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番外編『アイル公爵令息の溜め息の休日』4
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時は流れ、裏ではルークを王として擁立すべく謀反を起こす動きが活発になっていた。
それというのも、ルークが瀕死に追い込まれたのはメイナードの差し金だったと明らかになったためだ。
今までルークに嫌がらせはしても、ルークの命を奪おうとまではしてこなかった。だが、このままではルークの命が危ない。それに怒りを覚えた人たちが立ち上がり、行動に移したのだ。
さすがのルークも何か思うところがあったようで、自分が謀反の先頭に立つことを了承したのだ。それもメイナードに反旗を翻す大きなきっかけになった。
いざ謀反が起こったら城は大きな混乱に陥るだろう。メイナード軍とルーク軍が争い、犠牲者も出る。
でもこの戦いは負けられない。なんとしてもルークを王に据えなければ。
アイルは頭の中で何度も謀反のときのことを想定する。その思考の中で、思いついたのがエルヴィンの存在だった。
最近、ルークがエルヴィンを頻繁に呼び出していることが城内で噂されている。治癒師としてルークの部屋に出入りしているとなっているが、ふたりがただならぬ関係ではないかと噂が流れ始めていた。
それに対してアイルはルークに警告をした。
「謀反が終わるまでエルヴィンさまとの接触を控えてください。殿下が大切にしている獣人となれば、謀反のときに人質に取られるかもしれません」
アイルが親切心で言ってやっているのに、ルークは「わかっている」とつまらなそうな顔をする。
「俺だってこれでも我慢しているんだ。だがどうしても離れられない。エルヴィンに会いたくて会いたくて仕方がない」
国の一大事に色恋沙汰にうつつを抜かすとは、ルークはどうしようもない。そんなにエルヴィンのことが好きなのかと嫉妬するくらいだ。……恋のライバルとして。
王弟ルークはいい男だと思う。そんなルークにここまで迫られたらエルヴィンはルークを好きになる。
きっとエルヴィンは、アイルなど眼中にないのだろう。
「ほら、アイル。もう帰れ。もうすぐエルヴィンが朝の薬を持って俺のところへやってくる。それなのにこんな辛気臭い話をしていたらエルヴィンが嫌な気持ちになるだろう?」
ルークはこれ以上話はしたくないという態度で、アイルを部屋から追い払った。仕方なく引き上げたときに、ルークの部屋の前でばったりエルヴィンと出くわした。
「あ! アイルさま! おはようございます」
エルヴィンはにこやかに挨拶をしてくれた。手にはもちろんルークのための薬を持っている。
「おはようございます。エルヴィンさま」
アイルはとっておきの笑顔を返す。でもエルヴィンの反応はいまいちだった。アイルにときめいてはくれないらしい。
「そうだ、アイルさま、聞いてくださいっ」
エルヴィンが嬉しそうに話をしてくれたので、さっきの反応に落ち込んでいたアイルの心がパッと華やぐ。
「あのですね、殿下にですね、ついに外出の許可が出たんですっ」
「あぁ……」
なんだ、ルークの話だったのかとアイルの気持ちは憂鬱になる。
「殿下が元気になられてよかったです。殿下のご様子が日に日によくなっていくのを見ていると、本当に……」
エルヴィンは少し寂しげな顔になる。どうしたんだろうとアイルが思ったときにはすぐに笑顔を取り戻していた。
「外出してもいいと聞いたら殿下はお喜びになられますよねっ? 殿下の喜ぶ顔が早くみたいなぁ。それでは失礼いたします!」
エルヴィンはアイルにぴょこぴょこと耳を動かして挨拶し、ルークの部屋に向かっていった。
(なんだ今の挨拶は! 可愛すぎる!)
最近エルヴィンと話しているといつもこうだ。エルヴィンの言動ひとつひとつに感情が振り回される。
「まいった……」
これを恋と呼ばずしてなんと呼ぶ? 気がついたらエルヴィンのことばかり気になっている。
きっと、片想いなのに。
「はぁ……」
今日は公務もなく休日だというのに、朝から溜め息の出ることばかりだ。
そうだ。部屋を片付けたら出かけよう。久しぶりに服を新調したい。来るべき明るい未来のために。
それというのも、ルークが瀕死に追い込まれたのはメイナードの差し金だったと明らかになったためだ。
今までルークに嫌がらせはしても、ルークの命を奪おうとまではしてこなかった。だが、このままではルークの命が危ない。それに怒りを覚えた人たちが立ち上がり、行動に移したのだ。
さすがのルークも何か思うところがあったようで、自分が謀反の先頭に立つことを了承したのだ。それもメイナードに反旗を翻す大きなきっかけになった。
いざ謀反が起こったら城は大きな混乱に陥るだろう。メイナード軍とルーク軍が争い、犠牲者も出る。
でもこの戦いは負けられない。なんとしてもルークを王に据えなければ。
アイルは頭の中で何度も謀反のときのことを想定する。その思考の中で、思いついたのがエルヴィンの存在だった。
最近、ルークがエルヴィンを頻繁に呼び出していることが城内で噂されている。治癒師としてルークの部屋に出入りしているとなっているが、ふたりがただならぬ関係ではないかと噂が流れ始めていた。
それに対してアイルはルークに警告をした。
「謀反が終わるまでエルヴィンさまとの接触を控えてください。殿下が大切にしている獣人となれば、謀反のときに人質に取られるかもしれません」
アイルが親切心で言ってやっているのに、ルークは「わかっている」とつまらなそうな顔をする。
「俺だってこれでも我慢しているんだ。だがどうしても離れられない。エルヴィンに会いたくて会いたくて仕方がない」
国の一大事に色恋沙汰にうつつを抜かすとは、ルークはどうしようもない。そんなにエルヴィンのことが好きなのかと嫉妬するくらいだ。……恋のライバルとして。
王弟ルークはいい男だと思う。そんなルークにここまで迫られたらエルヴィンはルークを好きになる。
きっとエルヴィンは、アイルなど眼中にないのだろう。
「ほら、アイル。もう帰れ。もうすぐエルヴィンが朝の薬を持って俺のところへやってくる。それなのにこんな辛気臭い話をしていたらエルヴィンが嫌な気持ちになるだろう?」
ルークはこれ以上話はしたくないという態度で、アイルを部屋から追い払った。仕方なく引き上げたときに、ルークの部屋の前でばったりエルヴィンと出くわした。
「あ! アイルさま! おはようございます」
エルヴィンはにこやかに挨拶をしてくれた。手にはもちろんルークのための薬を持っている。
「おはようございます。エルヴィンさま」
アイルはとっておきの笑顔を返す。でもエルヴィンの反応はいまいちだった。アイルにときめいてはくれないらしい。
「そうだ、アイルさま、聞いてくださいっ」
エルヴィンが嬉しそうに話をしてくれたので、さっきの反応に落ち込んでいたアイルの心がパッと華やぐ。
「あのですね、殿下にですね、ついに外出の許可が出たんですっ」
「あぁ……」
なんだ、ルークの話だったのかとアイルの気持ちは憂鬱になる。
「殿下が元気になられてよかったです。殿下のご様子が日に日によくなっていくのを見ていると、本当に……」
エルヴィンは少し寂しげな顔になる。どうしたんだろうとアイルが思ったときにはすぐに笑顔を取り戻していた。
「外出してもいいと聞いたら殿下はお喜びになられますよねっ? 殿下の喜ぶ顔が早くみたいなぁ。それでは失礼いたします!」
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最近エルヴィンと話しているといつもこうだ。エルヴィンの言動ひとつひとつに感情が振り回される。
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