毒姫の婚約騒動

SHIN

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毒姫の婚約騒動

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 ミダスが、この呪いにしたのは八歳の誕生日だった。
 誕生日のお祝いにとても綺麗な鳴き声の鳥をもらったのだという。しかし、その鳥は翌日には嘴から泡を吐いて死んでいた。
 何者の仕業かと騒ぎになったが、次に世話役の侍女が倒れたことで判明した。
 鳥にはその手で水を与え、侍女にはお菓子を渡したのだとか。

 後々、皿や器に盛られた物も器しか触っていないのにその一部と認識されるのか毒となる。
 幸いにもミダス本人には毒が効かないが、当然周りには効く。周りの人は彼を避け始めた。

 そんな頃、私とイデスがミダスと出会ったのです。



「彼女が毒姫と呼ばれるのは、魔の毒の食事会で平然としていたからだ。」
「そ、そうよ。他のご令嬢が苦しんでいるなかで平然としていたから、毒を使ったって言われてその名が付いたのよ!」
「あれは、ただの食中毒だよ。ミストは毒耐性、毒サーチを持っていたんだ。」
「はぁ?」
わたし毒を成す者に相応しい相手だろ?」


 そうなのです。
 私は毒が効かないのでした。と言っても恐らくわが家の者ならこの能力が勝手に身に付きます。なので、イデスも持っていたりします。
 それを知ったミダスを心配していたある人に頼まれて会いに行きました。
 そしたら、自ら命を断とうとしていたので平手打ちしてしまいました。頬を押さえてきょとんとする彼の手を無理やり取る。手を剥がそうとするミダスを見つめて、安心させるように笑いかける。


大丈夫ですわ。毒が効きませんの。」


 そう言ったときに目が落ちそうなほど開き、ポロポロと涙を流し、声を上げて泣き出した。
 愛される筈の子供が周りから冷たくされるなどとても辛いことでしょう。

 そんな事があったからか、ミダスは弟の様に感じるのよね。




「し、知らないわ。こんなのゲームにはなかったわ。」
「ゲーム…だと? 」
「彼女は転生者らしいよ。前世で遊んだゲームに俺達にそっくりな奴等が居たらしい。だから、はゲームの世界なんだと。」
「一度きりの人生をゲームなどと不愉快だな。」
「同感。」


 さすがに察しているとは思うが、イデスはミダスに命じられてまるで未来を知っているかの様な彼女の素行や正体を探っていたのです。どうやら、ゲームのイベント?か何かの出来事らしいですわね。

 ああ、幼なじみの魔法使いは純粋に彼女になついていましたので我々と無関係です。
 一応、彼女についていてイデスが居ないときは私がミダスの護衛役でした。そのせいで囲むなんて噂が出たのだけど。

 
「君は、残酷な少女だね。」 
「わ、私…。なんで…何でぇ…。」


  こんなはずでは無かったと、呟くディーオ様は私をきっと睨み付けて、可愛らしい顔を悪魔の様に歪めて罵り始めた。その様は百年の恋も一時に冷めるというもののようで、ディーオ様のハーレム軍団はひきつり顔で離れていってます。
 こんなヒラヒラの恋に破れたご令嬢方が哀れでしょうがないわ。


「そもそも、あんたがちゃんと毒姫を、悪役をしないからよ!」
「…貴女は勝手に私を悪役にしてるけど、私は私の人生を生きているだけよ。ここは決まった物語ストーリーを進む所じゃないの。決まった話がやりたかったら劇団にでも入ったら?」
「馬鹿にしないでよ! 私の王子様を返してよ!」


 話し合いが通じないのは最初から分かっていた。
 私は言いたいことを言うと、彼女から離れておく。先程まで私が居たところには、ミダスが立ち懐から一枚の紙を取り出した。
 

「本当は、このパーティーが終わってからと思っていたけど、こんなに混乱を起こしてはダメだな。」
「何をするの?ミダス様。」
「この度、先の震災でのディーオ伯爵の不正が判明した。よって、ディーオ伯爵領の縮小と私財の没収が決まった。さらに、位は男爵とし現在のディーオ男爵以降の跡継ぎは平民とする。なお、この決定は国王も認めている。」
「私が男爵ですって?冗談は止めてください。」
「ちなみに、現在のディーオ男爵はお前の兄だ。父の方は剣を向けてきたのでもうこの世には居ない。」


 会場に入ってきたときの微かな血の匂いを感じたのは間違いじゃなかったみたい。
 にしても、なんか感情が籠った過剰なほどのやり方。何かあったのかしら。

 私がそんなことを考えている側でディーオ様は近くのナイフを手に襲いかかってきた。彼女が言うなれば『あんたのせいで!』でしょうか。

 視界の端でその姿を捉え、体を半身にしてナイフをよけて彼女の手首をつかみひねりあげる。
 その手からナイフが落ちたことを確認してから解放すれば、手首を押さえながら後ずさっていく。しかし、その背後には恐らくミダスが手配した兵士が行く手を阻んでいた。


王族の一員であるわたしの婚約者を傷つけようとした行いは許しておけない。監視のある部屋で軟禁しておけ。」
「はっ。」


 ディーオ様は言葉にならない叫びをあげながら、会場から連れ出されていった。彼女のハーレム軍団の誰一人助けに向かうことなく退場という、なんとも虚しい感じである。

 私の元には、イデスとミダスが集まり身を心配してくれた。
心配してくれるのは嬉しいけど貴殿方は私が父様に血反吐吐くぐらい鍛えられたの知っているじゃない。一緒に修行と言う名の扱きを受けたのだから。

 えっ、どうして令嬢がそんなことをするのかって?
 だって、彼と婚約が決まって辺境の地に行くことになったら父様が張り切っちゃって。



「皆も騒がして悪かった。我々も退室しよう。」


 そう、言って私、イデス、ミダス、ディーオ様のハーレム軍団と会場を出る。ハーレム軍団は兵士と共に
だけどね。

 こうして、私の婚約騒動は幕が落ちた。



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