇心より軽蔑の視線が向けられていた。
こんなところで大声で叫んでいるのはマナーとしては良くないことだからその視線は正しい。問題はその視線に気がつく事なく騒いでいるイリヤなのだが、本人に注意するものがいない。アクアが何か言おうとしているがそれをフェンがその身を妹との間に割っていて何も言えずにいる。
こんな集まりに割り込みたくはないのが心情だが、女神様の使いと言うことで注目されてしまっている僕達に助けを求めるような視線が来ているのだ。
盛大にため息をつきたい。
「こんな場所でキーキーと海にも猿がいるのかと思ったら薄命気分のお嬢さんではないですか。」
「‥…あら、あのときのお客様。こんばんわ。」
「何か言い争いでも?」
「聞いてください!お姉様ってばズルいの。」
「ここは大声で叫ぶ所では無いのだけどラメール氏はマナーを教えなかったか。」
「大声なんて出してないもん!」
「僕より歳上なのに周りの視線が見えませんか?」
自分が猿と言われているのにも気がついていなかったイリヤが僕が周りを促す事で周囲の視線が冷たいものだと気がついた様だ。何時もは病弱でか弱い少女が姉に食って掛かる姿は今までの姿に不審を抱かせてはしまったかもしれない。
慌てて興奮して熱が上がってしまったかのように振る舞い、背後にいたウォルターを見つけるとよろよろと抱きつこうとして避けられた。
いきなりの豹変にきっと皆の内心は『まじかよこいつ』と思っていることだろうが不思議な事にウォルターに避けられた先でもたれ掛かった男はとても心配そうな目線を向けていた。
おかしいなあ。さっきまで皆と同じく軽蔑した様な目つきだったのに。
「何があったの。」
「いきなりアクアに文句と俺があげた指輪を取ろうとした。」
「何故に指輪?」
「俺が高位の人魚よりさきに呼ばれたからだとおもう。」
ふーん。
姉が玉の輿に乗っているのが許せなかったと言うことなのか。だからズルいと言うことなの?意味がわからん。
「フェンより僕の方がお貴族だよ。アクアはもう一度彼と付き合うのは考え直したら?」
「おい!」
「ウソ。ならあの子のほうがお得じゃん。」
直ぐに引っかかってくれた。
身分を出せば直ぐに糸の切れた凧の様によってくると思ったよ。僕の意図を読んだフェンが挑発するように僕の身分を訪ねてきた。
「俺は世界に名を馳せるクローデット商会だ。お前は‥…。」
「神の国のディーレクトゥス辺境伯子息だよ。」
「あ、あの鬼人と名高い‥…。」
あ、それは父様達の名声ですね。
「ディーレクトゥス様。すみません。だけど彼女には手を出さないでください。」
出さないよ。馬に蹴られたくないし。
だけど高位の人魚よりさきに呼ばれたフェンよりも偉い存在だと理解したイリヤは未だに支えてくれていた男性を押しのけてこちらに向かってきた。そして鮮やかな水色の髪に合わせた胸を強調するようなオレンジのドレスですり寄ってきた。先程まで自愛の眼差しだった男はその連れの女性にビンタされて目が覚めた様で二人で消えてゆく。ウォルターが避けたばかりにごめんね。
僕にすり寄ってきたイリヤだけど一応は護衛がある身である。
間にバルスさんとウォルターが入り込んできた。なので僕に触る前に阻止されてしまったのだけどちょっと考えがあったので二人には離れる様に指示をする。
「あの。名前を伺っても?」
「前にも言った気がするけど。」
「ごめんなさい。あまりにも格好良くて‥…。熱もありまして。」
「覚えていないと言うことだね。」
「はい。」
「まあ、良い。僕はシンリ・ディーレクトゥスだよ。」
シンリ様。
きゃっといったような反応をされて鳥肌が立ってしまった。
だが、こうして触れ合ってわかったがイリヤには魅了の潜在的能力を持っているようだ。触れ合う事で発動するのか1割程可愛く見える気がする。まあ、兄上の方が可愛いしかっこいいけどね。
「イリヤ!それははしたないわよ。」
「お姉様もこうやってそちらの方を落としたのでしょう?真似しただけです。」
「そんなことはしてないわ。」
「じゃないと一目惚れなんてありえないわ。」
「そんな事は‥…。」
「お姉様は騙されているのよ。だってその人商人なんでしょ?人魚は高く売れるもの。」
「違う!」
フェンが言い返すために息を吸った所でアクアが 場に相応しくない大声をあげた。それには王も気がついた様だが僕が気にしないようにジェスチャーをスルト理解してくれて再度パーティーの雰囲気に戻してくれた。
いや、パーティーの片隅で人混み団子つくって申し訳ないけどもう少しだけほっといて。
アクアははっと口元を抑えた。だけど周りが普通にパーティーをしているのをみてホッと息をはく。そして、イリヤに向き直る。
「この方、フェンは私のあげた真珠を再開するまで持っていたわ。商人だから売れば高価だと知っているのに。」
だからあの再会の時に持っていたのを見て二人で出かけることを承諾した。普通なら警戒しても良かったのにそうしたのにはフェンのそんな些細な行動があったからだ。
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