愛を注いで

3、愛を教えてくれた君へ side拓真

⑦

「俺、そんなにシたそうな顔してた？」
「それはもう、理性が吹っ飛びそうでした。耐えた僕を褒めて欲しいです。」
「そ、そんなに？じゃあ…よ、よしよーし」
ちょっと拗ねたように言う尊くんを宥なだめるように頭を撫でてみる。すると俺の肩に頭を埋うずめ、グリグリと頭を擦り付けてきた。そして何やらブツブツと言っている。その口から漏れる空気がシャツ越しに当たるたび、まだ少し敏感な俺の身体はビクビクと跳ねてしまう。
「ちょっ、尊…くん、そこで喋らないで…んっ」
「拓真さん、敏感過ぎ…もしかして誰にでもこんなエロかわなところ見せてるんじゃ…」
「！？…エロかわって！そ、そんなわけないだろ」
「だってこんなビクビクして」
「そ、それは！あぁっ」
尊くんは俺の反論なんて聞きませんと言うように背中を指でゆっくりとなぞってきた。俺は反射的にまたビクッと身体を跳ねさせた。
「そんなわけなくないですよ。ここもパンパンじゃないですか。」
「ヤらないんじゃ、なかったのかよ」
「や、やっぱり擦り合いしましょう…」
そう言う尊くんの目は据わっていて、有無を言わせない凄みを感じる。俺はただその目を見つめることしかできなかった。
　尊くんはゴクリと喉をならし、俺のスラックスのチャックに手をかける。ゆっくりとチャックを下されていく。焦らすようにゆっくりと下ろしていく。顕あらわになった下着の膨らみをゆっくりと撫でられ、思わず声が漏れる。
「あっ…」
「また、可愛い声出して、誘ってますよね」
尊くんは唇を舐めながら陰茎をギュッと握った。急な刺激によって全身に痺れるような快感が巡り、声すらも出せずにただただ小刻みに息をするしかなかった。
「パンツ…濡れちゃいましたね。握っただけなのに」
ニヤリと笑いながら、握られたことでより膨らみを増し濡れた陰茎の先端を少し楽しそうにツンツンしてきた。その言葉に俺は下半身にゆっくりと視線を向けると、一部だけ明らかに下着の色が濃くなっている。その光景に羞恥心を煽られ、下腹部にズクズクと熱い熱が込み上げてくる。
「あっ…だっ…め…んんっ」
次の瞬間には射精していた。まさか、少し握られて、先端を突かれただけで、俺イったのか？自分でも一瞬何が起きたのか分からず放心していると、尊くんは何も言わずにスラックスのチャックを上げ、閉店作業に戻った。
　ハッと我に返った俺は、羞恥で頭の回路が焼き切れそうだった。ちょっと触られて、見られただけでイった自分の身体が信じられない。しかも見られた、尊くんに。生理現象の涙なのか、恥ずかしさからくる涙なのか、はたまた何も言ってくれない尊くんに幻滅されてしまったんじゃないかと思った悲しみの涙なのか、分からない滴が頬をつたう。