その告白は勘違いです

雨宮里玖

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番外編『その罰ゲームは無効です』

番外編-3

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 結局、その日は有馬とは話せずに終わった。

 今は深夜の十二時を過ぎている。
 俺は自分の部屋の机の前に座りながら、受験勉強をするんだけど、ついつい有馬のことを思い浮かべてしまう。

「有馬は俺とキスするの嫌だったのかなぁ……」

 ひとりで考えてもどうしようもないことだってわかってる。
 でも有馬に拒絶されたことが、正直、俺の中でかなりこたえている。

 俺だって恥ずかしいと思った。でも、あんなにキツい言葉で断らなくても。

 そういえば、学校での有馬は俺に全然構ってこない。
 文化祭のときの甘さはどこへいったってくらいにマジで普通。
 俺は有馬をよく見てるけど、有馬が俺を振り返ることすらない。

 まさか、もう俺に飽きたりしてない……よな?

 不安になって俺はスマホで「高校生 付き合う期間」と検索する。

「えっ! こんな短いのっ?」

 俺のスマホのAIは恐ろしい数字を俺に突きつけてくる。
 平均は約九ヶ月。一ヶ月で十組にひと組、三ヶ月で三組にひと組は別れるらしい。
 有馬と付き合ってからすでに一ヶ月が経過している。
 この時期に別れていても、ありえないことじゃないらしい。

「これ、ツラ……」

 恋愛は難しい。
 俺がいくら有馬のことが好きでも、有馬が心変わりしたら終わりだ。
 その先には破局の道しかない。

 あぁ。
 有馬が足りない。
 有馬をもっと摂取したい。

「そうだっ」

 俺は机の引き出しを開けて、一通の手紙を取り出す。
 有馬が俺に贈ってくれた、唯一のプレゼント。
 落ち込んだとき、さみしくなったとき、俺はいつもこの手紙を読み返している。
 これを見ると心が安定するから。
 俺は便箋をひらく。そこにある有馬の字は整っていてとても綺麗だ。


 七沢へ
手紙ありがとう。七沢らしい優しい手紙だった。あんなふうに言ってもらえて嬉しかった。一生大切にするよ。
俺も、七沢への気持ちを書きます。
俺は七沢のことが好き。可愛い、守ってやりたいって思うし、一緒にいると楽しい。
なにより笑った顔が好き。七沢が笑うと、俺といて楽しいって思ってくれてるのかなって、幸せな気持ちになるんだ。
あと頑張り屋なところも好きだ。努力をあまりひけらかさないところも好き。そして俺にだけは、その姿を見せてくれるところも好き。
友達じゃダメなんだ。俺にとって七沢は特別で、どんなものよりも大切で、一番近くにいたい相手なんだ。
だから、付き合うことになってすごく嬉しい。七沢も俺と同じ気持ちでいてくれたことが奇跡みたいに思える。
七沢とたくさん思い出を作れたらいいな。
これからもずっと、よろしくお願いします。
 有馬真


「有馬……」

 ふと有馬の顔を思い出す。こういうとき決まって思い出すのは、有馬の笑顔だ。
 よし。有馬の手紙を読んで、少しだけ元気を取り戻した。
 俺は参考書とノートを閉じて、電気を消し、ベッドに寝転がる。
 そして目の前にある布団をぎゅっと抱きしめる。

 いつかのときみたいに、隣に有馬がいてくれたらいいのに。

 さみしい。
 俺、今日は特にさみしい気分になってる。
 今すぐ有馬に会いたいな。

「明日、有馬に謝ろう……」

 大丈夫。
 俺は有馬を信じてる。
 有馬はあんなことくらいで俺を嫌いになったりしない。

 明日ちゃんと説明しよう。ふざけたかったわけじゃないって、有馬が他の人に取られるのが嫌だったって理由を説明すれば、有馬はきっとわかってくれるはずだ。
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