僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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海の国と泡と消えゆく想い

僕と妹さん

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 アクアのフェンに対する気持ちはわかった。
 フェンの止められないニヤケ顔を殴りたい気持ちだが今は寄り添うイリヤをどうにかしよう。この魅了の魔法の様なものは正確には魔法ではない。魔法なら魔力の動きが分かるし対象物の指定には修行も必要となってくる。

 昔は病弱だったと言う話なのでそんな修行など出来ないだろう。となると彼女のこの体質は何かの副作用とでも言おうか。昔からこんな体質ならば両親もアクアを顧みることなくイリヤに構いそうなのにそれがないと言うことは最近になって能力に目覚めたか。
 しかも自覚もなさそうというよりもともとが自分が中心タイプだから違いに気がついてない。
 気づかれる前にこの能力を消してしまってから話を進めたほうがいいと判断して最初に出会って以来の鑑定をかける。すると前には無かった『禁断の果実』と言う項目が出来ていた。何をきっかけに出来たかはしらないが『禁断の果実』で思い浮かぶのはかつての天界で作られた人の話し。ヘビがをして神の果実を口にしたのだがこの体質にも性質が似通っているようだ。

 急に生えた様なものなので抜くのもまだ可能だ。
 気づかれないとは思うが片手に薄っすらと魔力を纏わせイメージは掃除機のように問題の物を吸い出す事にする。魔眼で見える彼女のどす黒い感情の奥に見える一つの光る希望の様な何かが見えた。それに触れると彼女の感情が読めてきた。彼女はウォルターの言っていたように我儘なお姫様といった感じだ。自分が中心で誰もが望むままに動く事を臨んでいる。

 その感情に目覚めたのは幼い頃。
 姉、アクアの勉学の友達が遊びに来た時の事だった。
 窓から庭を覗いていると、姉とその友達が楽しそうに遊んでいる。簡単な魔法を使って勉強がてらのものらしい。
 とても羨ましくてそっと部屋を抜け出したイリヤは庭に来ていた。

 イリヤの存在に気が付いたアクアが部屋に戻そうとしたところ、友人の男がそれを止めたのだ。ベッドにずっといるのは可哀想だから、そう言ってイリヤのみたいものを見せてくれた。
 空気で出来た兎や、土魔法で作り出した滑り台。学校で創ったという宝石も沢山くれた。
 姉の様に学校へは行けないけどこうやって病弱でいれば我儘が許される。

 夜にやはりというか熱を出したもののいつもより心が踊っていたこの日の出来事はイリヤにとってかけがえのない日になった。


 何事にもきっかけがあるとは言うが、これは周りではなく自らの心の問題だな。

 イリヤの中から問題の物を抜くついでに記憶に触れてしまい余計なものを見てしまった僕はいつの間にかその手に金の林檎を手にしていた。


「あら、それはこの間お姉様が食べさせてくれた果物よ。美味しくてもう一度食べたかったの。頂戴。」
「これは駄目だよ。普通の者が食べてはいけない物だ。」
「え、ワタシは食べたわよ。なんとも無かったわ。」
「これは奇跡を一つ叶えてくれる神の果物だ。きっとイリヤが良くなったのはそのお陰だろう。」


 そういう事にしておこう。
 噂ではとても病弱なイリヤが暫く体調を崩さずにパーティーに参加できた事に疑問を持つ者もいるだろうし、その前に食べたこの樹の実のお陰ど言うことにしたほうが彼女も都合が良いだろう。現に何か言いたそうだがそしたら長年仮病を使っていたことがバレるかもしれないので何も言えないでいる。
 イリヤに薬を渡していたポリプスさんや最近、医者や、ポリプスさんのお陰で事実を知ったご両親も口を閉じる。
 こちらはラメール家のために口を閉ざしているのが正しいだろう。

 長年、次女を甘やかせて我儘を受け入れ他の家に頭を下げた事もあったはずだそれは愛する娘が熱でうなされている姿を信じて少しでも欲しがった物を渡したかったからだ。それが嘘だったと知った今は、怒りより悲しみがあるし他の家の者にも迷惑をかけてしまったのが心苦しいのだ。


「じゃあ、ワタシのもう一つの願い叶えたいから頂戴。」
「もう一つの願い?」
「ワタシ、幸せになりたいの。お金持ちの旦那様に甘やかされながら何もやらなくて良い生活がしたいの。」
「今までと同じじゃないか。」
「違うわ。今までは大した事なかったもの。最近はアクアお姉様も欲しいって言っても何もくれないし。」


 最大限のやってきたことを大したことが無いと言われて遠くでラメール夫妻が涙をこぼした。


「アクアにもあげれない大切なものがあったのだろう。」
「でも、お姉様の物はワタシの物はなのよ。あの髪飾りもワタシの水色の髪の方が似合うと思うでしょ?」
「赤が似合うのは間違いないが、あれは彼女にぴったりだ。」


 同意されないと理解したイリヤがむくれるように唇を尖らせる。
 そして『禁断の果実』を無理やり取ろうと手を伸ばしてきた。2歳の体格差では簡単に奪われてしまうだろうが、こちらには二人の護衛がいる。指で弾いた果実はバルスさんの手の中におさまる。
 あの果実は後で兄上にでも食わせてしまおう。

 さて、問題はこの世界がわかっていないお嬢様をどうするかだけども。


「イリヤはこの世界の均衡を知っているかい?」





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