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6、2人のズル休み〜side 尊〜
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そんな僕に気付いたのか、拓真さんは覆い被さるように僕を抱き締め、さらに続けた。
「騙される俺って子供だなって思うし、恥ずかしいけど、それだけ心を許してくれてるって思ったらスゲー心が満たされる」
「心が…満たされる?」
「そう、温かい気持ちになるんだ。こんなの初めて」
拓真さんでも自分が子供っぽいって思うことあるんだと思うと、少しホッとした。定職に就いていない僕はどこへいってもお子様扱いする人が多かった。でもそんな子供っぽい僕を好きだと言ってくれる人が、彼自身も自らを子供っぽいと言ったことが、何よりも温かい気持ちにさせてくれた。そのままの僕を愛してくれているようで嬉しかった。
「尊くんはどう?」
「僕は…」
僕も温かい気持ちになる。ずっと昔に割れたと思っていた僕のカップにいっぱいの愛を満たしてくれる。
「僕も温かい気持ちになります。もう誰も頭を撫でてくれないと思ってました…もう誰もこんなに優しく抱き締めてくれることなんてないと思ってました…」
「これからも、いっぱい頭撫でてあげるし、抱きしめるよ」
「優しくない僕でもいいですか?」
「もちろん」
「子供っぽくて、迷惑かけちゃうと思いますけど…」
「そんなのお互い様でしょ?」
「何もない僕でも…愛してくれる?」
母親に言われたことを思い出した。
物心ついたころ、僕にはまだ親がいた。正確には母親1人だったけど。毎日疲れていたと思う。今考えればシングルマザーで子供を育てるのは大変なことだ。だけど当時の僕は、わからなかった。だから振り向いてほしくて、必死に好きなことを得意げに語った。ここまでできるようになったと母に見て欲しかったんだ。でも母は振り向くことなんてなかった。「すごいね」って頭を撫でてくれることも。抱き締めてくれることも。悪戯もいっぱいした。叱られても、その時は僕を見てくれると思っていたから。でも母は溜め息を吐くだけで僕は怒られなかった。
そんな母親の最後の言葉は今でも鮮明に覚えている。
「自由で、好きなことだけやって、こっちの気持ちなんて考えずに話しかけてきて。お前は子供すぎるんだ。これはそんな悪い子なお前への罰。良い子に大人しくしてたら迎えにくるから」
そう言い残し、母親は姿を消した。そのあと、僕の祖父だという初老の男性が迎えにきた。
それから、僕は必死に話したいことを抑えて周りに合わせ良い子のフリをしてきた。割れたカップを心の底に押し込めて、新しいカップを掲げていた。そんな偽りの僕を愛してくれる人なんていない。ピカピカのカップはいつも空っぽだ。
でもそんな時、拓真さんに出会った。お人好しの誰にでも愛を注いでくれそうな人。ピカピカのカップはすぐに満たされた。溢れるくらいいっぱい気持ちを注いでもらった。
ふと、欲が出た。子供すぎる悪い子の僕でも愛を注いでくれるかな。そんな期待を持って、少しずつ自分のしたいことを、欲望のままに仕掛けた。僕はもう一度罰を受けるかもしれない、そう不安思いながらも、試さずにはいられなかった。
でもそんな気持ちは杞憂だった。
「言葉ではいくらでも言えるから、行動で示してあげる」
そう言って拓真さんは僕の身体をグッと後ろに引き、拓真さんごと倒れるような形でベッドに寝転がった。そして拓真さんは僕の下からするりと抜け、僕の横に寝直した。そのまま正面から抱き締められ、額にキスをされる。頭を優しく撫でられ「これ、よく眠れるおまじない」そう言ってまた抱き締めてくれた。
――行動で示すってこういうことか
微笑ましいなと思っていると、拓真さんは優しく笑いながら僕の胸に顔を埋めてきた。
「僕のして欲しいこと、何でも叶えてくれるってことですか?」
「何でもはちょっと…でもここは満たしてあげる。俺ができる最大限の愛情表現で」
そう言って僕の胸にグリグリと頭を擦り付けた。その行動と言葉がどうにも可愛くて、言われている僕の方が恥ずかしくなってしまった。だけど同時に、僕の心はあっという間に満たされていく。昔の記憶を上書きするように、結局行動だけじゃなく、言葉でも示してくれた。
「ありがとうございます」
「いつか話せる時が来たら話してよ。何が尊くんを縛るものになっていたのか」
「えっ…」
「俺意外と洞察力あるでしょ」
無邪気に笑うその顔に、僕は脱力した。気付いてほしくて、でも気付いてほしくなくて、平静を装って、良い子悪い子どちらとも取れる行動をして試した。この人の愛が欲しくてどこまでだったら許されるのか、本当は徐々に調べていきたかったけど、拓真さんの真っ直ぐな気持ちを感じた時、歯止めが効かなくなった。
今まで手に入らないと思っていたものが目の前に出されて理性が飛んだ。お菓子をねだる子供のように、どうしても手に入れたくなるのは反動のせいなのだろうか。これ以上手放さないようにしたい。そう強く思い、拓真さんを抱き締め返した。
