僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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海の国と泡と消えゆく想い

夢の中の終焉

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イリヤはこの世界の均衡を知っているかい?



そう言った僕の言葉にキョトンとする彼女。
 知らなそうな彼女でもわかるように説明するのであれば、この世界には相反する物が多くある。男と女、月と太陽、神と魔、善と悪。挙げれば数え切れないほどだ。それもそのはず世界はそれらの均衡を持って成り立っているからだ。
 片方が過ぎたるものになれば世界は悪い方へとなる。まあ、それをどうにかするのが理を知る者なのだけどそれは言わなくても良いだろう。

 イリヤは色々と行動してきただけど考えての行動ではない。考えてどうなるなるかと一度でも思っていたのならこんなになってはいないだろう。その代償は家族へ降り掛かっていた。


「君はここでアクアに文句を言っていたがそれがどんな結果になるか考えていたか?」
「え。」
「アクアが君を見限り、会場に来ていた皆は君に冷たい視線を送る。そうなるとは思わなかった?」
「え、ワタシは愛されているのに?」
「良く考えてごらん。考えることを拒否しては駄目だよ。周りの目はどうなっている?」


 僕の説明にやっと周りの冷ややかな目線と嫌悪の目線に気が付いたイリヤはひっと声をあげた。
 僕の言っていることは難しい事ではない。人は行動しながら考える。それが均衡でもある。考えることで行動を制し、行動することで考えを改める。人が感情のままに行動しているのであればこの世は成り立っていないことだろう。

 
「さあ、イリヤは今までどうだった?」
「わ、ワタシは皆から愛されているからどんなに我儘を言っても‥…。」
「その代償は誰が受けていた?」
「誰‥…。そんな代償だなんて。」
「歪んだ均衡には代償が出るんだよ。」


 それすらも物理で解消してしまう事もあるけど、それでも代償は出ているということ。
 イリヤの場合はアクアや両親がどうにかしてくれていた。


「ワタシは考えていたわ。だから代償だなんて。」
「『病弱だし愛されているからマナーなんて覚えなくても大丈夫よ。』今回のパーティーに参加出来るとなった時に思わなかったかい?」
「くっ。」


 パーティーに参加できる際に最低限は教わって本来ならここでマナーの大切さを知って励むところか騒ぎを起こすというなんとも。それどころかこんな他人それこそ別の種族や国の者がいる中で騒ぐのは人としても未熟だと思われる。


「君は可愛いと思っているかもしれない。けど僕には大人になれていない醜い女性に見えるよ。」
「なっ、なんですって!」
「だってほら。」


  すいっと顔に手を這わしてまじまじと見る。
 いきなりの行動と母似の綺麗な顔が近くによりイリヤが頬をそめる。だけど僕はその内心を写し込んだような彼女の顔を問答無用で指摘しておく。
 前は手入れをろくにしなくてもツルツルとしたたまご肌だったろうにくすんだ色合いにニキビとニキビ跡。海の中では化粧なんてできないのだから人魚のお姉さま方は食べ物や手入れに力を入れていると聞くが、彼女はその本人の性質のせいか好きなものを好きなだけ食べて、病弱だからとろくに手入れもされない。
 本当に彼女の内面が表面に出てしまっているようだ。


「もう、16歳なのでしょう?」
「そ、そうだけど。」
「なら、そろそろ周りを見るべきだろ。夢見る乙女はおしまいにしたらどうだい?」
「う‥…煩い!」


 ドンッと僕を突き放して怒鳴る。
 身体がよろめいたがそれを後ろから誰かが支えてくれた。
 この場では僕はあくまでも女神様の使いである。そんな僕の言葉をちゃんと聞かずに更には突き飛ばす。それが更に周りからの視線がきつくなる要因なのだけど彼女は気が付かない。彼女が行動するたびに周りは巻き込まれたくないと彼女から離れていっている。長年なあなあで守ってきていた家族も徐々に離れてきてきていのはわかっているのだろうか。

正気を取り戻したといえば聞こえが良いけど、僕達が来て変わるというのがかき混ぜるだけかき混ぜま様で後味が悪い。うーんと考えていたら突き放されたときに支えてくれたバルスさんが耳元で囁く。


「関与はここまでです。後はこの国のいえ、あの人達に任せましょう。」
「もう、やめなさい。」


 泣いている婦人を連れながらラメール氏が現れた。ラメール氏はアクアとフェンに今日は家に帰ってこないほうがいい事を伝えて、僕達には腰が90度になるくらい曲げて挨拶をし、気付かないふりをしてくれている王にも同じく行ったらイリヤの腕をつかんであるき出した。イリヤは抵抗するがそれはびくともせずにただ叫ぶだけしかも先程の僕との会話で奇跡の林檎のお陰で健康になっていることになっている。なのでそれを言い訳には出来ない。
 ただ単に引きずられてゆくだけだ。


「私達がイリヤをこんなふうにしてしまったのでしょうか。」
「甘やかしたというならそうだね。だけど根本的原因はイリヤ自身にあると思う。」


 彼女は医者の話によると6歳の頃にはもう外にもどこにでも行けるほど健康になっていたという。なのに彼女が選択したのは仮病だ。
 医者を嘘つき呼ばわりをして主治医から外れさせてわざわざ効かない薬をのむ。

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