僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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青い光のスヴェトリナー

僕と愚者の国への旅路

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「ずっと記憶の位置を把握してくれていたんだね。」
「ああ。一応王族だった俺にはが居たからな。使わせてもらっていた。」




 影という存在があることは知っていたがだからこそ危険な旅路に皇子であったコウにぃが行っても文句は少なかったのだと理解した。たとえ兄上の方が強いのでも万が一の足止めにはなる。

 ちなみに今回は二人だけの旅路となるが、僕には優秀な友人式神がいるのでいざとなったら手助けしてもらう事になるだろう。
 
 馬型の魔獣はトップスピードで町を抜けて愚者の国フールルートへ向かってゆく。すでに一日は過ぎただろうか。休みを最低限にして向かっているので当初より早めに国に着くだろう。

 愚者の国はその不名誉な名前からどんなにひどい国なのかと噂になったこともあった。だが実際はその豊富な土地から出来るとても甘美な果物が有名になった国だ。その国に訪れたものはその豊かさから愚者となる。そこから愚者の国と言う名が呼ばれるようになった。

 前国王が倒れて今は三代目の王が国を納めているはずだ。


「だけどおかしいなあ。」


 訪れた人が愚者になるぐらい豊かな国である筈なのに向かってゆく先は荒れ果てているように見える。
 普通なら国の中心から活気が穏やかになりまた国に近づくと活気ずくといった感じなのだが今はどんどん活気が失われてゆく。

 草木が目立ち整備のされていない街道が目立つ。

 
「この先に町があるはずだから情報を集めながら一休みしよう。」
「うん。そうだね。様子がおかしい。」


 そんな話をしてから数十分がたった。
 目の前には廃屋が広がる町だったものがあり。人の気配などほぼ無い静かな広けた場所だ。

 とりあえず魔獣から降りて辺りを探索すると、人がまとまっている場所があるのがわかる。兄上と目を合わせて頷き合い、そちらに向かってゆくと身構える気配を感じる。

 
「すみません。誰か居ませんか?」
「‥…。」
「やっぱり居ないのか。」
「しょうがない。先に進もう。」
「愚者の国まであと一日ぐらいで着くだろう。」
「愚者の国には行かん方が良い!」



 人が居ることを知っていてそう会話をしていると愚者の国の話が出た所で老人が慌てて出てきた。着の身着のままといった風貌でツンとした酸っぱい匂いが鼻をつく。
 老人は必死な顔をしていて、その背後には何十人かの人が互いに身を寄せてひしめき合っている。その中には小さな子供もいて、声を出さないようにか口を塞がれていた。


「とりあえず、お話を聞いても?奥の子供は鼻まで塞いでて危ないよ。」


 僕の言葉に、子供の母親らしき人がハッとして手を離した。子供は手を離しても声を押し殺して泣いている。 子供までこんな状況に対応するぐらいの暮らしをしているようだ。
 その姿はとても痛ましい。


「一体何が起こっているのですか?」
「‥…。」
「状況を変えるなら今ですよ。」
「‥…そうだな。いつまでもこうしている場合ではないな。」
「長老。」


 長老と呼ばれた老人はポツリポツリと語りだした。

 事の始まりは数年前の事。
 王がいきなり税金を上げ払えない時は変わりに宝石や珍しい石を献上するようにお触れを出した。元々この国の税金は新たな王に変わってから安いとは言えない内容だったのにさらにとなっては払えない町ももちろん出てくる。
 王はそんな町に兵士を差し向けて強制的に搾取をした。
 その兵士は不思議な兵士でどんなに夜中でもどんなに動いていても、すきはもちろん休もうという行動を一切しない。
 何よりも彼らの兜から見える瞳は意志のない。虚空の闇を宿していて人々はおののいた。

 彼らが取り立てた町はここのように総べてを搾取され人が住めないようになっていった。別の町で王へ反旗を翻そうとしたが、何故か王に攻撃は通らずさらには謎の攻撃で全滅してしまったのだとか。
 王はその搾取したもので豪勢な生活をしているという。この国は本当に愚者の王が治める国になってしまったのだ。


「我々ももうすぐこの町を捨てる事となろう。」
「そうですか。でも僕達は行こうと思います。」
「そうかい。なら、この先進んでいくと井戸のある家が見えるだろう。そこの男に会うと良い。」
「男に。」
「以前は城で働いていた男だ。なにかしらの情報をくれるだろう。」
「うん。ありがとう。」


 僕は話しのお礼に空間魔法で持て余していたモンスターのお肉などを分け与えた。これから町を捨てるとの言うほど追い詰められた彼らに少しでも栄養を取ってもらいたかったのだ。どうせ空間魔法で放置されてた物なのでむしろ消費されるのは嬉しいのだと伝えて半強制的に押し付けて、僕達は町をでる。


「これは、僕の記憶の欠片が何かしているかな。」
「かもしれない。俺の情報では魔女が持っていると聞いていたのだがな。」
「何故か王が手に入れたと言うわけか。」


 僕の記憶の欠片のせいでこの状況が起こっていると言うことはあの涙を堪えた子供の姿も僕のせいである。他人がどうなろうと構わないと思っていても流石に今回は罪悪感を感じないわけがない。
 
 とりあえずは井戸のある家に行ってさらに詳しい話を聞かないといけない。


「たしか、その井戸のある家が魔女の家だったと思っていたのだが。」
「え?」








 

 
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