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青い光のスヴェトリナー
僕ととある怠け者の男
しおりを挟む廃屋の村から更に半日ほど進んだところに、長老が話していた井戸付きの家が見えた。そこも草が覆い人が住んでいるのかわからないような場所であった。馬型の魔獣から降りて庭らしき所を歩いて家に向かう。
その途中でなにか面白いものでも見つけたのか兄上が一度感嘆の声を上げたが、尋ねる前に直ぐにいつもどおりとなって僕と並び家に歩みを進めた。
庭は草だらけなのだが家の造りはちゃんとメンテナンスをしているようでどこも腐敗などはしていなくしっかりとした物になっていた。ドアについているノッカーをつかってドアを叩けば乾いたいい音がした。
数回そうしているとそろそろとドアがやっと開いた。細い隙間から見えたのは頬の痩けた中年の男だった。 黒味のかかったブルネットの髪に青色の瞳の男。彼はおどおどとこちらを見てきて客が予想外の者だと分かるとその扉を大きく開いた。
「何か用け?」
「少し尋ねたい事があるんだ。」
「お、おいらは何も知らんよ。」
訛の強い口調で男は返事をする。
扉を閉じようとしているが兄上が足を隙間に挟み込んで、何処のヤさんかというぐらい手慣れた様子で閉まらないように固定している。
「ここはたしか魔女の家の筈だが?」
「ひっ!な、何の事だか分からん。」
「ここには貪欲な魔女が住んでいただろ?」
「知らん!おいらは何も知らん!」
男はパニックになっているのか。両手でガタガタと扉を閉めようと躍起になっている。
その状態だけでも彼が魔女の事を知っているのが分かる。だけどもこのままだと愚者の国についてどころか魔女についても知ることが出来ない。
「おじさん。僕達は魔女の安否なんてどうでも良いんです。」
「へ?」
「魔女の持ち物て探しものがあったのとこの辺りの惨状についてここに住む男が詳しいと伺ったので来ただけです。」
「‥…本当け?」
「ええ。もちろん。お礼もしますよ。」
「‥…なら、中には入れや。」
ガタガタしていた動きが止まり少し考える素振りをした男は、おどおどとした態度は治らないままに家の中に招き入れてくれた。
これが演技で家の中に招きこむ為の行動だったら凄い事だけど、どうやら男はそんなつもりはなさそうだ。
中に入った僕達が見たのは家の四隅に蜘蛛の巣がはり、至るところにホコリが積もり、壊れた椅子が散らばっている部屋だった。よほど怠け者の男だな。と思って簡単に魔法で椅子を直すと勝手に座らせてもらう。
「でらすげぇな。」
魔法が見慣れないのかそう声を漏らす男は水の入った欠けたコップを持ってきた。一応は歓迎の意はあるようだ。
鑑定をかけても何かを仕込んでいると言うことは無さそう。せっかく持ってきてくれた水に口を付けて潤いをもたらしたあと本題に入る事にする。
「ここには魔女が住んでいたと聞いたけど。」
「た、確かに魔女さんは住んどったけど王に殺されたけ。」
「殺された?」
「ひっ!」
「魔道具は何処だ?」
「コウにぃ顔が怖いって。」
王族を離れて暫く経つがそれ以上に年数が経っていそうなこのあれ具合。恐らくは影を使えていた頃には魔女は殺されているはずだが、そんな報告は無かったのだろう。
そもそもこんなに国が荒れていれば報告もされるはずなのだけど。
「何年前にあの女は死んだ?お前は何者だ。」
「魔女さんが死んだのは3年前だ。お、おいらはルカ、ルカ・アシントン。今のここの住人じゃ。」
「ルカさん。魔女はなんで死んだの?」
「魔女さんは珍しい魔道具があると見せつけるためにお、王の所に行った。んじゃけど、王はその魔道具が欲しくて魔女さんを殺した。」
珍しい魔道具を見せつけるって魔女もいい性格をしていたようだね。
「どんな魔道具だったか分かるな?」
「青い何かだったとしか覚えちょらん。」
「嘘だな。」
「兄上には嘘は効かないよ。」
「‥…ランプ。青い炎のランプじゃっ。」
「間違いないな。俺が影に把握させていたシンリの記憶の欠片だ。」
「じゃあ、今は王様が持っているってことだね。」
不思議なのはその報告が兄上には来ていなかったことだ。それにこれだけ国が荒れていれば冒険者ギルドも騒いでも良いと思うのだけどそれがない。まるで画されているかの様に。
「その魔道具ってどんな物なの?」
「ら、ランプには魔人がいて願いを叶えてくれるんじゃ。」
「‥…。」
「へえ。それは皆欲しがるかも。」
「王は外からの者に異変を感じさせないように願ってたようだけの。」
「あと、もう一つ。」
「まだ、なんごとあるのけ?」
「城について知りたいんだ。」
本来のこの男に対して尋ねたかったことはそちら国の状態の話がメインなのである。まさか魔道具についてもこんな知っているとは思わなかったけど、棚からぼた餅といった感じだろうか。だけどこの家に尋ねた本来の目的は別。兄上は何考えているかわからないのでなんとも言えないけど。
「今この国で何が起こっているのだい?」
「この国は王の独断の国になってしまったんだぁ。」
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