その告白は勘違いです

雨宮里玖

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番外編『その罰ゲームは無効です』

番外編-2

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「わかったよ。やってやるよ。別にいいよ、俺は。野郎とするのはノーカンだし」

 俺はわざとかったるそうな雰囲気を出しつつ言う。
 だって有馬とそういう関係だって知られたくない。
 ノリが悪いやつだって思われたくないから面倒だけど付き合ってやるよ感を精一杯、醸し出す。

「ほら、有馬。どーぞ。さっさとやれよ」

 俺は有馬に近づき、じっとしたまま『有馬にされるの待ち』をする。
 強がってみせるけど、内心俺はドキドキしている。

 人前で有馬とハグしたりキスしたりするのは抵抗がある。でもそんな様子を見せてはいけない。男同士だから大したことない、ノリでどうぞって顔をしなくちゃ。

 どうしよう、俺、かなり恥ずかしいよ。

「有馬、やれー」
「いけいけっ」

 誰かの野次が聞こえてくる。
 ああ、ほんと嫌だ、こういうノリ。俺は地味で静かに暮らすのが好きなのに。
 でも有馬は誰にも渡さない。罰ゲームでもなんでも、他のやつに触られてたまるかよ。

 俺の目の前にいる有馬は、一歩、俺に迫ってきた。
 俺はなんとなく有馬を見上げる。はぁもう、いつ見てもかっこいいよな、有馬って。

 有馬が腕を伸ばし、俺の腰に触れた。それだけで「キャーッ」って女子の悲鳴が上がる。
 そして有馬が俺に顔を近づけてくる。

 俺、有馬にキスされる……!

 どうしよう。覚悟を決めなくちゃ。
 って俺が目を閉じようとしたとき。


「お前なんかに誰がそんなことするか」

 有馬は俺を冷たく睨みつけた。その視線に俺は背筋が凍る。

 あれ、有馬怒ってる……?
 俺、やっちまったんじゃないの、これ。

「だよねー」
「男はナシかぁ」

 周りにいたクラスメイトは、有馬の行動を見て、たいして考えもせずに言いたいことを言っている。

 勝手に巻き込まれて、拒絶された俺の気持ちを少しは考えてくれよ。


「佐久間、お前ちょっと呼び出し。こんな悪ふざけは俺は好きじゃない」

 有馬は佐久間を連行しながら、「こんなことじゃなくてチョコチップメロンパンで手を打て」と佐久間を説得しようとしている。

 俺に注がれていた視線が、一気に離れていく。

 なんか、俺、みじめだな。

 きっと違うと思いたい。でも有馬に嫌われたみたいな気分だ。
 有馬に向けられた冷たい眼差しを思い出すたびに、胸が痛くなる。

 そういえば有馬にあんな怖い顔されたことないな。
 俺の何がいけなかったんだろう。最初から断ればよかったのかな。

 でも有馬が他の人とキスするかもって思ったら、許せなかったんだ。

「はぁ……」

 俺は重い溜め息をつく。
 有馬、俺に幻滅したかな……。
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