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6 手紙
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「あと、スキンシップ? 有馬が一番嫌いなやつ。それはあいつがはっきり言ってた。そういうのできないんだって。握手とかも無理だって」
「えぇっ!」
俺は頭を抱える。
「だからか! だから有馬は握手をしようとしたのに俺の手を握らなかったんだ……」
一番最初のとき、有馬が俺に勉強教えてくれるって約束してくれたときのことだ。
あのとき俺は友好的な気持ちで握手を求めたのに、有馬はそれに気がついていてガン無視した。
あれって、有馬は人に触れるのが嫌だったってことだったのか。
知らなかった。
俺は馴れ馴れしいタイプだから、すぐに人の肩を叩いたりとかしちゃうんだ。
思い出すと俺、結構、有馬にベタベタ触ってたかも!
肩触るのは日常、腕を引っ張ることもしたし、思い返せば返すほど結構やらかしている。
やばい。俺、有馬の地雷ばかり踏んでたんだ。
「あー、そうそう、そういうの。それで誤解されることもあるって言ってた。俺たちにはそうならないようスキンシップは苦手って言ってくれてるから、俺たちも有馬に無理強いしないけど」
「そんな……」
なんで有馬は俺のときは黙っていたんだろう。
嫌なら嫌って、はっきり言ってくれたらよかったのに。
「潔癖とは違うらしいんだけど、触られるのとか、人が食ったあとのやつとかダメなんだって」
「は……?」
いや、有馬は俺が食ったあとのスプーンでもいいってかき氷食ってたけど。
どういうことだろう。
でも、どうみても佐久間が嘘をついているようには思えない。
「俺さ、男が男を好きになるっていう感覚はよくわからないんだけど」
佐久間は手足を伸ばして大きく伸びをした。
「有馬はいいやつだと思うよ」
そう言って歯をみせて笑う佐久間の爽やかな笑顔に嘘はなかった。有馬のことを好意的に思っているのが伝わってくる。
「だよね……」
俺は小さく溜め息を吐いた。
「俺もそう思う」
お人好しで、優しくて、何をやらせてもいちいちかっこよくて、本当にいい男だ。
そんな有馬を、俺はどうして傷つけてしまったんだろう。
振り返れば、俺は有馬が嫌がることばかりしてたみたいだ。それでも優しい有馬は俺のそばにいてくれたのに。
きっと、あの手紙が決定打だったんだろう。
あんなことをしておいて、いまさら有馬に許してほしいだなんて図々しくて言えないよ。
「そうだ、知ってる? 有馬、医学部やめて、海外の大学に行くことにしたらしいよ」
「え……? なんで急に」
それは初耳だ。今まで有馬の口から海外を目指す話なんて聞いたことがない。
「なんか、親父さんの意向らしいよ? わかんねぇけど、IELTS(アイエルツ)をいきなり受け始めたからさ、まぁまぁ本気なんじゃないの?」
「マジか」
この時期に留学を考えているやつが受けるような英語のテストを受けるなんて、そうとしか考えられない。
有馬が、留学……。
「あ、有馬」
佐久間の声に、俺はその視線の先を追う。振り返ると、有馬が決して穏やかではない顔で立っていた。
なんで、なんで有馬はそんな怖い顔してんの……?
俺なんかが佐久間と話しているからかな。
だとしたら、ごめんなさい。すぐに消える。今すぐここからいなくなるよ。
「えぇっ!」
俺は頭を抱える。
「だからか! だから有馬は握手をしようとしたのに俺の手を握らなかったんだ……」
一番最初のとき、有馬が俺に勉強教えてくれるって約束してくれたときのことだ。
あのとき俺は友好的な気持ちで握手を求めたのに、有馬はそれに気がついていてガン無視した。
あれって、有馬は人に触れるのが嫌だったってことだったのか。
知らなかった。
俺は馴れ馴れしいタイプだから、すぐに人の肩を叩いたりとかしちゃうんだ。
思い出すと俺、結構、有馬にベタベタ触ってたかも!
肩触るのは日常、腕を引っ張ることもしたし、思い返せば返すほど結構やらかしている。
やばい。俺、有馬の地雷ばかり踏んでたんだ。
「あー、そうそう、そういうの。それで誤解されることもあるって言ってた。俺たちにはそうならないようスキンシップは苦手って言ってくれてるから、俺たちも有馬に無理強いしないけど」
「そんな……」
なんで有馬は俺のときは黙っていたんだろう。
嫌なら嫌って、はっきり言ってくれたらよかったのに。
「潔癖とは違うらしいんだけど、触られるのとか、人が食ったあとのやつとかダメなんだって」
「は……?」
いや、有馬は俺が食ったあとのスプーンでもいいってかき氷食ってたけど。
どういうことだろう。
でも、どうみても佐久間が嘘をついているようには思えない。
「俺さ、男が男を好きになるっていう感覚はよくわからないんだけど」
佐久間は手足を伸ばして大きく伸びをした。
「有馬はいいやつだと思うよ」
そう言って歯をみせて笑う佐久間の爽やかな笑顔に嘘はなかった。有馬のことを好意的に思っているのが伝わってくる。
「だよね……」
俺は小さく溜め息を吐いた。
「俺もそう思う」
お人好しで、優しくて、何をやらせてもいちいちかっこよくて、本当にいい男だ。
そんな有馬を、俺はどうして傷つけてしまったんだろう。
振り返れば、俺は有馬が嫌がることばかりしてたみたいだ。それでも優しい有馬は俺のそばにいてくれたのに。
きっと、あの手紙が決定打だったんだろう。
あんなことをしておいて、いまさら有馬に許してほしいだなんて図々しくて言えないよ。
「そうだ、知ってる? 有馬、医学部やめて、海外の大学に行くことにしたらしいよ」
「え……? なんで急に」
それは初耳だ。今まで有馬の口から海外を目指す話なんて聞いたことがない。
「なんか、親父さんの意向らしいよ? わかんねぇけど、IELTS(アイエルツ)をいきなり受け始めたからさ、まぁまぁ本気なんじゃないの?」
「マジか」
この時期に留学を考えているやつが受けるような英語のテストを受けるなんて、そうとしか考えられない。
有馬が、留学……。
「あ、有馬」
佐久間の声に、俺はその視線の先を追う。振り返ると、有馬が決して穏やかではない顔で立っていた。
なんで、なんで有馬はそんな怖い顔してんの……?
俺なんかが佐久間と話しているからかな。
だとしたら、ごめんなさい。すぐに消える。今すぐここからいなくなるよ。
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