そのまま僕たちは少しの間眠りについた。
「騙される俺って子供だなって思うし、恥ずかしいけど、それだけ心を許してくれてるって思ったらスゲー心が満たされる」
「心が…満たされる?」
「そう、温かい気持ちになるんだ。こんなの初めて」
拓真さんでも自分が子供っぽいって思うことあるんだと思うと、少しホッとした。定職に就いていない僕はどこへいってもお子様扱いする人が多かった。でもそんな子供っぽい僕を好きだと言ってくれる人が、彼自身も自らを子供っぽいと言ったことが、何よりも温かい気持ちにさせてくれた。そのままの僕を愛してくれているようで嬉しかった。
「尊くんはどう?」
「僕は…」
僕も温かい気持ちになる。ずっと昔に割れたと思っていた僕のカップにいっぱいの愛を満たしてくれる。
「僕も温かい気持ちになります。もう誰も頭を撫でてくれないと思ってました…もう誰もこんなに優しく抱き締めてくれることなんてないと思ってました…」
「これからも、いっぱい頭撫でてあげるし、抱きしめるよ」
「優しくない僕でもいいですか?」
「もちろん」
「子供っぽくて、迷惑かけちゃうと思いますけど…」
「そんなのお互い様でしょ?」
「何もない僕でも…愛してくれる?」
母親に言われたことを思い出した。
物心ついたころ、僕にはまだ親がいた。正確には母親1人だったけど。毎日疲れていたと思う。今考えればシングルマザーで子供を育てるのは大変なことだ。だけど当時の僕は、わからなかった。だから振り向いてほしくて、必死に好きなことを得意げに語った。ここまでできるようになったと母に見て欲しかったんだ。でも母は振り向くことなんてなかった。「すごいね」って頭を撫でてくれることも。抱き締めてくれることも。悪戯もいっぱいした。叱られても、その時は僕を見てくれると思っていたから。でも母は溜め息を吐くだけで僕は怒られなかった。
そんな母親の最後の言葉は今でも鮮明に覚えている。
「自由で、好きなことだけやって、こっちの気持ちなんて考えずに話しかけてきて。お前は子供すぎるんだ。これはそんな悪い子なお前への罰。良い子に大人しくしてたら迎えにくるから」
そう言い残し、母親は姿を消した。そのあと、僕の祖父だという初老の男性が迎えにきた。
それから、僕は必死に話したいことを抑えて周りに合わせ良い子のフリをしてきた。割れたカップを心の底に押し込めて、新しいカップを掲げていた。そんな偽りの僕を愛してくれる人なんていない。ピカピカのカップはいつも空っぽだ。
でもそんな時、拓真さんに出会った。お人好しの誰にでも愛を注いでくれそうな人。ピカピカのカップはすぐに満たされた。溢れるくらいいっぱい気持ちを注いでもらった。
ふと、欲が出た。子供すぎる悪い子の僕でも愛を注いでくれるかな。そんな期待を持って、少しずつ自分のしたいことを、欲望のままに仕掛けた。僕はもう一度罰を受けるかもしれない、そう不安思いながらも、試さずにはいられなかった。
でもそんな気持ちは杞憂だった。
「言葉ではいくらでも言えるから、行動で示してあげる」
そう言って拓真さんは僕の身体をグッと後ろに引き、拓真さんごと倒れるような形でベッドに寝転がった。そして拓真さんは僕の下からするりと抜け、僕の横に寝直した。そのまま正面から抱き締められ、額にキスをされる。頭を優しく撫でられ「これ、よく眠れるおまじない」そう言ってまた抱き締めてくれた。
――行動で示すってこういうことか
微笑ましいなと思っていると、拓真さんは優しく笑いながら僕の胸に顔を埋めてきた。
「僕のして欲しいこと、何でも叶えてくれるってことですか?」
「何でもはちょっと…でもここは満たしてあげる。俺ができる最大限の愛情表現で」
そう言って僕の胸にグリグリと頭を擦り付けた。その行動と言葉がどうにも可愛くて、言われている僕の方が恥ずかしくなってしまった。だけど同時に、僕の心はあっという間に満たされていく。昔の記憶を上書きするように、結局行動だけじゃなく、言葉でも示してくれた。
「ありがとうございます」
「いつか話せる時が来たら話してよ。何が尊くんを縛るものになっていたのか」
「えっ…」
「俺意外と洞察力あるでしょ」
無邪気に笑うその顔に、僕は脱力した。気付いてほしくて、でも気付いてほしくなくて、平静を装って、良い子悪い子どちらとも取れる行動をして試した。この人の愛が欲しくてどこまでだったら許されるのか、本当は徐々に調べていきたかったけど、拓真さんの真っ直ぐな気持ちを感じた時、歯止めが効かなくなった。
今まで手に入らないと思っていたものが目の前に出されて理性が飛んだ。お菓子をねだる子供のように、どうしても手に入れたくなるのは反動のせいなのだろうか。これ以上手放さないようにしたい。そう強く思い、拓真さんを抱き締め返した。
そのまま僕たちは少しの間眠りについた。
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